22話 『シュトラウス』の冒険者達三人
『シュトラウス』の冒険者達三人が剣を抜いて、キースを待っている。キースも剣を抜いて三人と対峙する。
キースは体の魔力を循環させて『肉体強化』して、相手の出方を見定める。
いきなり一人が剣を突きに変え、三段突きを仕掛けてくる。キースは体を半歩ずらして、剣で突きを受け流す。
「以前よりも、少しはヤルようになったようだな。これは楽しみだ」
そう言って、後の2人が上段と中段に剣を構えて剣を振ってくる。一歩体を横に動かして上段の剣を回避し、中段の剣を自分の剣で受け止めて、弾き返す。
「以前よりも剣を持つ姿が様になってるじゃねーかよ。楽しいねー」
「できるなら怪我をさせたくない。ここで引いてくれないか?」
「何を言ってやがる。お前相手に俺達が引くわけねーだろう」
三人の『シュトラウス』の冒険者達はそれぞれに剣を振り回して飛びかかってくる。キースはそれを華麗な足捌きで、三人の攻撃を回避する。
「昔から逃げるのだけは上手かったな」
「攻撃しないと、いつまで経っても防戦一方だぞ。それとも攻撃できないのか? やり方を知らないのか?」
『シュトラウス』の冒険者達三人がニヤニヤと笑いながらキースを囲む。
キースとしても三人の人間と真剣で対決するのは初めてだ。
自然と体が緊張する。
「キース、いつも魔獣を相手している感じで気楽にいこうよ」
「そうです。相手を魔獣と思えばいいのです」
スーラとウーラがキースに声をかける。
確かに相手を魔獣と思えば気が楽だ。
人間と思うから、妙な雑念が入る。
「そうだな。もっと気楽に構えたほうがいいわ。肩に力が入っているわよ」
アルナもキースに声をかける。
とにかく体から緊張感を抜こう。
「そんな暇を与えさせるわけねーだろう」
「今すぐ、ぶっ殺してやるからよー」
『シュトラウス』の冒険者達三人が連続攻撃に入る。三人が連携してキースに襲いかかる。
キースは剣で受け流し、体捌きで剣を回避し、円を描くように三人を回避する。
やはり人間三人相手は、魔獣三体相手と訳が違う。
魔獣は連携プレイをしないが、冒険者三人は連携を使う。その分手強い。
三人全員を一度で倒そうと考えてはいけない。一人一人を倒していくつもりで丁寧に戦っていこうと、キースは心の中で思う。
冒険者の一人が大上段から袈裟切りに剣を振り上げる。それをキースは回避しながら逆袈裟に一閃する。冒険者の革鎧がキースの剣によって斬り裂かれる。
中段に構えた冒険者が中段に構えて三段突きをしてくる。キースは三段突きを剣で弾いて、剣の突きで、冒険者の首の皮を浅く斬る。
下段に構えた冒険者が逆袈裟にキースの革鎧を斬り裂きにくる。それを一歩後ろへ下がって回避する。
「なかなかヤルようになったじゃねーか。俺達三人はCランク冒険者だぞ。お前の相手できる相手じゃねーはずだ。女達だけ置いて逃げていけ」
「そうか。お前達三人はCランク冒険者か。俺はBランク冒険者なんだ」
「お前みたいな弱い奴が、Bランクであるはずがないだろう。人をバカにするな」
確かにキース一人では弱い。しかし仲間と一緒ならば、キースには支援魔法がある。
いつも仲間に頼ってばかりだった。だから今回の件だけは自分で片付けたい。
「私がキースを助けてあげる。だって私は『拳士』だもん」
そう言って、ドレス姿のリタが戦いに参戦しようとする。
「ダメだ。ドレスを着ている時は女性らしくするのが人族のルールだぞ。だからリタは俺の戦いを見ているんだ。これは俺の戦いだ。わかったな」
「キースがそう言うなら、キースの言うことを聞くー」
『シュトラウス』の冒険者達三人が何度も連携して攻撃してくる。そろそろキースもパターンが読め始めた。これで観察するのは終わりだ。
大上段から振り下ろされる剣を、上から剣で抑えて、鳩尾へ一発、蹴りを喰らわせて距離を取る。
中段から突きを放ってくる冒険者には、剣で突きを躱して、右拳で顔面を殴りつける。
下段から斬りあがってくる冒険者には、一歩引いて、剣を回避して、回し蹴りで脇腹にヒット
させる。
段々とキースが優勢になってきているが、冒険者達三人はまだそのことに気づいていない。
「この野郎、調子に乗りやがって、ギタギタにしてやるからよー」
「弱い奴は地面を這っていればいいんだよ」
「確かに昔の俺は弱かった。しかし、今の俺は違う。お前達よりも強い」
『シュトラウス』の冒険者達三人とキースの対峙は続く。
上段の剣がキースを襲う。キースは体をズラして、剣の軌道から外れて、冒険者の腕を剣で斬る。
「ギャアアーー!」
中段の突きを剣で弾いて、袈裟切りに剣を振って冒険者を一閃する。キースの剣が冒険者の肩口を斬り裂く。
「ウワァアアー!」
下段から逆袈裟に振ってくる剣を剣で受け止めたまま、剣で突いて冒険者の胴を斬る。
「ヒィィイーー!」
『シュトラウス』の冒険者達三人は戦意を失って、剣を捨ててその場に倒れ込む。
「アルナ、申し訳ないが、奴等の傷を回復させてやってくれ」
『風の精霊よ。彼等の傷を癒せ』
アルナは黙って頷くと三人に冒険者の傷を回復させた。
「これで実力がわかっただろう。もう俺達に近づくな。後、女は玩具じゃない。女性を失礼な目で見るな」
「ヒィィイーー!」
『シュトラウス』の冒険者達三人は地を這うようにして逃げていった。
そして双子、アルナ、リタの四人がキースを囲んで笑顔で喜んでいる。
「ヤッタね、キース。強くなったよ」
「本当に強くなったのです」
スーラとウーラの二人はそう言って、キースに抱き着いた。
後の二人は満面の笑みでキースを優しく見つめている。




