復讐、完全勝利
第63話 復讐、完全勝利
経理課長ケイトの働きにより、事件は一気に決着へと向かった。
衛兵の取り調べ室では、販売課長が椅子に縛り付けられ、顔面蒼白で震えていた。
「証拠はすべて揃っている。言い逃れはできんぞ!」
机を叩きつける尋問官。
その音に肩を震わせながら、販売課長は叫ぶ。
「ま、待ってくれ! 俺は……脅されて仕方なくやったんだ!」
「脅したのは誰だ?」
間髪入れず、冷たい声が突き刺さる。
「〇〇商会の社長だ! 借金を盾にして……家族がどうなってもいいのかって……!」
その瞬間、室内の空気が変わった。
「主犯は別にいる、ということか」
「ち、違う! 俺はただ命令に従っただけで……!」
情けなく取り繕う声は、もはや誰の同情も引かない。
◆
その日のうちに、〇〇商会の社長は捕縛された。
「俺は何も知らん! あいつが勝手にやったことだろう!」
豪奢な服を乱しながら暴れる社長。
しかし――
「言い訳は詰め所で聞こう」
衛兵隊長の一言で、その抵抗はあっけなく封じられた。
腕をねじ上げられ、無理やり馬車へ押し込まれる。
かつて他人を見下していた男の姿は、もはやそこにはなかった。
◆
一部始終を見届けたケイトは、小さく息を吐いた。
(これで――終わり)
冷静な表情の奥で、わずかな達成感が灯る。
証拠の収集、資金の流れの特定、関係者の洗い出し。
すべては彼女が裏で組み上げた“罠”だった。
すべて計算され尽くしていた。逃げ場など、最初から存在しなかったのだ。
「……これで、ようやく報告ができる」
「御主人様を苦しめた報い――これできっちり返したわ」
そう呟き、ケイトは踵を返す。
夜の街は静かで、何事もなかったかのように灯りが揺れている。
だが――
その裏で、一つの商会が音もなく崩壊した。
復讐は、すでに完了している。
――誰にも気づかれぬままに。
最初から、勝負にすらなっていなかった。
完全に。
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