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23話 キラービー来襲

 朝早く起きて、宿で朝食を食べて、冒険者ギルドに赴く。

朝早くから冒険者ギルドは大変な人混みで賑わっている。

今から冒険に行こうとする冒険者達が冒険者ギルドに集まってくるからだ。


 受付カウンターではロミンダが忙しそうに冒険者一人一人の相談を受け付け対応に追われている。

キース達も受付カウンターの列に並んで順番を待つ。

そしてキース達の番が回ってきた。



「おはようございます。キースさん、今日はDランク魔獣討伐依頼でいいですか?」


「そうですね今日は魔巣窟の森へは入らない予定なので、西の森で討伐依頼を受けたいと思います」


「そうですね。この間、魔巣窟の森から戻って来られたばかりですから、少し息抜きされたほうが良いと思います」


「はい、そうするつもりです」



 キースの答えを聞いてロミンダは嬉しそうに微笑んで、口元が綻んでいる。



「では、今日はEランク魔獣討伐とDランク魔獣討伐依頼でいいですね」


「はい、よろしくお願いします」



 ロミンダとの話を終えて、冒険者ギルドを出て、西の森へと向かう。



「今日は西の森で、ノンビリ討伐かー。久々のノンビリもいいかもね」


「そうですね。今日は晴天ですし、気候も温暖ですから、ノンビリと行きましょう」



 スーラとウーラがノンビリした気分で、背筋を伸ばながら、キースに話しかける。



「今日はリタもいることだし、朝の特訓をしてから西の森へ入りましょう。私とキースは『肉体強化』の特訓もありますし」


「私はいつでも大丈夫だよ。いつでも魔巣窟の森で頑張れるんだからー」



 アルナが特訓を提案し、リタはマイペースにキースに訴える。


 西の森の近くにある草原に座って、アルナとキースが体内の魔力を循環させて『肉体強化』の特訓をしていると、スーラとウーラとリタの3人は二対一で組手をしている。


 さすがにリタはアマゾネスだけあって強靭でしなやかな身体能力を持っている。スーラとウーラの二人がかりでの組手なのに、リタは独特な体術で二人を寄せ付けない。



「リタ相手だと、なんだか間合いがわからなくなるわ」


「リタの体術は独特で、キースのように簡単にはいかないのです」



 すっかりスーラとウーラはリタに翻弄されている。


 十分に魔力を循環させて『肉体強化』を完成させたキースがリタに声をかける。



「リタ、俺と組手をしよう。俺も無手で戦うから……リタも手加減なしでやってくれよ」


「わかった。いくよー」



 リタとの組手が始まった。キースの首の横を風切り音をたてて、リタの回し蹴りが通りすぎていく。

そう思うと、リタの前蹴りがキースの腹に突き刺さる。ものすごい衝撃だ。

それでもキースは耐えて、リタに拳を突き入れようと、前に繰り出す。

リタはキースの拳を避けて、肘打ちをキースの頬へと見舞う。


 キースは体内の魔力を早く体中に循環させて、『肉体強化』をもっと強固にする。そして体の俊敏さをあげる。


 キースが回し蹴りを見舞うとリタが一歩引いて、回し蹴りを回避する。するとキースは前蹴りをリタに打ち込む為、足で蹴りあげる。

リタはキースの足の上に両手を乗せて、自分の身体ごと、自分自身で後ろに飛ばされる。


 そしてダッシュしてきて、膝蹴りをキースに畳み込もうとする。それをキースは両手をクロスして防ぐ。二人の激しい攻防は止まらず、ますます激しくなっていく。



「その辺りで止めましょうね。キース、怪我を回復します」



 リタとキースの間にアルナが進み出て二人を止める。そしてキースを回復する。



「キースすごいよ。リタ、本気で蹴っていたのに、倒れないんだもん」


「ああ、体内の魔力を早く循環させて『肉体強化』をもっと強くしたからね」


「へー、そういうこともできるんだー」



 キースの説明に、リタはわかったように答えて、ニッコリと微笑む。



「それじゃあ、皆で西の森へ討伐に行こうか」


「私とスーラが先頭、アルナが中衛、キースとリタが後衛ね」


「ああ、リタは俺と一緒に後衛を任せるのが一番いいだろう」


「ええ、私は先頭になりたいのにー」



 リタはパーティの先頭になりたいと言ったが、パーティの中ではスーラとウーラの方が先輩だ。それにスーラとウーラのほうが戦闘経験が豊富である。だから文句を言えない。


 Eランク魔獣の群れを討伐しながら、西の森を奥へと入っていく。途中でオーク達の群れがいたので、全員で突貫して倒す。リタの体術は強烈で、蹴り一発でオークの首を跳ねた。


 西の森へ入って奥へ進んでいくと、キラービーの群れが獣人1人を追っている。


 キラービーとは蜂の魔獣で、魔巣窟の森にしか生息していない。Cランク魔獣で、非常に危険。冒険者殺しの異名をとる魔獣である。


今にも獣人の男性はキラービーに襲われて倒されそうだ。



「あの獣人を助けるぞ。相手はキラービーだ。警戒を怠るなよ」



 そう言って、キースは自分の体に魔力を循環させて『肉体強化』を完成させる。

そして仲間達へバフの支援魔法をかける。


『俊敏15%アップ、膂力15%アップ、防御力15%アップ、攻撃力15%アップ』



 キラービーには支援魔法のデバフをかける。



『俊敏15%ダウン、膂力15%ダウン、防御力15%ダウン、攻撃力15%ダウン』



 バフをかけられたキラービーは興奮して、標的を獣人からキース達に変えた。

双子は双剣のシミッターをキラービーの甲殻の隙間を狙って突き刺して引き裂く。

アルナもキラービーの甲殻の隙間を狙って剣を振り下ろす。

リタは強烈な回し蹴りでキラービーの頭を蹴り飛ばす。


 キラービーの群れは、キース達によって次々と倒されていく。

そして最後の一体をキースが甲殻に剣を差し入れて、首を落とす。



「お前達はスーラとウーラじゃないか。お前達2人に会いに来たんだ。今すぐ獣人の隠れ里へ戻ってきてくれ。獣人の隠れ里が、魔獣の攻撃に遭って崩壊寸前なんだ」


「なんですってー。もっと詳しい内容を説明しなさいよ」


「そうです。獣人の隠れ里は私達の故郷。故郷の危機には駆けつけるのです」


「詳しく説明してくれないか。俺達で良ければ協力させてもらう」

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