石炭炭鉱を復活せよ ②
第20話 石炭炭鉱を復活せよ ②
炭鉱村は夜でも黒かった。
煤が染みついた家々。
どこか湿った空気。
男たちの荒い笑い声。
村長は熊のような体格だった。
だが握手した手は温かい。
「命を懸ける仕事です。無理はなさらんでください。」
その一言に、社長はこの村が何度爆発を経験したかを悟った。
酒樽と干し肉を渡すと、村人たちは目を輝かせた。
「本当に復活できるのか?」
「爆発しねぇだろうな?」
疑いと期待が入り混じった目。
社長はただ頷いた。
「やってみる。」
◆
翌朝。
塞がれた坑道入口に蒸気トラックを横付けする。
もう一台は鉄輪に換装し、レールへ。
簡易機関車となったそれは、トロッコを軽々と牽引した。
発電開始。
ベルトが回る。
ゴウン……ゴウン……
少年が掘削機を構える。
ドリルが回転。
石が崩れる。
男たちが岩を持ち上げ、コンベアへ載せる。
岩は流れ、トロッコへ落ちる。
トロッコが動く。
捨て場へ。
それを何度も繰り返す。
汗が流れる。
石炭粉が舞う。
誰も文句を言わない。
――止まれば、終わる。
その空気だけが、全員を動かしていた。
三日目。
入り口が完全に姿を現した。
支柱を立て、当て木で補強。
そのとき――
ガス検知器の針が、わずかに揺れた。
誰かが息を止める。
だが社長は言う。
「止めるな。」
低い声だった。
「止めれば、また埋まる。」
男たちの目が変わる。
再び、作業が動き出した。
村長が静かに言う。
「……帰ってきたな。」
坑道が。
黒く、深く、そして――
まだ生きている。
しかし、本番はここからだ。
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