25話 絶対強者 赤竜
屋敷を出て空を見ると、大きく翼を広げたワイバーンの群れが炎のブレスを吐いている。
ワイバーンの炎のブレスが里の小屋を焼く。
逃げまどう獣人達。
勇敢に槍を装備してワイバーンに立ち向かう獣人達。
「俺達もいくぞ」
キースはワイバーンの群れにデバフをかける。
『俊敏15%ダウン、魔法攻撃15%ダウン、火炎のブレス15%ダウン、防御力15%ダウン、硬化15%ダウン』
そして味方にバフの支援魔法をかける。
『俊敏15%アップ、膂力15%アップ、防御力15%アップ、攻撃力15%アップ』
キースとアルナは精霊魔法を使って飛翔してワイバーンの上に着地して剣を突き刺す。
スーラとウーラの双子とリタは身体能力を活かしてジャンプして、ワイバーンの上に着地して、双子はシミッターでワイバーンを斬り、リタは踵蹴りでワイバーンを倒す。
そして地上に落ちたワイバーンを獣人達が槍で止めを刺す。
「ギャギャァアアー」
ワイバーンはキース達に危険を感じて、高度を上げてキース達を警戒する。
『重力15%アップ』
キースは支援魔法のデバフをワイバーンに重ねがけする。
するとワイバーン達は空中の体制を崩して、空中を下へ降りてくる。
そこへキース達が強襲する。
ワイバーンの炎のブレスは脅威だが、ワイバーンの背中に乗ってしまえば、炎のブレスを吐かれることはない。
キース達は次々にワイバーン達を撃墜していく。
「ギャギャァアアー」
ワイバーン達はたまらず咆哮をあげる。
しかし、キース達の攻撃は止まらない。
しかし、キースはワイバーンの背に着地し、ワイバーンの首に剣を突き刺している所を他のワイバーンの足に捕まえられてしまう。
すかさずワイバーンの脚を剣で斬り、空を落下しながら自由になるキース。そのキースを精霊魔法の飛翔で助けるアルナ。
ワイバーン達は双子やリタは放っておいて、キースを標的にし始めた。キースは何度もワイバーンの脚に捕まえられる。その度に脱出しているが、捕まるのも時間の問題だ。
「キース、ワイバーンはあなただけを狙っているわ。一旦、地上に戻りましょう」
アルナが大きな声でキースに危険を知らせる。
キースも自分が狙われていることは理解しているが、なかなかワイバーンの包囲から脱出
できない。
とうとうワイバーンの一体に空中高くへ運ばれてしまう。
「ギャギャァアアー」
するとワイバーン達は高度をあげて、キース1人を捕まえたまま空中高くへ退避していく。
「キース!」
アルナが必死で飛翔してワイバーンを追ってくるが、ワイバーンの数が多すぎる。
アルナはワイバーンの包囲に遭い、キースを助け出すことができない。
ワイバーン達はキースを捕まえたまま、空中を疾走し、獣人の隠れ里から離れていく。
これではアルナも追いかけることができない。
キースはワイバーンの群れに捕まえられて、獣人の隠れ里から連れ去られた。
そしてワイバーンの群れは火山の火口を目指す。
火口に着いた時、空中でキースはワイバーンから落とされた。
空中を落下し、火山の岩場に落下する。
その衝撃でキースは気絶した。
◆
キースが気が付くと、キースの傷は回復している。そのことに違和感を覚えて周りを見ると、巨大な威圧感を近くで感じる。
威圧感が放たれている方向を見ると一体の赤竜がキースを睨んでいた。
「グゥォオオー」
赤竜が咆哮を吐く。
それだけでキースの体が動かなくなる。
竜の咆哮には、弱者を硬化させる効果がある。
絶対強者、Sランク魔獣、赤竜。
それがキースの間近で咆哮している。
キースの体から冷や汗が噴き出す。
Sランク魔獣との遭遇。それは死を意味している。
キースは自分の死を覚悟した。
『人族よ。我の卵を返せ。我の子を返せ』
頭の中に言葉が響く。
赤竜からの念話であるとキースは悟る。
「俺は卵を取っていない。獣人の隠れ里の獣人達も卵を取っていない。赤竜の間違いだ」
『我が間違っているというか。ではそれを力で示せ。我と戦え』
人が赤竜と戦うことは死を意味する。
まだキースは自分は死ねないと自分に言い聞かす。
しかし、赤竜が戦いを欲しているなら、キースは戦うしかない。例え戦力的に劣っていたとしても。
キースは立ち上がって剣を鞘から抜いて構える。
『すぐに殺しはしない。絶対に卵のありかをお前から吐かせる』
赤竜は火炎のブレスを空中に吐く。それだけでキースの周りが灼熱で埋めつくされた。
呼吸もままならないほどに苦しくなる。
「ウォオオー!」
キースは雄叫びをあげて赤竜に挑みかかる。しかし赤竜の鱗は硬く、傷一つつけることができない。
キースは魔力を体内に循環させて、『肉体強化』をレベルアップさせる。
赤竜の尾が飛んできてキースを吹き飛ばそうとする。
キースは剣で赤竜の尾を受け止めるが、そのまま吹き飛ばされる。
致命傷ではないが、それに近いほどの傷を負う。
すると赤竜は回復魔法をつかって、キースの傷を回復させる。
『我に力を示せ。我に勇気を示せ。我を納得させよ。それまでお前を殺さぬ』
頭の中で赤竜の思念が流れる。
キースは両手で剣を握って、赤竜に突貫していった。




