表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!  作者: 神永ちろる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/194

ソンナ村 発電所・製材所・工場 完成式典

第6話 ソンナ村 発電所・製材所・工場 完成式典


 青空の下、蒸気塔から白い煙がゆっくりと立ちのぼる。


「――以上をもちまして、ソンナ村工業施設は完成いたしました。」


 社長の挨拶が終わると、大きな拍手が巻き起こった。

 村人、職人、銀行関係者、そして王都からの役人たち。


 長机には料理が並び、酒樽が開かれる。

 村は久しぶりの賑わいに包まれていた。


「本当にできちまったな……。」


「うちの村に発電所だなんて。」


 子どもたちは煙突を見上げ、はしゃいでいる。


 ――だが。


 異変は、静かに始まっていた。

蒸気の不機嫌


「出力が安定しません!」


 ボイラー室に緊張が走る。

 圧力計の針が、不規則に揺れていた。

 回転数が上下する。


「……まずいな。」


 社長の表情が引き締まる。

 製材所は動いている。

 巨大な丸鋸が木を切り裂く音が響く。


 だが――


 発電が止まれば、すべてが止まる。

 製材所も。

 オルゴール工場も。

 すべてが連鎖的に止まる。

 完成式典の裏で、崩壊の危機が進行していた。


徹夜

 社長は迷わずボイラー室に籠もった。

 汗と煤にまみれながら、弁を調整する。

 蒸気圧を計算し、流量を読む。


「……ここだ。」


 わずかな調整。

 そして――

 再起動。

 ゴウン、とタービンが唸る。

 回転は戻った。

 だが。


「出力……八割です。」


「……足りないな。」


 完全ではない。

 それでも止めるわけにはいかなかった。


「回し続ける。止めるな。」


 低く指示を出す。

 発明家、鍛冶屋、ボイラーマン。

 全員が交代で監視に入る。

新たな問題


「石炭の消費が多すぎます。」


 報告が上がる。

 社長はすぐに理解した。


(効率が悪い)


 燃費が悪ければ、利益が削られる。

 人手も足りない。

 ボイラーマンの増員が必要だ。

 工業は回り始めた。


 だが――

 まだ“勝ち”ではない。


製品

 小型オルゴールは量産が始まった。

 だが内部機構は繊細だ。

 歯車一つのズレで、音は濁る。

 工程ごとに班を分け、最終組立は熟練者に任せる。

 品質を優先した。


 一方――

 ピンホールカメラは順調だった。


「じっとしていろ、三十秒だ。」


「え、長い!」

 村人が笑う。

 社長は内心で苦笑する。


(スマホなら一瞬だが……。)


 だが、それはこの世界には早すぎる技術だ。


万年筆

 北区工場では万年筆が完成した。

 銀貨三十枚。

 高級品は百二十枚。

 漆黒の軸に、金の装飾。

 贈答品としても通用する。


「……少し漏れるな。」


 問題はある。

 だが、売れる。

 確実に。


改名

 工業は動き出した。

 問題は山積み。

 だが、止まってはいない。

 確実に前へ進んでいる。

 社長は村を見渡した。

 煙。

 光。

 働く人々。


「……名前が弱いな。」


 ソンナ村。

 どこか頼りない響き。

 社長は決断する。


「今日より、この村の名を――サンブレロ村とする。」


 一瞬の静寂。


 そして――歓声が上がった。


 新しい名前。

 新しい誇り。

 蒸気と電気の村は――

 正式に生まれ変わった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価【★★★★★】で応援していただけると嬉しいです!

すごく励みになります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ