ソンナ村 農業断念、工業へ
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第5話 ソンナ村 農業断念、工業へ
農業再生の断念を、社長は村長に伝えた。
村長は静かに頷いた。
「……やはり、そうですか。わしも分かっておりました。」
長年この土地を見てきた者の、重い言葉だった。
「発明家男爵さまに、お任せいたします。」
その一言に、村の命運が乗る。
社長は短く答えた。
「必ず、食える村にする。」
工業化、始動
まずは人を雇う。
希望者は全員、工業員として採用した。
「働きたい者は全員来い。仕事は用意する。」
その言葉に、村人たちの目の色が変わる。
作業は、敷地の伐採と整地から始まった。
斧の音。
汗の匂い。
杭を打つ鈍い振動。
基礎工事に入ると、さらに過酷になる。
石を運び、地面を叩き固め、型枠を組む。
重労働だった。
だが――
料理人が栄養満点の料理を振る舞う。
夜になれば、社長が酒樽を担いで現れる。
「今日はここまでだ!」
笑い声が広がる。
疲労の中に、確かな充実があった。
そして何より――
「……これで、金がもらえるんだな。」
初めて手にした賃金に、村人の手が震えた。
労働は“希望”に変わった。
士気は高まり、基礎は予定よりも早く完成する。
蒸気の怪物
その裏で、社長は密かにあるものを組み上げていた。
蒸気トラック。
水と石炭で動く、鉄の塊。
「……動け。」
圧力計が震え、白い蒸気が噴き出す。
ゴトン――
ゆっくりと、だが確かに車輪が回った。
「成功だ。」
低く呟く。
だが問題もあった。
始動に時間がかかる。
頻繁に故障する。
整備も面倒だ。
「まだ甘いな。」
社長は迷いなく改良に入る。
そして――
二号機、蒸気トラック二型が完成。
資材運搬は一気に加速した。
村人たちは目を見開く。
「鉄の……馬だ……。」
建設ラッシュ
一ヶ月後――製材所完成。
三ヶ月後――発電所完成。
半年後――工業施設群が立ち並ぶ。
止まらなかった。
人も、資材も、金も、すべてが回り始めていた。
光
夜。
社長はスイッチに手をかける。
「いくぞ。」
カチリ――
次の瞬間。
ソンナ村に、初めて電灯が灯った。
闇に沈んでいた村が、白く照らし出される。
「……明るい。」
子供の声が震える。
誰もが、空を見上げていた。
それはただの光ではない。
飢えと絶望に沈んでいた村に灯った――
“未来”だった。
社長は静かに呟く。
「これで、もう飢えない。」
農村だった村は、終わった。
ここからは――
蒸気と光で稼ぐ村だ。
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