16話 帰還
改稿しました。
魔巣窟の森に入って1週間が経過した。
キース達も森に慣れてきて、魔獣達の動きもだいたい把握できてきた。
「そろそろ狩りを始めるとするか」
「「そうこなくっちゃ!」」
「このままかくれんぼをしていても成長できないし、いいと思うわ」
丁度、キース達がいる樹木の下をオーガ三体が通っていく。
樹木の上にいるキース達には気が付いていない。
双子が双剣のシミッターを抜く。
アルナも剣を抜く。
キースは仲間達にバフの魔法をかける。
『俊敏15%アップ、膂力15%アップ、攻撃力15%アップ』
光の粒子が仲間達を包み込む。
キースがオーガ三体にデバフをかける。
『俊敏15%ダウン、膂力15%ダウン、防御力15%ダウン』
オーガ三体に紫の粒子が降りかかる。
スキルアップによって、支援魔法の効果が5%アップした。バフとデバフを合せると10%の差。この差は大きい。
「いくぞ!」
すばやくキースは体内の魔力を循環させて『肉体強化』して、オーガに強襲をかける。
双子とアルナも樹木から飛び降りて、オーガを袈裟切りに一閃する。
それだけでオーガの強靭な筋肉が両断され、オーガ三体が息絶えた。
「これならイケる」
オーガの魔石と討伐部位を斬り、リュックに入れながら、キース達は手応えを感じる。
やはり支援魔法10%の差は大きい。
支援魔法を使った時だと、オーガ達を一刀両断できるほどの効果を発揮する。
そして、すかさず樹木の上に飛翔して、樹木の上を移動する。
この方法であれば、安全に狩りができる。
キース達は同じ方法で十二体のオーガ達を屠った。
これだけでも一財産だ。
樹木の下をトロールが三体通りかかる。
やはり樹木の上にいるキース達のことを気が付かない。
キースは仲間にバフをかけ、トロールにデバフをかけて、樹木を飛び降り強襲する。
やはりトロールといえど、支援魔法の威力は大きく、スーラとウーラはトロールを唐竹割りに体を両断する。
アルナも袈裟切りにトロールを屠る。
キースが戦う必要はなかった。
そしてトロールの魔石と討伐部位を斬り、リュックの中へ入れて、すかさず樹木の上に姿を隠す。
すると樹木の下にキラーアント三体が現れる。
キラーアントと戦うのは初めての経験だ。
しかし、魔巣窟の森を進んでいくには倒さなければならない魔獣。
キースは仲間達にバフをかけ、キラーアントにデバフをかけ、体の魔力を循環させて『肉体強化』した後に樹木から飛び降りて強襲する。
「ギギギギーー」
キラーアントが大きなアギトを開ける。双子はシミッター四本でキラーアントを狙うが、キラーアントの甲殻が硬く、上手く攻撃できない。
アルナもキラーアントの甲殻に苦戦している。
キースはキラーアントのアギトが開いた所に剣を突き入れて、口内から剣を頭に突き出してキラーアントを屠った。
「「なるほど、そうすればいいんだ!」」
双子は一人が囮となり、キラーアントの目を惹き付ける。その間にもう一人がキラーアントのアギトにシミッターを突き入れ、口内から頭へシミッターを突き刺して屠った。
「キース、キラーアントにデバフを重ねがけしてみて」
『甲殻15%ダウン』
キラーアントを紫色の粒子が包み込む。
アルナは剣でキラーアントの頭の甲殻を剣で突き破る。
「やっぱり、この方法が一番ね」
「わかった。これからはキラーアントには、もっとデバフを重ねがけするよ」
これでキラーアントの攻略法もわかった。キース達は確かな手応えを感じ取る。
キラーアントの魔石と討伐部位を斬り取り、リュックの中へ詰め込む。
そして、いつものように樹木の上に隠れる。
「もうリュックがパンパンになってきたわ。そろそろデリントンの街へ帰らない?魔巣窟の森にも慣れてきた所だし、今が帰り時だと思うわ」
確かに魔巣窟の森に慣れてきたばかりだ。リュックも満タンになったことだし、一旦、デリントンの街へ戻ったほうがいいかもしれない。
「帰ったらロミンダ、驚くだろうね」
「また怒られるかもしれませんね。1週間も森の中で暮らしていますから」
「魔巣窟の森に慣れるためだから、しかたがないわ」
キース達は魔巣窟の森を出て、西の森へたどり着く。樹木が細くなり、森林の間隔が広くなっている。森の茂みも西の森のほうが明るい色をしている。
「戻ってきたんだな」
「「無事に帰ってこられたよ」」
西の森を抜けて街道に出て、デリントンの街まで歩く。
デリントンの街の壁門でいつもの警備兵が立っている。
「おおーー、帰ってきたか。この1週間、姿を見なかったから心配したぞ」
「ちょっと深い森まで探索に行っていたので」
「とうとう魔巣窟の森へ探索に行くようになったか。今まで以上に気を付けろよ」
そう言って警備兵が敬礼する。
キースも会釈をして壁門をくぐり、大通りを通って冒険者ギルドへ戻る。
冒険者ギルドへ入ると、ロミンダがカウンターの中から飛び出してきて、キースに抱き着いた。
「魔巣窟の森へ行って帰ってこれたこと、おめでとう。心配したけど、顔を見たら安心したわ」
ロミンダは満面の笑顔でキース達の帰還を喜んだ。




