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『本日の記憶はお持ち帰りになれません』 キトラ婆の認バーにて


 嫌なことを忘れたい客は、珍しくない。


 忘れてほしい客も、珍しくない。


 誰に忘れてほしいかで

うちで出来ることは、ずいぶん違う。


「今日、ここで話したことを

忘れていただくことはできますか」


 開店して間もなく来た男は

座る前にそう言った。


「あたしが?」


「はい」


「ご本人は?」


「僕は、憶えておきたいんです」


 なるほど。

 記憶の不法投棄に来た。


「お話を伺ってからね」


 男は、少し困った顔をした。


「聞いてから断られることもあるんですか」


「ございます」


「その場合、聞いたことは」


「聞いたことになります」


 男は黙った。


 あたしは、おしぼりを差し出した。


「そこまで慎重になさるなら

まず、お名前を伺わないでおきましょうか」


「江田です」


 慎重なひとほど

入口で全部出すことがある。


*****


 江田は、品のいい男だった。


 大きな声を出すことが

人生にあまり必要なかったような顔をしていた。


 うちの一族には、いない種類だ。


 うちの母と祖母なんか

声を出さなくても済むところで

わざわざ出して確認する。


 聞こえてるかー。


 聞こえている。

 聞こえているので返事をしないのだ。

 そこを学ばない。


「お飲み物は?」


「軽いものを」


「お話も?」


「そちらは、ちょっと」


 あたしは薄めの水割りを作った。


 忘却用のパッチは出さなかった。

 今日、貼ってほしいのは

あたしの方らしいから。


「昔、付き合っていた女性がいるんです」


「はい」


「いまも、時々思い出すんです」


「はい」


「いま、一緒に暮らしている人もいます」


「はい」


 男はグラスを見た。


「いまの暮らしには、不満はないんです」


「ええ」


「それなのに、昔のことを考えるのは

失礼じゃないかと思って」


「考えるたびに、ご本人へ報告なさるの?」


「まさか」


「それなら今のところ

失礼の被害届は出ていないわね」


 江田は、初めて少し笑った。


*****


 昔の女は、仕事のできるひとだった。


 決めるのが早い。

 動くのが早い。

 困ったと言う前に、もう片づいている。


「頼もしい方だったのね」


「はい」


「頼んでいないことも?」


 江田は、グラスを置いた。


「よく、おわかりで」


 よくあることだ。


 女が二人で暮らしても

男が二人で暮らしても

ひとりで暮らしてさえ起こる。


 昨日の自分が、今日の自分の予定を

勝手に決めている。


 あたしは毎朝

それに少し腹を立てる。


「僕が何も言わなかったのも、悪かったんです」


「そう」


「彼女が決めた方が

うまくいくことが多かったから」


「便利だったのね」


「……そうですね」


 あたしは豆の小皿を置いた。


 便利なひとを好きになると

好きだった部分まで

便利という言葉に吸い込まれることがある。


 本人に聞かせたら

こっ酷く叱られるだろう。


 その女なら、たぶん。


「でも、好きだったんです」


「ええ」


「何も出来ないひとだとは思っていませんでした。

一人で何でも出来るひとだとも

本当は、思っていなかった」


「そう言った?」


「言わなかったと思います」


 外用薬を瓶の中で振り続けても

患部には効かない。


 そう言いそうになったが

今日はまだ、一杯目だった。


*****


 いま一緒に暮らしているのは

男のひとだという。


「彼も、以前付き合っていた女性と

うまくいかなかったんです」


「あら」


「話してみると

よく似たところで困っていて」


「その女性同士が?」


「僕たちがです」


 そうだった。

 客の主語を奪ってはいけない。


「最初は、お互いに

それはお前も悪いんじゃないかって」


「慰め合ったわけじゃないのね」


「慰めてもらおうとは思っていたんですけど」


 江田は、また少し笑った。


「僕の話を聞いて

『それ、向こうは別れたと思ってない頃から

お前だけ別れ始めてないか』って」


 いいことを言う同居人だ。


 あたしの仕事を取らないでほしい。


「それで?」


「腹が立ったので

彼の話もちゃんと聞きました」


「仕返しに?」


「そうかもしれません」


 なかなか見込みのある二人だった。


 仲よくなるために

ちゃんと話を聞くとは限らない。


 言い返す材料を探しているうちに

相手のことがわかってしまう場合もある。


 途中で引き返せないから、厄介だ。


*****


 暮らし始めたのは

一緒にいると気を遣わなくて済むから、ではなかった。


 気を遣ったことを

いちいち隠さなくて済んだからだという。


「今日は一人でいたいと言えば

そうかって言ってくれるんです」


「それはいいわね」


「ただ、夕飯を作ると出てきます」


「一人でいたいのと

一人前食べたいのは、別ですから」


 兄弟みたいだと思った時期もあった。


 同じ家で

別々のことをしているのが自然だった。


 だからといって

それだけでは済まなかった。


「彼が帰ってくる音を

聞いている自分に気づいたんです」


 江田は、そこで少し口を閉じた。


 あたしも、閉じていた。


「……触れたいとも思った」


「ええ」


「それも、向こうに言われて

やっと認めたんですけど」


 この男は

何でも現場で発見されるらしかった。


「彼は、昔の女性のことも知っています」


「今でも思い出すことも?」


「たぶん」


「たぶん、は便利ね」


 江田は頷いた。


 便利なものを

今日はひとつずつ取り上げられている。


*****


「忘れられない物が、あるんです」


「お写真?」


「傘です」


 あたしは、手を止めた。


「傘?」


「貸したままで」


「返してもらえば?」


「そのために会うのも、変でしょう」


「傘なら、充分な用事じゃない?」


「会いたい口実にしたと思われたら」


「違うの?」


 江田は黙った。


 傘一本でも

ひとはここまで濡れるのだなと思った。


「黒い傘で

柄の、握るところだけ少し剥げていて」


 あたしの頭の中で

何かが、カチッと鳴った。


 黒い傘。


 娘の家。


 傘立ての奥。


 誰のか訊いたら

シカリが、知らない、と言った。


 知らない物を

何度引っ越しても持って歩く女だと思った。


 捨てれば、と言ったら

使えるから、と言った。


 使っているところは見たことがなかった。


「どうかなさいました?」


 江田が訊いた。


「いえ」


 何だったかしら。


 いま、ひどく大事なことを

思い出しかけた気がする。


 あたしは足元を見た。


 靴は履いていた。


 じゃあ、急ぐことではない。


*****


 江田は、パッチを使わなかった。


 次の予約もしなかった。


「聞いていただくだけで

少し整理できました」


「それは、よかった」


「僕は彼女を忘れたいわけじゃないんですね」


「そう聞こえました」


「でも、いまの暮らしを

昔の続きみたいに考えたくもない」


「その言葉は、お持ち帰りになる?」


 江田は少し考えた。


「はい」


 お勘定を済ませて

立ち上がったところで、もう一度訊いた。


「今日の話は」


「次のご予約がなければ

相談の引継ぎメモは残しません。

会計の記録とは別です」


「ありがとうございます」


「ただ、いま直ちに

あたしの頭から消える保証はないのよ」


「それは、そうですね」


 ようやく

無理のない約束になった。


 江田が出ていくと

茶坊主のアンディが

グラスを下げに来た。


「お忘れ物は」


「傘」


 口から出た。


「お預かりしていませんが」


「そうね」


 預かっていないのに

返したくなる傘だった。


*****


 次の男は

江田と入れ違いに来た。


 廊下で会ったのかどうかは知らない。


 扉が閉まって

アンディが豆を補充して

あたしが黒い傘のことを忘れた頃だった。


「ここ、話したことは

忘れてもらえるんですか」


 今日は、そういう日らしい。


「どちらが?」


「そちらが」


 認バーというより

記憶の最終処分場になっている。


 男は、座る前に名乗った。


「伊月です」


 慎重な客ばかりだった。


*****


 伊月は

黙っていても親切そうに見える男だった。


 こういうひとは、損をする。


 親切にしても予定どおり。

 しなければ、何かあったと思われる。


 本人もそれに慣れると

何かあっても親切にしてしまう。


「いま一緒に住んでいる人には

言いにくい話で」


「はい」


「昔、付き合っていた人のことなんです」


「はい」


「いまの相手も、昔のことを

引きずってるところがあるので」


 あたしは

さっきと同じ瓶を手に取った。


 今日の酒は、減り方まで反復している。


「でも、責めたいわけじゃないんです」


「ご自分にもあるから?」


「それもあります」


 伊月は、正直だった。


 全部を正直に言うひとではない。

 言うと決めた部分を

なるべく歪めず出そうとするひとだった。


*****


 昔の相手とは

友達だった頃の方が、うまくいった。


 付き合い始めると

二人とも、何かを間違えないようになった。


「努力したんです」


「ええ」


「向こうもしてくれたと思います」


「ええ」


「努力してることが

お互いにわかってしまって」


 あたしは頷いた。


「やめると悪いような気がした?」


「そうです」


 伊月は、困った顔で笑った。


「会って楽しかった日も

帰ってから考えるんです。

今日は、ちゃんと楽しかったかなって」


 聞いたことがある。


 どこでだったか。


『いい奴なんだけどね』


 若い声が

頭の中を横切った。


『いい奴だから

うまくいかないのが申し訳なくなる』


 レリだ。


 まだ今よりずっと若かった

うちの孫が

カウンターに顎を載せていた。


 営業時間の前だった。

 お酒は出していない。


 あたしが、何を出したかまでは

思い出せなかった。


 そこを思い出そうとしているうちに

肝心な方を忘れた。


「続けていいですか」


「もちろん」


 続けてくれないと困る。

 あたしの中では、いま一度終わった。


*****


「相手に合わせて

自分を変えることが出来るひとだったんです」


 伊月は言った。


「でも、変えたところで

僕たちの間がうまくいくわけじゃなかった」


「身体のこと?」


「それも。立場とか、振る舞いとかも」


 あたしは頷いた。


 この時代

身体を変える手続きは

ずいぶん簡単になった。


 だからといって

二人で何をしたいかまで

受付で決まるわけではない。


「相手が頑張ってるのを見ると

僕も頑張らなくちゃと思って」


「休憩は?」


「別れてから取れました」


 あたしは、少し笑ってしまった。


 伊月も笑った。


「ひどい言い方ですね」


「でも、よくわかるわ」


 貼る場所を間違えたパッチを

二人で上から押さえ続けていたようなものかもしれない。


 効かないね。

 もう少し押さえようか。


 皮膚だけ、かぶれる。


*****


「いまの相手とは?」


 あたしが訊くと

伊月はグラスを持ち直した。


「最初は、面倒な男だと思いました」


「いまは?」


「面倒なところがわかりました」


 治ったとは言わなかった。

 そこは信用できた。


「黙るんです。

何も思ってないわけじゃないのに」


「待つの?」


「待ちます」


「ずっと?」


「いや。腹が減ったら訊きます。

食べるのか、食べないのか」


 さっきの男の家に

急に台所が出来た。


 あたしの頭の中で。


「一人でいたいと言われたら?」


「放っときます。

でも、飯は二人分作る」


「出てくる?」


「来ます」


 同じ家だった。


 まだ住所は聞いていないが

間取りはわかった。


「兄弟みたいだと思ったこともあるんです」


「ええ」


「でも、兄弟にしたら困るなって

途中から思うようになった」


「どうして?」


 伊月は、あたしを見た。


「わかって訊いてます?」


「確認よ」


 男は少し笑った。


「抱きたいと思ったから」


「はい」


「抱かれたいとも」


「はい」


「それを言ったら

向こうが、ずいぶん考え込んで」


「考えるひとなのね」


「考えてから

僕もそうだって」


 あたしは、豆を足した。


「遅いでしょう」


「熟考なさったのよ」


「考えてたわりに

そのあと、眼鏡どこ置いたかわからなくなって」


「順番が忙しかったのね」


 伊月は声を立てて笑った。


 あたしも笑った。


 そこから先は訊かなかった。

 店の照明を落とす必要もなかった。


*****


 伊月の困りごとは

昔の相手を思い出すことそのものではなかった。


「いまなら

もう少しうまく話せたんじゃないかって

思う時があるんです」


「戻りたい?」


「戻っても、うまくいかないと思います」


「じゃあ、何をしたいのかしら」


 伊月は考えた。


「……あの頃の自分が

相手を嫌いだったわけじゃないと

知っていてほしいのかもしれません」


 あたしは、しばらく黙った。


 レリも言った。


『ボクが嫌だったんじゃなくて

ボクといる時の自分が嫌だったのかな』


 言った。

 あの子が。


 いま、はっきり思い出した。


 孫の顔が浮かんだ。

 その隣へ

目の前の男の顔が収まった。


 収まった途端に

孫が頭の中の部屋から出ていった。


 ちょっと待ちなさい。

 あんた、いつもそう。


「ママ?」


「いえ。内輪のこと」


「何か?」


「内輪だから、言わないわ」


 客の秘密は守る。

 孫の秘密も守る。


 あたしの記憶まで

一緒に逃がす必要はないんだけど。


*****


 伊月は、昔の相手へ連絡するつもりはなかった。


 いまの相手の

昔の女にも会いたくなかった。


「会ったら、文句を言ってしまいそうで」


「何の?」


「こんな面倒な男にして

渡すなって」


「もともとの可能性は?」


「かなりあります」


 あたしは笑った。


「向こうも同じことを思うかもしれませんよ」


「そうでしょうね」


 伊月は、少し間を置いた。


「でも、返す気はないです」


 そこで、あたしは

さっきの男が置いていった言葉を思い出した。


 昔の続きにしたくない。


 なるほど。


 二人とも

いまの暮らしの中にいる。


 昔のひとは、時々そこへ来る。

 本人ではなく

言えなかったことの姿で。


 泊めるのか。

 お茶だけ出して帰すのか。


 それは、住んでいる二人で決めることだろう。


「その言葉は

一緒に暮らしている方に言ってもいいんじゃない?」


「どれですか」


「返す気はない、の方」


「面倒な男、の方は言ってます」


「そちらは既に内服済みなのね」


*****


 伊月も、パッチを使わなかった。


 次の予約もしなかった。


「話したことは

忘れてもらった方が助かります」


「承りました」


「僕は、憶えて帰ります」


「お忘れ物のないように」


 男は、椅子の周りを見た。


 そういう意味ではなかったが

忘れ物がないに越したことはない。


 伊月が帰ったあと

アンディが言った。


「本日は、パッチの使用がありません」


「そうね」


「在庫確認をしますか」


「あたしを先に確認して」


「何をでしょう」


「いま、何かが全部つながりそうなの」


 アンディは、静かに待った。


 待ってもらうと

余計に何も出てこない。


「お茶を淹れて」


「何茶になさいますか」


「思い出せるやつ」


「商品名をお願いします」


 融通の利かない茶坊主だった。


*****


 閉店してから

突然、黒い傘が戻ってきた。


 現物ではない。


 あたしの頭の中へ

柄から突っ込んできた。


 江田。


 シカリ。


 あの黒い傘。


 娘は

誰のかわからないと言った。


 今日の男は

誰に貸したかわかっていた。


 あたしは立ち上がった。


 歩行器が音を立てて倒れた。

 いや、連絡すればいい。


 娘の名前を呼び出しかけて

止まった。


 何を訊くつもり?


『あんた、江田というひと知ってる?』


 どうして、と訊かれる。


『今日、うちに来たの』


 それは言えない。


 忘れてほしいと言った客の話を

娘に確かめるために使ってはいけない。


 あたしは画面を閉じた。


 偉い。

 さすが銀座のマダムだ。


 誰も褒めないので

自分で済ませた。


 その間に、傘が消えた。


*****


 家へ帰って、寝支度をした。


 顔を洗ったところで

伊月の話が戻ってきた。


 レリ。

 あの時の相談。


 いい奴だから、申し訳ない。


 努力が見えるから、休めない。


 別れてから休憩。


 丸写しじゃない。


 あたしはタオルを持ったまま

鏡の前で止まった。


 江田と伊月。


 シカリとレリ。


 親子二代で。


 その二人が、いま同じ家で。


「ちょっと」


 鏡の中のあたしも

たいへんな顔をしていた。


「どういうことなの」


 返事はなかった。


 顔を拭いたら

また少し消えた。


 水性なのか。

 この記憶。


*****


 ベッドへ入ると

今度は全部そろった。


 傘。

 娘。

 孫。

 男二人。

 二人分の夕飯。

 探していた眼鏡。


 眼鏡は関係ない。

 でも、そこだけ鮮明だった。


 あたしは枕を抱えた。


 面白い。


 面白すぎる。


 客の悩みを面白がっているのではない。

 この世の配線の仕方が

あまりにも雑なのだ。


 誰が繋いだの。

 資格持ってる?


 明日、娘と孫を呼んで。


 駄目。


 それでは守秘義務が

家族割引になってしまう。


 じゃあ、名前を伏せて。


 もっと駄目。

 傘を出した途端、娘に刺さる。


 あたしは寝返りを打った。


 何も言わない。

 何も書かない。


 でも、もう一度

最初から考えてみるくらいはいいでしょう。


 頭の中で、江田を座らせた。


 次に伊月を座らせた。


 向かい合った二人の間へ

シカリが割り込んできた。


 レリは、最初から帰りたそうだった。


 あたしの脳内まで

勝手に行動する一族だった。


*****


 認知症が治る時代になったというのに

どうも、うちの家系の頭の中には

別の花が咲いている。


 Amnesia。


 あたしが勝手にそう呼んでいる。


 水をやった憶えはない。

 咲いたところも、見た憶えはない。


 でも、何か大事なことを思い出すと

その根元へ、すっと持っていかれる。


 母にも咲いている。

 娘にも、たぶん。


 孫に至っては

鉢を持って歩いている気がする。


 品種改良だけはしないでほしい。


 あたしは、目を閉じた。


 内服薬も、外用薬も

今夜は要らない。


 パッチも要らない。


 ただ、誰かに一言だけ

言いたかった。


 あんたたち。


 相談に来る店くらい

もう少し離しなさいよ。


*****


 翌朝、よく眠った顔で目が覚めた。


 少し寝不足だった。


 何か考えていた気がするが

憶えていなかった。


 アンディに、昨夜の記録を訊いた。


「ご予約のないお客様、お二人。

次回予約なし。

処置なしです」


「そう」


 台所へ行くと

小さな花瓶が空だった。


 何か挿そうと思ったのかしら。


 忘れな草でも買ってこよう。


 その時、シカリから通信が入った。


「ママ、今日、寄るかもしれない。

何かいる?」


「別に。雨降るらしいから、傘忘れないでね」


「わかってる」


 通信を切って

あたしは少し首を傾げた。


 傘。


 何か、面白いことがあった気がする。


 まあ、いい。


 思い出したら

今度こそ誰かに話そう。


 話していいことだったらね。

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