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34話 事後処理

 ローランド達を倒してしばらくすると、デリントンの街を警護する警備兵が『シュトラウス』の本部へ乗り込んできた。


 あれだけ暴れまわったのだから、騒動を聞きつけて警備兵が来るのも仕方がない。


 キースは『シュトラウス』の幹部達が魔巣窟の森の赤竜の卵を盗んだことを警備兵に説明する。意識を取り戻したローランド達も大人しく警備兵の尋問に答えている。


 その後に警備兵による『シュトラウス』の本部への捜索が行われ、地下の倉庫から無事に卵は発見され、キース達の手に卵は戻された。



「早く赤竜の所へ卵を返してくれ。デリントンの街に被害が出てはたまらん」



 警備兵達はマルガが赤竜であることを知らない。だからキース達に早く魔巣窟の森へ入って、赤竜の元まで卵を返してこいと言ってくる。


 キースは警備兵達に話を合せて、近々、魔巣窟の森は入って赤竜に卵を返すと言っておく。

すると警備兵達の顔から安堵の息が漏れた。


 誰もSランク魔獣、赤竜に恨みを持たれたくない。


 ローランド達と幹部の三人達はロープで体を縛られて、警備兵に捕まえられ、引っ張られて行った。赤竜の卵を盗んだ件に関しては激しく尋問されることだろう。


 キース達は『シュトラウス』の本部を出て、自分達の宿へと戻った。もちろんマルガは卵を胸に抱いて、宿へ付いてきている。


 宿屋の主人に頼んで一部屋借りて、マルガに使ってもらうようにする。



「色々と世話になる。キースには何かお礼をせねばならぬな」


「困っている時はお互い様だよ。マルガには戦いの時に助けてもらったし」



 そう言って、皆、各々の部屋に戻って、宿屋でくつろいだ。

キースも装備を外して、ベッドの上に乗って天井を見る。


 大戦斧のベルド、炎の精霊使いのアウリール、賢者ハンヒェン、炎剣のローランド、全員がAランク冒険者で強敵だった。


 今までのキースなら、彼等に対抗する術もなく、叩き伏せられていただろう。

それが対等に戦うことができた。

これはキースにとって大きな財産といえた。


 今まで自分のころを非力と思っていたキースは今はいない。『シュトラウス』の幹部達を倒したキースがいるだけだ。


 しかし、この勝利は一人だけで勝ち取ったモノではない。パーティの仲間達がいたからこその勝利だ。仲間達との信頼によって勝利したといってもいいだろう。


 キースはパーティの仲間達との信用、信頼をこれからも大事にしていこうと心に誓った。

目を閉じると疲れがドッと出てきて、睡魔に襲われて、キースへ眠りに落ちた。







 キース達が『シュトラウス』の本部へ乗り込んでから一週間が経った。

『シュトラウス』は闇商人と繋がっていたことが、ローランド達を尋問することによって明かとなった。

その結果、大派閥ギルド『シュトラウス』は解体となった。

『シュトラウス』にいた多くの冒険者達が、デリントンの冒険者ギルドを頼ることとなった。


 宿で朝食を食べ、冒険者ギルドへ立ち寄ると、ロミンダが冒険者達の対応に忙殺されていた。

ロミンダには『シュトラウス』襲撃の件は既に話してある。


 受付カウンターへキース達が向かうと、ロミンダが少し頬を膨らませてキース達を見ている。



「キースさん達が『シュトラウス』を解体したので、冒険者達が溢れかえっています。ほとんど全員が、冒険者ギルドへ流れてきました」


「それは悪いことをしたな。ここまで規模が大きくなるとは思わなかったんだよ」



 ロミンダはキースの言葉を聞いて、静かに優しく頷く。



「キースさん、他の皆さんも冒険者カードを出してください。冒険者カードの更新をします」



 キース達五人は冒険者カードを受け皿に置く。するとロミンダは冒険者カードを持って、カウンタ―の奥へ行って作業を始めた。そして作業を終えてカウンタ―へ戻ってくる。



「これが皆さんの冒険者カードです。皆さん昇格していますから、おめでとうございます」



 リタはEランクからDランクへ昇格していた。アルナはDランクからCランクへ昇格。スーラとウーラの双子はCランクからBランクへ昇格した。そしてキースはAランクになった。



「ヤッタね。キース……Aランク冒険者じゃん」


「Aランク冒険者はなかなか成れないのです」



 スーラとウーラがキースに抱きつく。スーラとウーラの甘くて優しい香りが鼻をくすぐる。



「これからはキースさんにはAランク冒険者として、後輩たちの指導にもあたってもらいたいです」


「それは遠慮しておくよ。俺には人を教える才覚はないから。それにまだ冒険を続けたいし」


「キースさんのことだから、そう言われると思っていました。残念ですが諦めます」



 ロミンダはそう言って、花が咲いたように微笑んだ。


 冒険者ギルドを出て、デリントンの壁門を通って、街道へ出る。そして西の森へ入った所で、マルガがキースに深く礼をする。



「キースのおかげで卵が無事に手元に戻ってきた。この恩は忘れない。いつでも火山へ遊びにきてくれ。獣人の隠れ里からワイバーンに乗れるように手配をしておこう」


「ありがとう……また剣技を鍛えに、赤竜の元へ行かせてもらうよ。その時は仲間達も一緒だけど、それでもいいか?」


「キースの仲間だからな。我としても大歓迎だ。それではサラバじゃ」



 そう言って、マルガは卵を抱いて魔巣窟の森の奥へと消えていった。

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