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【連載版】俺、また馬に生まれました  作者: 猫のアミーゴ


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17/21

第13話 ノブさんとの対決

レース前のコースを見て回りながら、俺はここ数日を思い返していた。

きっと調教でノブさんが、来なくなり、タナカさんと調教するようになったのは、この日のためだった。

そういうことだったのか、と俺は理解した。そして冷静に考えた。

ノブさんは俺のクセを知り尽くしている。

でも、それは俺にとって不利なことではない。

タナカさんは、ジャンプするときのフォームをすごく重視する人だ。

ここ1~2週間、俺のフォームをタナカさんは、徹底的に調整してきた。

最初はやりにくいと感じたけど、ジャンプするたびに、少しずつ違いが出てくるのがわかった。

飛んだあとのロスが減っていく。ボーイの正確な飛越は、こうやって作られたのだ。

ボーイの「障害は、正確に飛べるようになれ」と言われた意味がよくわかった。

すでに俺はノブさんが知ってる俺じゃない。


ゲートに入って、すぐに扉が開く。ガシャン……。

スタートはしっかり決めた。だけど、大外から先頭をとるのはきびしく、俺は7~8番手ぐらいになった。

俺の少し前にノブさんが乗る馬がいる。それを見ながら走る。

最初の生垣を飛ぶ。スタンド前の直線に入ると観客の歓声が、いつもより大きく聞こえた。

水濠を飛ぶ。水しぶきが飛ばない。そのまま、連続で生垣を飛ぶ。

ここで俺はノブさんが乗る馬をかわした。正確に飛ぶことで、速さがなくても追いつくことができる。

平地にはない、ジャンプのテクニックで挽回できる。

障害レースは、俺にできることが多い―――。


1コーナーを回って、次のコーナーには、以前も苦しめられたバンケットが立ちはだかる。

毎日、坂路でしっかり鍛えたんだ。前よりずっと苦しくない。

一気に下り、急坂を駆け上がる。ここでもまた、前の馬をかわしていく。

直線に入り、生垣を飛ぶ、もうひとつ生垣を飛ぶ。

障害があればあるほど、俺に有利になっていく―――。

スタート地点が見えてきた。おそらくあともう一周走るはず。

ちょっとだけ、竹が生えてこないか気になった。


最初の生垣を再び飛び、スタンド前に戻ってきた。歓声が上がった……悲鳴?

レースに集中しなきゃ。

「右気をつけろ!!!!」

誰か騎手の大声が聞こえた。タナカさんが俺を左に寄せ、手綱を引く。

なに?!

右から抜かれた。え!?

騎手がいない????

俺を抜いた馬には騎手が乗っていない。

落馬したのか?空馬が生垣を飛び越えていく。続けて俺も飛ぶのだが、タナカさんはスピードをあげさせない。

空馬が左右にふらふらとして走っている。

どうすればいいんだ?俺はなんとか生垣を飛んだ。

初めての経験に俺はパニック状態だ。カイザーの時は、一人旅だったから、こんな経験したことがない。


空馬の前を走ることができれば、こんなことなかったのか――――?

ノブさんが乗っている馬が、空馬に近づいていく―――。

ノブさん危ないよ!!

ノブさんは空馬を、内ラチ側に閉じ込めるように並走し始めた。

封じ込めた?空馬はすぐ横にノブさんがいるから、ふらふらしなくなった。


そのまま、バンケットを越え、コースは外側のダートに向かっていく。

空馬はそのまま、芝のコースを走り去っていった。

安心したのも束の間、タナカさんが合図を出す。

もうすぐゴールだ!!俺は全力で前の馬を追いかける。

きつい。トラブルでスタミナを消耗しすぎているんだ。

「スー、頑張れ頑張れ!!!行け―――!!」

タナカさんが励ましてくれる。前の馬との距離が縮まらない。


追いつくことなく俺はゴール板を駆け抜けた。


俺は8着だった。

検量室けんりょうしつ前で、おっさんがニンジンをくれた。

あんちゃんのお土産かなぁ。ポリポリ……なんだか苦みを感じた。

前世が最強馬でも、知らないことってあるんだなぁ。

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