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37話 新たな旅立ち

 アルナが戻ってきたのは半年後だった。

アルナは相変わらず覆面をして姿を現した。



「待たせたわね。里からなかなか外に出られなくて苦労したわ」


「戻ってきてくれて嬉しいよ」


「私がいないと、スーラ、ウーラ、リタの三人だと、あまり考えなしに戦いだしそうだしね」



 確かにアルナの言う通りだ。魔巣窟の森に入っても三人共に好戦的なので、すぐに狩りが始まってしまう。

今でこそ、実力があるので危ない戦いになることはないが、不注意であることは確かだ。



「それで私が戻ってきたのは、私の意思じゃないの。エルフの里の意思でキース達を迎えにきたのよ」


「どういうことだ?」


「今、世界樹が枯れかけているの。原因は世界樹に寄生した虫型の魔獣。その虫型の魔獣が世界樹に穴を開けて、養分を吸い取ってしまうのよ」


「それは大変じゃないか。しかしエルフだけで対処は無理なのか?」


「エルフの里と言っても人数は限られているわ。それに虫型の魔獣はBランク魔獣ほどに強いのよ」



 キースは思わず考える。

このまま魔巣窟の森で狩りをしていれば安全に暮らせた。

しかし、世界樹を助けにいくとなれば、今の安全な暮しを捨てることになる。



「無理を承知で頼みたいの。キースの支援魔法が必要なの。だから私達の世界樹を助けて」


「世界樹が枯れればどうなるんだ?」


「世界樹が枯れれば、精霊が生まれない。だから精霊魔法を使える者が一人もいなくなる。後、天変地異が起こると言われているわ。被害はデリントンにも出るでしょうね」



 天変地異が起こる。

デリントンの街にも影響が出る。

それだけは避けなければならない。



「わかった。アルナに協力しよう。俺達だけでは不安だから赤竜のマルガにも協力を依頼する」


「マルガがいれば心強いわ」



 キースは双子とリタに世界樹の森へ向かうことを告げた。

するとリタと双子は大喜びでハイタッチをしている。



「最近、魔巣窟の森だと飽きちゃって、違う森へ旅をしたかったところだったのよ」


「「皆で世界樹の森へ行こう!」」



 世界樹の森は行くには片道一ヵ月はかかるという。赤竜のマルガに協力してもらうつもりでいるが、協力してもらえない時は自分達へ一ヵ月かけて歩いていくしかない。


 準備の怠りは死を意味する。入念なチェックをいれながら旅に出る準備を進めた。

肉屋に行って干し肉を大量に補給しておくことも忘れない。

剣もシミッターも武器屋で新調しなおした。


 そしてキース達は宿屋の宿代を全て清算して、宿を出て冒険者ギルドへ行く。

冒険者ギルドではロミンダがせわしなく働いていた。



「ロミンダ、アルナが戻ってきた。そして世界樹が枯れて危ないらしい。俺達は今から世界樹の森へ行って、世界樹を枯らしている魔獣を退治してくるよ」


「世界樹の森といえば、魔巣窟の森よりも奥深い森だと聞いています。今まで誰一人、世界樹の森へ行って戻ってきた冒険者はいないと聞いています」


「それでも行かなくちゃならないんだ。世界樹が枯れれば世界が天変地異に見舞われるらしい。デリントンの街もこのままでは済まない」



 ロミンダが真剣な眼差しでキースを見る。

キースもロミンダの視線を真正面から受け止める。



「止めても無駄なのですね」


「ああ……もう決めたことだ。俺達は世界樹の森へ行く。だが問題が解決すれば戻ってくる」


「絶対に戻ってきてくださいね」


「ああ……約束する」



 そして冒険者ギルドを出て、デリントンの街を出て西の森へ入る。魔獣達との遭遇を避けて魔巣窟の森の奥へと歩いていく。


 一週間かけて獣人の隠れ里に到着した。

そこで仲間達には待機していてもらう。

ワイバーンの背に乗り、火山の火口まで飛んでいく。


 火口に着いたキースを見て、赤竜のマルガが立ち上がる。



「どうした? また特訓にでも来たのか?」


「違う。今回は頼みがあって、やってきた。世界樹の森で世界樹が枯れているらしい。このままでは大変なことになる。一緒に世界樹を守ってほしい」


「世界樹が枯れるだと……そんな馬鹿な……あれは神樹だぞ」


「虫型の魔獣が世界樹に穴を掘って養分を吸い取っているらしいんだ。それも大量の虫型の魔獣がいるらしい」


「世界樹の森か……あそこは木竜の縄張りなんだがな。木竜は何をしているんだ?」



 キースには木竜が何をしているかわからないし、知らない。

ただ、世界樹が枯れそうで危ないとしか聞いていない。



「わかった。キースには恩義がある。一緒に世界樹の森へ行こうではないか。我がいれば魔獣達は寄ってこない。それだけ旅が楽になるはずだ」



 赤竜は人化の法を使ってマルガの人の姿になった。

そしてワイバーンの背に乗って、獣人の隠れ里に降り立った。



「マルガも世界樹の森へ一緒に行ってくれる。助っ人だ」


「マルガが来てくれると心強いわ。ありがとうマルガ」


「我も木竜と話をせねばならんのでな。世界樹のことは木竜が管理しているはずだが」


「木竜様はエルフと一緒に戦っておられます」


 アルナがマルガの疑問に答えた。

マルガが頷いて、キース達全員を見つめる。


「では我らも行くとするか、キース準備は良いか」


「ああ……俺達はいつでも行けるぞ」


 キース達とマルガはアルナの案内の元、世界樹の森へと旅立った。


                                  END

完結しました。応援くださった読者様、誠に感謝いたします。

ブクマ・評価・コメントの応援をよろしくお願いいたします(*^▽^*)

完結にて、評価が入ればとても嬉しいです(*^▽^*)

応援ありがとうございました。                  潮ノ海月

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