第11話 障害4戦目
朝方は、涼しいを通り越して寒いかなと思う気候になってきた。
絞りに絞られたエースは、G1で2着だったらしい。
急なダイエットの反動かな?おやつ解禁されるといいね。
今日も今日とて、俺は「まだ走りたいアピール」を繰り返して、マッチョ化計画を進めている。
ノブさんもあんちゃんも慣れてきたのか、
「スーやんは、障害好きなんだねぇ」と付き合ってくれる。
カイザーと違って、俺には足りないものが多いんだ。
だから調教もしっかりやる。馬一倍やるんだ。
少しずつ、成果が出てきていると思う。調教試験のように1周でヘロヘロになるようなことはもうない。
さすがに3周は無理だけど。
いつか平気になりたいなぁ。
きついけど、充実した特訓を送ってこれたと思う。
俺は4回目の障害レースに挑むことになった。
パドックで以前一緒に走った馬をちらほら見かける。
顔なじみに軽く頭をさげてご挨拶。
カイザーだったときは、メンツなんて気にもとめてなかったな。
みんな勝利目指して走っているんだなと初めて思った。
さて、パドックが終わったらノブさんを背に竹チェックだ!!
ついでにコースの確認。ノブさんが芝と砂地の境目を示してくる。
ここを通るってことだっていう意味だとわかってきた。
このコースは坂が少ない。……竹みたいに坂があとで盛り上がってきたりしないよね?
いつの間にか出現する竹の障害の謎のせいで何でも疑ってしまう。
平地とちがって障害レースは不思議がいっぱいだ。
ノブさんに誘導されてゲートが開くのをじっと待つ。
がしゃん。慌てず、すっと俺は飛び出した。
歓声があがる観客席が近い。俺カッコよく飛べてるかな?
ハードルと生垣を連続ジャンプ。ちょっとだけ観客席を見る。
この先のコーナーは狭いから、外に膨らまないように走るのが大事。
ロスなく回って、俺は先頭でコーナーを抜けた。
すぐに2つの生垣が迫ってくる。リズムよく超えていく。
生垣の上部のボーイいわく、やわらかブラシの感触はちょっと好き。
次はコーナーの真ん中の生垣。ちょっと斜めに飛ぶから難しい。
そのまま、またスタート地点に向かっていく。
ノブさんの感じから、もう一周同じところを走るのかな。
……そういうときって、竹の障害が増えてるんだよね。
絶対見逃さないぞ。俺はしっかりとコースを見据えた。
……増えてなかった。あっさりと同じコースを回り終えた。
ノブさんの合図で砂地の方へ進んでいく。
GOサインだ!!この先はゴールなんだ。
俺は慌てて全力ダッシュした。後ろから馬蹄がせまってくる。
俺のスピードで逃げ切れるか!!
あと200メートル、まだ先頭だ。
負けたくない!!!
あと100メートル。競りかけられる。
いやだ。抜かれたくない。俺はぐっと体を前に出すように食らいつく。
少しでも前に前に前に前に……。
「スーやん。ストップストップ」
ノブさんの声で自分がゴールを抜けたことに気づいた。
俺、何着だったの?
俺は1着だった。
検量室前で、おっさんが飴玉をくれた。
リンゴじゃない。
かりかり……リンゴの味がする!!
「ふふ、リンゴ味の飴にしたんだけど、気に入ったかな」
甘いリンゴが最高だけど、すっぱいリンゴより好き。
おっさんに俺は頭をこすりつける。
今日俺頑張ったよね。もう一個ほしいなぁ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
ついに連載版が、短編の最後のお話に追いつきました!
ここから先は、短編では描いていないスーやんの物語になります。
短編を読んでくださった方も、これからは初めて読むお話になると思います。
引き続き、スーやんを見守っていただけるとうれしいです。




