民衆からの裁き
第64話 民衆からの裁き
民衆がざわめいていた。
「あのマルペン商会の経理課長が犯人をつかまえたらしいぞ」
「しかも黒幕の〇〇商会社長が主犯だったってさ」
倒産の真相と、その裏に潜んでいた陰謀。
それは瞬く間に街中へと広がっていった。
「やっぱりマルペン商会の社長さんは悪くなかったんだわ」
「不渡りさせたのは、あの悪い噂を流した販売課長ね!」
人々の声は、次第に確信へと変わっていく。
やがて――
犯人の販売課長と〇〇商会社長は、縄で縛られたまま衛兵に連行されてきた。
ざわり、と空気が揺れる。
次の瞬間、怒号が弾けた。
「裏切り者!」
「よくもマルペン商会を潰したな!」
「報いを受けろ!」
罵声とともに、小石が飛ぶ。
一つ、また一つと。
それはやがて雨のように降り注ぎ、二人の体を打ちつけた。
「マルペン商会の社長さんは、いい人なんだ!」
「人を脅して会社を潰した報いを受けるがいい!」
二人は顔を伏せ、ただ耐えることしかできない。
かつての威勢は、どこにもなかった。
項垂れ、縛られ、引きずられるようにして進むその姿は――
もはや哀れとすら言えた。
それでも、歩みは止まらない。
行く先々で新たな罵声が浴びせられ、石が投げられる。
街そのものが、彼らの罪を拒絶していた。
やがてその姿が遠ざかり、見えなくなる頃――
喧騒は、少しずつ静まっていった。
残されたのは、奇妙なほどの静けさだった。
「……終わったな」
ぽつりと、社長が呟く。
その隣で、ケイトは静かに息を吐いた。
すべてを暴き、ここまで辿り着いた張本人だった。
「はい……これで、やっと……」
その言葉の先は、続かなかった。
だが、それでよかった。
すべては終わり――
そして、ここから始まるのだから。
社長はゆっくりと空を見上げた。
どこまでも澄み渡る青空が、そこには広がっている。
まるで、すべてを洗い流したかのように――
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