12話 実地特訓
森を奥へ進んでいくとガルムの群れが十体以上いる。ガルムは群れる習性があり、一体だけだとEランク魔獣なのだが、群れるとDランク魔獣に格上げされる魔獣だ。
「これはキースの訓練相手にピッタリね」
「そうですね。ガルムは一体一体は弱いですが、連携で来られると厄介な相手ですから」
スーラとウーラの双子は顔を高揚させて、双剣のクリッターを鞘から抜く。
「私もガルムの数を減らすようにするわ」
そう言ってアルナも剣を抜いて、双子と一緒にガルムの群れへ強襲する。
3人に遅れないように、キースは走りながら、体に魔力を循環させて『肉体強化』を完成させた。
双子達の四本のクリッターは素早く4体のガルムを斬り裂く。
そしてアルナが風の精霊魔法を使って『風の刃』で2体のガルムを屠る。
4体のガルムがキースに迫ってくる。
ガルムの牙と爪を避けて、剣を抜いて胴体を横薙ぎに一閃する。そして振り返り様に、もう一体のガルムの首を袈裟切りにして息の根を止める。
ガルムの牙と爪がキースに襲いかかる。キースは剣でガルムの牙と爪を止め、足でガルムの腹を蹴飛ばして、ガルムを遠ざける。
しかし、もう一体のガルムがキースの死角から強襲してきた。
キースは首を噛まれないように守り、右の拳でガルムのアゴを打つ。そしてガルムが離れた所で剣でガルムの喉を突き通す。
そして最後の一体のガルムを剣で薙いで両断する。
キースが4体のガルムを相手にしている最中に他のガルムを双子とアルナが片付けていた。
「ハァ ハァ ハァ ハァ」
「キースお疲れ様。4体もガルムをやっつけたじゃん」
「すごいですよ、キース。今まであんな戦闘をしているキースを見たことないです」
「少し怪我をしたようね。治してあげるわ」
アルナが風の精霊を操って、キースの傷を癒してくれる。
キース自身もここまで体が動くと思わなかった。
戦っている時の体は軽く、そして自分の膂力が上昇していることがわかる。
「ありがとう皆、俺、少し自信が持てたよ」
「ガルム程度だと、まだまだよ」
「そうです。これからです」
「ゆっくりと慣れていけばいいわ」
ガルムの魔石と討伐部位を斬りながら、三人がキースに声をかける。
魔石と討伐部位をリュックに入れて、少し休憩をしてから、森の奥へと足を進める。
森の奥へ歩いていくと3体のトロールが巨大な棍棒を手に歩いている。
トロールはCランク魔獣で、動きは鈍重だが、頑強な体をしており、膂力はオーガを超える。
通常なら魔巣窟の森にいるはずなのだが、なぜか西の森に出てきたようだ。
「これはマズイわね。トロールよ!」
「そうですね。戦うかどうか考える必要があります」
「私の魔法障壁と、キースの支援魔法があれば、なんとか対峙できると思うわ」
そして三人はそれぞれ、キースの顔を覗き込む。最後に決めるのはキースだ。
ここは安全策を取って戦いを避けた方がよいと頭の中のロミンダが意見をいう。
しかし、ここで冒険を恐れていては魔巣窟の森へ入るなど無理に決まっている。
ここは自分の支援魔法とアルナの魔法障壁を信じて、冒険をしようと心に決める。
「スーラとウーラでトロールを一体頼む。アルナが一体、俺が一体受け持つ。スーラとウーラはトロールを一体倒したら、俺とアルナの援護に回ってくれ。なるべく危険は避けろ」
「「そうこなくっちゃ!」」
「私もトロール相手では荷が重いが、耐えてみせよう。キースも無理はしないでね」
双子は樹木へ登って、トロ―ルの真上でシミッターを抜いて合図を待つ。
アルナとキースは『肉体強化』をした後に茂みに隠れて、トロ―ルの動きを観察する。
『俊敏10%ダウン、膂力10%ダウン、強靭10%ダウン』
キースが三体のトロールにデバフの支援魔法をかける。
紫の粒子がトロール達を包み込む。
『俊敏10%アップ、膂力10%アップ、防御力10%アップ、攻撃力10%アップ』
双子とアルナに支援魔法のバフを重ねがけする。
光の粒子が双子とアルナに降り注ぐ。
「戦闘開始だ!」
双子が一体のトロールの頭上に樹木の上から強襲する。
茂みの中から出たアルナが魔法障壁を展開しながら、トロール一体と対峙する。
そしてキースも一体のトロールの前で剣を抜いて構える。
一人で倒す必要はない。三人がトロール二体を倒すまでの間耐え抜くだけでいい。
キースは自分にそう言い聞かせて、トロールの動きを観察する。
「ゥウァララー」
トロールが棍棒を大上段から振り下ろす。それを間一髪で回避する。
キースはすかさず剣でトロールの手首を狙って剣を振る。しかしトロールの皮膚は硬く、手首を斬り落とすことができない。
スーラとウータが4本のシミッターでトロールの体を徐々に引き裂いていく。
トロールが腕を振り回して、双子を狙っている。
トロールの大上段からの棍棒の一振りを、魔法障壁で防いだアルナが剣でトロールの体を逆袈裟に切裂く。しかしトロールの筋肉を一度で断ち斬れない。
キース達四人のそれぞれの戦いが始まった。




