21話 高級食堂にて
高級食堂へ向かったキース達五人は円形のテーブルに座って、高級食材を使ったメニューを食べていく。どれも今まで食べたことのない料理で、その美味しさに舌鼓を打つ。
「「美味しい!」」
「本当に美味しいわ。キース、こんな贅沢して良かったの?」
「今日はリタのパーティ加入祝いも兼ねているから、少しぐらい豪華でもいいだろう」
「あ……ありがとうございます。すごく美味しいです」
スーラ、ウーラ、アルナ、リタも嬉しそうだ。
少し料金は高くなると思うが、高級食堂に来て良かったとキースは思う。
「あれ? こんな所で、誰が食べているのかと思えば、『シュトラウス』を追放されたキースじゃないか。ここで支払う料金は大丈夫なのか? まだデリントンに居たんだな? 俺だったら恥ずかしくてデリントンの街から出ていってるね」
振り返ると『シュトラウス』の冒険者三人が食事をしている所だった。誰だったか覚えていないが、キースが『シュトラウス』だった時に警護してもらったことのある三人だ。
「それよりも、きれい所を四人も連れて、いい御身分じゃないか。俺達にも分けてくれよ。そうすればお前のことを苛めたりしないからよー」
「この四人は俺の大事なパーティの仲間だ。お前達に触れさせるわけにいかないな。断らせてもらう」
「俺達の言うことを聞けないっていうのか。お前も偉くなったもんだな。人の後ろに隠れるしか能のない支援魔法士のくせに。俺達に勝てるとでも思ってるのか」
確かに『シュトラウス』にいた時には確かに、警護の冒険者に庇ってもらうしかできなかった。
いつも魔獣から逃げてばかりしていた、情けない自分を思い出す。
しかし、今の自分は逃げも隠れもしない冒険者だ。
「キースは強くなったんだから。キースに近寄らないほうがいいわよ。痛い目を見るのはアンタ等よ」
「そうです。キースの強さを知ったら、アナタ達も逃げていくしかないですよ」
スーラとウーラが『シュトラウス』の冒険者達に文句を言い返す。
しかし、『シュトラウス』の冒険者達は笑って、エール酒をグイっと飲みほしている。
「それだけ強いなら、腕を見せてもらおうじゃないか? 表へ出ろ。格の違いをわからせてやるからよー」
「冒険者同士の街での喧嘩は禁止されているだろう。そんなことも忘れたのか」
「やっぱり怖いから逃げるのか。逃げ腰だけは一級品だからな」
別にキースがどれだけ言われようとも耐えればいいことだ。キースはじっと我慢する。
するとアルナが立ち上がって、『シュトラウス』の冒険者の頭にエール酒をかけた。
「人族の男性は理性を失うとみっともない。見ているだけで不快だ。出ていけ」
「キースを苛める奴は私達が許さないんだからね。私達が相手してやるよ」
「そうです、私はキースに対する暴言を許せません。私も相手をしますよ」
アルナに続いてスーラとウーラまで立ち上がる。
リタを見ると、どうしていいのかわからずに、オタオタしている。
「やんのか。ねーちゃん達よ。お前達が負けたら、俺達に酌しろよ。今日の夜は帰さないぜ」
「やめろ。戦うのは俺だ。仲間に手を出すな。三人共、少し頭を冷やしてくれ。ここは高級食堂だぞ」
「だって、あんまりコイツ等がキースをバカにするから、頭にきたんだよ」
「そうなのです。頭にくるのです」
今日は双子もアルナもドレス姿で高級食堂まで来ているので助かった。いつもの装備だったら、今頃は大喧嘩になっていた所だ。
「おいキース。お前達の女は活きがいいな。やはり寄越せ。俺達の女にするぜ」
「それは断らせてもらう。この女性達は俺のパーティの仲間だ。絶対に譲らない」
「それじゃあ、お前が俺達の相手をしろ。お前をねじ伏せて、無理やりでも女達を貰っていく」
こうなれば、もう『シュトラウス』の冒険者達も後には引かないだろう。
これはキースが相手するしか方法がない。
「わかった。相手をしよう。店の支払いをすませるから、外で待っていろ」
「外で待ってるからよ。絶対に逃げるなよ。逃げたら二度とデリントンで冒険者できないようにしてやるからな」
『シュトラウス』の冒険者達は先に支払いをすませて表へ出ていった。
「キース、ちょっと待ってよ。私達、シミッター持ってきてない。宿へ取りに行くから、その間待っててよ」
「スーラ、ウーラ、アルナも落ち着いてくれ。喧嘩を売られたのは俺だ。お前達が助太刀すれば、また難癖をつけられる。ここは俺に任せてくれ。絶対に勝つから」
キースは席を立ちあがって店に支払いを済ませて玄関を出る。
「待っていてやったぜ。さー女達をよこしな。そしてお前は逃げていけ!」
「それはできないな。俺も少しは強くなったんだよ。こうなったら早く喧嘩を始めようか!」




