32話 精霊魔法士アウリール
「ほう……精霊魔法で私に挑むというのですか?」
「精霊魔法はアナタだけが使えるわけじゃないわ……精霊の加護は私にもあるわ」
「面白い……受けてたちましょう」
アウリールの前にアルナが立ちはだかる。
アウリールが余裕の笑みを浮かべて杖を振るう。
『炎の精霊よ。サラマンダーよ。我の声に応えよ。かの者を炎によって灰塵と化せ』
『風の精霊よ。シルフよ。我が声に応えよ。かの者の炎より我を守れ』
空中に出現した炎がアルナに向かって飛翔する。
しかし、アルナの周りに風の障壁ができ、炎を弾き飛ばした。
『風の精霊よ。シルフよ。風の竜巻となって、かの者を風の刃に包み込め』
『炎の精霊よ。サラマンダーよ。我が声に応えよ。かの者の竜巻を炎で防げ』
アルナの作り出した竜巻がアウリールに襲いかかる。それをアウリールの炎が竜巻に巻き込まれるように重なりながら、炎が竜巻を喰らい尽くした。
「やりますね。ですが、その程度では私を倒せません」
「大丈夫よ。私にはキースがついているから。キース支援魔法を頼むわ」
「わかった。アルナ支援する」
『俊敏15%アップ、魔法防御15%アップ、魔法攻撃15%アップ、魔力15%アップ』
アルナの周りを光の粒子が包み込む。
『俊敏15%ダウン、魔法防御15%ダウン、魔法攻撃15%ダウン、魔力15%ダウン』
紫の粒子がアウリールを覆い尽くす。
「クソっ、キースめ。やはりキースが邪魔なようですね」
「キースの元へは行かせないわよ。あなたの相手は私」
アルナはアウリールを挑発する。
アウリールは歯をギリギリと噛みしめた。
『炎の精霊よ。サラマンダーよ。我が声に応えよ。かの者を炎の竜巻で焼き尽くせ』
『風の精霊よ。シルフよ。我が声に応えよ。かの者を風の刃の竜巻で斬り刻め』
アルナとアウリールの間で炎の竜巻と風の竜巻が激しく激突する。
「今よ。スーラ、ウーラ」
「「待ってました!」」
ウーラとスーラが四本のシミッターを抜いてアウリールに迫る。
「貴様達、卑怯だぞ」
「誰も一対一の戦いなんて言った覚えはないわよ。私達はパーティなの」
「クッソー」
『炎の精霊よ。サラマンダーよ。我を守れ』
炎の竜巻がアウリールの周りを囲む。
飛びこもうととしていたスーラとウーラは途中で着地して炎を回避する。
アウリールが力を分散したために、アルナの風の竜巻が炎の竜巻に打ち勝つ。
そしてアウリールへと迫っていく。
「ウワァーー」
アウリールは風の竜巻の巻かれ、体を斬り刻まれた。
そして地面に倒れた。
「情けない奴だ。これぐらいのことでやられるとは」
声の方向を見ると賢者、ハンヒェンが杖を持って立っていた。
『氷結の礫』
ハンヒェンが詠唱すると空中に氷の礫が現れて、キースへ向かって飛んでくる。
キースとリタは咄嗟の判断で氷の礫を避けて地面に伏せる。
『土壁』
キースが伏せた地面が隆起して、キースは地面から吹き飛ばされる。
リタがキースを心配して駆け寄る。キースはリタに肩を貸してもらって立ち上がった。
「皆を支援する」
「無駄だ。『魔法防御結界』」
キースがハンヒェンにデバフをかけようとする前に『魔法防御結界』を張られてしまった。
これではハンヒェンにデバフをかけられない。
「賢者には剣での攻撃しか通用しないわ。皆で集中して剣で攻撃するわよ」
アルナが仲間に向かって声をあげる。
キースも剣を構えてハンヒェンに向って駆けだした。
リタもキースと一緒に駆け走る。
スーラとウーラも駆けつけた。
「無駄だ。『物理防御結界』」
ハンヒェンの周りに結界が張り巡らされ、キース達の剣はことごとく弾き返された。
アルナはそれでも剣での攻撃を止めようとしない。
「剣での攻撃を続けるのよ。賢者と言えども複数の詠唱には魔力を使うはずだから」
「そうだな。『物理防御結界』が途切れるまで剣を打ち込もう」
「「わかったわ!」」
それぞれに皆が剣を振りかざしてハンヒェンの『物理防御結界』を破ろうとするが、『物理防御結界』を破ることができない。それでも剣を振り続けた。
「無駄だ。『炎の礫』」
空中から『炎の礫』が出現し、キース達を襲う。
キース達は『炎の礫』を回避するためハンヒェンの周辺から回避した。
「これじゃあ、一方的に攻撃されちゃうよ。何とかならないの!」
「そうなのです。こちらの攻撃が全く通用しないのです」
「それは違うわ。賢者でも魔力量の上限は決まっているはず。魔力がなくなるまで攻撃すれば、こちらに勝ち目はあるわ」
アルナが双子に激を飛ばす。
「わかった。私、あの結界を蹴り倒すね」
リタが走っていってハンヒェンの『物理防御結界』に蹴りをいれる。
スーラとウーラも四本のシミッタ―で『物理防御結界』を斬る。
アルナは精霊魔法で風の竜巻を呼び出した。
「無駄だ。『魔法防御結界』」
風の竜巻は『魔法防御結界』によって弾かれて、消え去った。
このままでは仲間の体力が先に尽きてしまう可能性も出てきた。
「皆で攻撃するのを止めよう。俺、アルナ、リタの3人とスーラ、ウーラの2人別れて、継続して攻撃を繰り返そう。そうすれば奴の魔力が尽きるまで戦える」
キースは大声で仲間達に指示を与えた。




