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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!  作者: 神永ちろる


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アークガイルとは?

第20話 アークガイルとは?


騎士団との定例会議の席で、ヤマタニは静かに口を開いた。


「アークガイルとは何者だ? 知っている者はいるか?」


その名に、場の空気がわずかに揺れた。


「……?」


「誰です、それは?」


誰一人として、その名に心当たりはない。

ヤマタニは小さく息を吐く。


「どうやら俺を狙っている黒幕だ。人身売買を生業

にしている闇商人――それがアークガイルらしい」


ざわり、と空気が重くなる。


「孤児を攫って売る……か」


「外道ですね……」


誰かが吐き捨てるように言った。


「俺が孤児を雇ったり、保護したりしているのが気に入らないんだろう。商売の邪魔になるからな。」


「だからヤマタニ様を排除する……。」


ミランドの言葉に、ヤマタニは頷いた。


「そういうことだ。」


「身勝手にも程がありますな。」


ゴドールが低く唸る。


「しかも、厄介なのはそこだけじゃない。」


ヤマタニは続けた。


「奴は決して自分の手を汚さない。他人を使って仕掛けてくる。証拠も残らない。」


「……捕らえても、暗殺の罪には問えぬ、というわけですか。」


「だが、人身売買でなら捕まえられるはずだ。」


ヤマタニの声に、わずかな殺気が混じる。


「何か掴んだ者は、すぐ報告してくれ。」


その一言で、会議は締めくくられた。

だが――

結局、アークガイルに関する情報は一つとして上がらなかった。

まるで最初から存在しないかのように。


「……やはり、素人では無理か。」


ヤマタニは独りごちる。

こういう裏の情報は、専門家の領分だ。

――情報屋、バグリー。

これまでの嫌がらせ、妨害、暗殺未遂。

すべてが繋がっているのだとすれば――

根を断たなければ、終わらない。


「命がいくつあっても足りんな……。」


ヤマタニはカミルを呼び寄せた。


「何か手はないか?」


「……厄介な相手に目を付けられておりますね。」


カミルは即答した。


「情報収集に長けた者――密偵を雇うべきかと。」


「密偵か。」


「敵の動きを事前に察知し、居場所を探る。闇の相手には、闇で対抗するしかありません。」


「なるほどな……。」


ヤマタニは顎に手を当てる。


「どうやって雇う?」


「隠密、潜伏、変装に長けた者……シーフや忍びの類でしょうか。冒険者の中にもいるはずです。」


「ならギルドだな。」


翌日、ヤマタニは冒険者ギルドを訪れた。

――が。


「申し訳ありません。ギルドマスターは不在です。」


いきなりの空振りだった。

代わりに現れたのは、副官の男だった。


「サブマスターのスファンと申します。」


元冒険者らしい体格だが、物腰は柔らかい。

話を聞いたスファンは、少し困ったように笑った。


「確かにシーフや忍びはおりますが……彼らは自由を好みます。仕える、という形は難しいかと。」


「そうか……。」


どうやら当てが外れたらしい。

ヤマタニは肩を落とす。


(やはり――あいつか。)


気は進まないが、頼るしかない。

情報屋バグリー。


「女神の雅亭……だったな。」


店を見つけて入るが――


「バグリー? 今日はまだ来てないな。夜なら来るかもな。」


またしても空振り。


「ちぐはぐだな……今日は。」


仕方なく屋敷へ戻ると――


「ククク……お待ちしておりましたよ、ヤマタニ様。」


そこには、まるで最初からいたかのように、バグリーが立っていた。


「……お前、どこから入った。」


「必要な時に、必要な場所に現れる。それが情報屋というものです。」


不気味な笑み。


「アークガイルを探すため、シーフを雇いたいのでしょう?」


「……相変わらず抜け目ないな。」


「蛇の道は蛇、ですよ。」


バグリーは指を三本立てた。


「腕の立つ者を三名、ご用意できます。」


「即答だな。」


「商売ですから。」


ヤマタニは即決した。


「雇う。」


こうして三人のシーフが雇われた。

即座に命じる。


「アークガイルを探れ。どんな小さな情報でもいい。」


「はっ。」


影のように、三人は姿を消した。

――これで、何か掴めるかもしれない。


だが。

ヤマタニはまだ知らない。

アークガイルという存在が――


“探す側”すら、既に見ていることを。

そしてその闇が、想像以上に深いことを――。

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