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36話 日常

 キース達がデリントンの街へ戻ってきてから半月ほどでリタも戻ってきた。

リタは体術だけではランクの高い魔獣と戦うのは難しいと考えたのか、双子に頼んで今は剣術の特訓を受けている。


 元々、身体能力の高いリタはすぐに剣術を習得し、皆で魔巣窟の森へと狩りに出かける。

今ではCランク魔獣であれば、群れであっても相手できるほどの実力となった。


 今日もオーガ5体を相手どり、無傷でオーガ5体を屠った。そして魔石と討伐部位を斬り取ってリュックの中へ入れていく。


 トロール四体も一人で一体を相手する。キースのバフ、デバフの支援魔法が、味方、敵にかけられた。


 そしてキースも一体のトロールを相手取る。


 キースは体内の魔力を循環させて『肉体強化』を完成させると、トロールに向かって上段から袈裟切りに剣を振り下ろす。剣はトロールの筋肉を裂いて、トロールを一撃で屠る。


 スーラとウーラは四本のシミッタ―で二体のトロールと対峙する。

見事な連携プレイで二体のトロールの首を跳ね飛ばした。


 リタは得意の身体能力を活かして、トロールの頭に膝蹴りを叩き込み、トロールが目を回している間に、トロールの利き腕の手首を斬り落として、棍棒を地面に落とす。

そして暴れるトロールへ跳躍し、剣でトロールの首を半分斬り裂く。

暴れまわっていたトロールは段々と力を失い絶命した。



「やっぱり、キースの支援魔法があれば、私達、強いね」


「そうです。キースの支援魔法は無敵なのです」



 スーラとウーラが喜んで、リタとハイタッチしている。

そしてトロールの胸から魔石を斬り出し、討伐部位をリュックの中へ入れる。



「今日はこれぐらいでいいだろう。オーク10体も倒しているし」


「「デリントンの街へ戻りましょう」」


「リタはもう少し戦っても大丈夫だよ」


「必要以上に狩っても仕方ないからな。今日はこれで十分だ」



 キース達はデリントンの街へと戻った。

そして冒険者ギルドに寄って、討伐依頼完了の報告と、魔石と討伐部位の交換をすませる。


 毎日のように魔巣窟の森で魔獣を討伐しているので、キースの貯金も莫大になっていった。



「ロミンダ、今日は夕食を一緒に食べないか。もちろん俺達が奢るよ」


「ありがとうございます。今日は早あがりできますし、一緒に食事をさせてもらいます」



 カウンタ―に立っているロミンダが嬉しそうに微笑んでいた。



「それじゃあ、冒険者ギルドの裏扉の所で待っているから」



 そう言って、キース達は冒険者ギルドを出て、裏扉の所でロミンダを待つ。

ロミンダと食事をするのは、まだキースがソロだった時以来だ。


制服から私服に着替えたロミンダが裏扉から出て来て、キース達を並ぶ。



「今日はあの店にいきましょうよ。『オークの胃袋亭』懐かしいでしょ」



 ロミンダの案内で『オークの胃袋亭』へ行く。そして中に入って六人掛けテーブルに座った。

店主がすぐにオーダーを聞きに来る。



「ロミンダさん、お久しぶりですね。今日は団体さんですか。嬉しいですね」


「エヘヘ……今日はたっぷりと食べますよ。オークのステーキ、ガチャの丸焼き、一角兎のシチューをください。あとサラダをお願いします」


「「私達もロミンダと同じがいい!」」


「それじゃあ、同じメニューを五人前お願いします」



 店主は会釈すると、オーダーを持って厨房へ消えていった。

ガチャというのは鶏ににた魔獣だ。肉が美味しいので店に料理として出されることが多い。

一角兎もEランク魔獣だが、シチューにすると美味しいことで有名な魔獣だ。


 料理がくると、リタ、スーラ、ウーラの三人は夢中で料理にかじりついている。

それを微笑ましそうにロミンダが笑っている。



「キースさんがソロで行動していた時は、こんなにキースさんが強くなるとは思っていませんでした」


「俺もソロでいた時は、今の自分なんて想像もできなかった。あの時は一人になって不安ばかりで」


「そうでしたね。でも今ではAランク冒険者ですから。自信を持ってくださいね」


「今は魔巣窟の森でも、安全に狩りができるようになった。自信もそれなりにつきました」



 ロミンダとキースは和やかに料理を食べていく。ガチャの丸焼きは肉汁が多く、肉も柔らかくて美味しい。一角兎のシチューもよく煮込まれていて美味い。



「これからはどうされるんですか? Aランク冒険者なら、他の街でも引く手あまたですよ」


「他の街も見てみたいけど、魔巣窟のような森はなかなかないから、どうしようか悩んでいます」


「そうですね。冒険者にとって魔巣窟の森は魅力的な狩場ですからね」


「アルナが戻ってきたら、五人で話し合って、どうするか決めるつもりです」



 双子にリタは戻ってきたが、アルナがまだ戻ってきていない。何かを決めるにしても全員で決めていきたい。だからキースはアルナを待つことにした。



「アルナさん、早く戻ってくればいいですね」



 世界樹の森は、魔巣窟の森を超えた奥地にある森だという。アルナが戻ってくるまでにはまだ日数がかかるだろう。


 それまで四人で魔巣窟の森で狩りをしながら待つとしよう。

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