第弐幕の弐
今回前線に赴くのは……こいつです!
「そいつはこの前逃げ出したキツネの代替品として私が作った探知機さ。名付けて、Mechanical-Ubiquitous-Jewel-Incredible-Notification-Antenna」
カルネロはネイティブのように流暢な発音で新発明の名前を紹介する。
「めかに……そんな長ったらしい名前覚えられるか!」
名前に対するハンジールの怒号に、半ばバカにするように説明が続けられる。
「まあ、頭文字からMUJINAとでも呼んでいただきたい。やはり生物は信用できんからな」
カルネロが探知機をMUJINAという名前であること、自作であること、そしてその用途を説明しながら、プチッツァの方を見てにやりと笑う。明らかな当てつけと言える発言に、プチッツァはカルネロを睨み返す。
「とにかく、これさえあれば振袖のカケラがすぐ見つかるってのか? ついでにうまい酒を売ってる酒屋もわかるなら最高だがな」
「ああそうさ。それから、申し訳ないがその機能の追加は却下だ」
機能の説明が終わったため倒されたネガボットが町を破壊する映像を見ながら、円卓で昨日起こった出来事や、今後の対策についての会議を進めていく。
「プチッツァ、振袖小町が誰なのかは分かったか?」
長髪の男の問いに、プチッツァはさくらが振袖小町になる瞬間を目撃していたが、首を横に振る。
「(ここで教えたら絶対他の奴に邪魔される……。今は黙っとこっと)」
そんな中、映像を見ていたさくらとすれ違った少年が何かに気づく。それに気づいた美女が彼の耳元で囁く。
「どうしたの? ティーガーちゃん」
「いや、なんでもない」
話し合いの結果、ひとまずは振袖のカケラを探すことを第一に、振袖小町との邂逅があり次第、彼女が持つ振袖のカケラが変形した簪を奪い取って振袖のカケラに戻す、それができなかった場合は破壊する方針となった。また、「出撃しない者は出撃者に対して干渉をしない」という紳士協定ともいえるルールも定められた。
「今日は僕が行ってきてもいいかな? 僕は誰かさんみたいなヘマはしないよ」
まわりの自分への冷ややかな態度に業を煮やしたプチッツァは、黙って席を立ち会議室を後にする。
「おい! まだ終わってないぞ!」
長髪の男が引き止めようとするも、プチッツァは無視してドアを力任せに開けて出て行ってしまう。
「まあいいじゃん。失敗したのはあいつなんだし」
意に介さない少年。すると、立候補者がもう一人出てくる。ティーガーである。
「俺は振袖小町に興味がある。チュイ、振袖のカケラはお前に任せるからここは共同戦線といこうか。作戦ならもう思いついている。いいか……」
ティーガーは自らの作戦を耳打ちする。
「いいよ、なかなか面白そうじゃん」
チュイと呼ばれた少年はその提案に乗る。カルネロからネガボットの素体を渡されるが、その際にカルネロはネガボットの素体に新機能としてネガボットの素体に心の中に悩みや迷い、怒りなどの感情を抱えた人間に反応するように改良が施されたことを全員に伝えた。
説明を聞いた2人は、大部屋に新たに作られてたワープ装置を使い廃研究所を出発する。そんな中、ティーガーはある確信を得ていた。
「(プチッツァともめていたあの子……間違いない……)」
幹部が複数人いると横槍入れて作戦が失敗することってありますよね。その対策もありますが、こういった面々が協定を守ると……思いますか?




