第拾陸幕の拾肆
バーサーカーを止めろ。
無差別に飛んでくるロケットパンチと弾丸の嵐から逃げ遅れた人たちを守るべくアイリスは壁を生成して守っていき、かりんは風で相手の飛び道具を迎撃、そしてさくらが隙を見て攻撃するも勢いは衰えず、このままではじり貧になることが確実だった。
そこに、あおいが駆けつける。町の惨状からして短期決戦で終わらせることが最善だと考えた彼女は走りながら烈槍・紺碧を構え、そのまま突撃する。
「邪悪なるものよ、高貴に散華せよ! 明強刺水!!」
電化製品に水は厳禁、貫かれたネガボットはそのセオリーのままに力尽きる。そして走り終えたあおいの背後で爆発四散。飛び出してきた振袖のカケラも彼女がつかみ、イナリを介して伊吹神社地下の部屋にある衣桁に転送された。
敗北を喫したが、ビルの屋上の上にいたプチッツァは満足そうであった。ネガボットから飛び出てから風に吹かれながら空を漂い、彼女の手元に戻ってきた羽根はうっすらと青い色を帯びていた。それを体に取り入れた彼女は、背中から青い翼が生えるようになったこと、そして掌を足元に向け、掌から水が出たことを確認すると、笑みを浮かべていた。
「これであとは……あいつのだけ。あと一歩で……世界が私のものになる!」
満足した彼女はもとから持っている1対の羽を背中から出して羽ばたき、廃研究所へと帰っていった。
振袖小町は変身を解除し、平和を取り戻した駅前で小町部は集合する。
「あー、やっと片付いたか! よし! みんな、スタジアムに行くとすっか!」
伸びをしながらいつもとはまるで別人の口調で喋るアイリスに、かりん以外の一同は面食らう。かりんが説明して納得し、みんなで笑いあった。
小町部がオリーブスタジアムに出発してからしばらくして、Hyacinthの前でネガボットにされた若者も目を覚まし、立ち上がる。
「今日はついてないなぁ……」
ぽつりと一言つぶやいた直後、若者はスマホに来ていた通知に気づきそれを開く。そこには、こう書かれてあった。
〈あんたが嫌がってたこの前のお見合いの話、たった今相手方からなかったことにしてくださいって連絡があったよ〉
突然舞い飛んできた朗報に若者は人目もはばからず咆哮。
「これで今までの分チャラにできた! よっしゃラッキー!!」
右手の拳を高く掲げてから、軽い足取りで歩き始めた。
お見合いは登美が本人たちに無断で勝手にセッティングしていたものです。本人たちの意思を考えない捕らぬ狸の皮算用が得意技なのをここでも発揮してます。




