第拾陸幕の拾参
土方歳三と同じ悩みを聞け!
「私は今までいろんな人から告白されて、数えきれないくらいのラブレターをもらってきた」
そう切り出すと自慢かと苦い顔をされるが、あおいは続ける。
「その送り主は同学年なんて当たり前、ある時は違う学年から、またある時はよその学校の人、送ってきた相手の中には私と同じ女の子もいた。名前も知らない人からもらうなんて何回あったか覚えてない」
冷静に話すあおいと、突きつけられた疑問が渦巻く中にスケールの大きな話についていけずティーガー。
「私はいつもラブレターをもらうとその場では対応できなかった。でもいつも時間をおいてからしっかり読んで、返事をしたうえでちゃんと断った。なんでかわかる?」
ティーガーは黙ったままだった。
「それはラブレターを書くくらいだから相手が私のことを真剣に思っているから。あんたは今まで自分の気持ちを押し付けているだけでさくらのことをこれっぽっちも考えてない。さくらと気持ちを通じ合わせるにはどうすればいいか、それを意識しない限り、さくらには一生振り向いてもらえないよ」
冷たく通告するあおいに、ティーガーは渇いた笑いをこぼす。
「……ははは、一生か。ならそれは永遠にできない話になるな」
「……もしかして、やっぱりあんた……!」
ふとしたことで思い出した記憶から過去の出来事を語り出すあおい。ティーガーはそれを補完していく。
「ああそうさ! 俺だけじゃない、俺たちオリエント・ゾディアックはみんなそうだよ!!」
「(やっぱり……! じゃああの事故は……!)」
核心に辿り着くあおいに、ティーガーは仲間のピンチを忘れてはならないと忠告し、送り出す。
その言葉に何も言わずに代わりに鋭い目線を送ったあおいは、振袖小町になりながら仲間たちのピンチに駆けていった。小さくなっていく背中に、さくらのために自分に何ができるか、ティーガーは考えるために廃研究所に戻っていった。
モニターを自分のハンマーで強打したネガボットは顔面が砂嵐のまま元に戻らず、正常な判断ができなくなって視界に入る人物全てが登美に見えてくる。ターゲットが増えたと勘違いしたネガボットは無差別攻撃を開始し始める。
「うわ、やっば」
自分も攻撃対象になりかねないと判断したプチッツァは大急ぎで空高くに避難する。逃げ遅れた人々を避難させていたかんなは、彼女が高く飛んでいく姿が目に入る。
「……あれは……?」
普通であれば人間は空を飛ぶことはできない、そして今のシチュエーションからして飛んでいった人物もオリエント・ゾディアックのメンバーだろうと推測するが、間近で見たわけでもないのにこれまでに見た面々とはどこかが違う雰囲気を彼女は感じ取りながら避難誘導に従事した。
モテてモテて困る(と言っても舞妓さんからだが)という趣旨の手紙を彼女たちからのラブレターを同封して送ったことがある土方歳三、しかし他校の生徒や同性からもラブレターもらう小学生って地域中に噂になってるな……。




