回れ回れ
「ふっ⋯ふっ⋯ふっ⋯」
「だ、大丈夫?すみれさん⋯」
「大丈夫⋯大丈夫⋯
ちょっと上も下も向けないだけ⋯」
「調子に乗ってしまってごめんなさい」
霊美ちゃんが調子に乗れるのなら本望さ。
酔いすぎてそんな台詞すら吐けない。
吐きそうなのに吐けないとか。
「ちょ、ちょっと休憩しましょう」
「あ、平気、このままで居させて⋯」
下手に刺激が来るより治まるまで待った方が安全。
「スー⋯ふー⋯スー⋯ふー」
深呼吸したら大分落ち着いてきた。
「よし、もう大丈夫だよ!次はどこ行こっか!」
「きょ、今日はもう帰った方がいいんじゃ⋯」
「大丈夫だよ〜心配させてごめんね?
せっかくだし限界まで楽しも!」
「ありがとうすみれさん、それなら⋯」
『♪〜♪〜』
「アハハハ!」
目当てのアトラクションに近づくと、
子供の楽しそうな声と
独特の優雅な音楽が聞こえてくる。
メリーゴーランドだ。
「これも定番よね」
「メリーゴーランドは外せないね」
待機列に入ったところで音楽が鳴り止み、
ゲートが開かれ中の人が出ていく。
『メリーゴーランドに
ご乗車ありがとうございました〜、
またのご乗車をお待ちしておりまーす』
係員が中に人がいなくなったことを確認して、
入口のゲートが開く。
自然と子供や張り切って乗りたい人に馬を譲って、
余った二頭の馬に霊美ちゃんとそれぞれ跨る。
『メリーゴーランドにご乗車ありがとうございます、
運転中は手すりをしっかりとお持ちください、
それでは行ってらっしゃーい!』
『ガコッ』
『♪〜♪〜』
独特な音楽と共に仕掛けが動き出す。
「お〜」
高速とも緩慢とも言い難い速度で回転する。
最初は霊美ちゃんと目を合わせて
笑ったりして過ごしていたが、
段々暇になってくる。
当たりを見回して外にいる子供の保護者と
目が合ったりして、少し気まずくなる。
段々と回転の速度が落ちて、
やがてメリーゴーランドが止まる。
『メリーゴーランドに
ご乗車ありがとうございました〜、
またのご乗車をお待ちしておりまーす』
ゲートを出てしばらく立ち尽くす。
「⋯楽しかったね」
「ええ⋯ただ⋯」
「あ、もしかして霊美ちゃんも同じ気持ち?」
「すみれさんも?それなら憚られずに言えるわね⋯
正直ちょっと気恥ずかしかったわ」
「私も私も、周りにいる人がこっち見てくるから、
たまに目が合っちゃってー」
「そうそう、どこを見ればいいか分からなくなって
行ったのよね、それが
ある意味楽しさの一つではあるのでしょうけど」
「今の私には大人すぎる楽しみ方だね」
「安心して、私もよ」
「えへへ⋯おっと」
落ちて欠けた日が顔を横殴ってくる。
もうそろそろ時間か。
「最後にどこ行く〜?」
「もう残っているものといえば、
絶叫系がいくつかという感じかしら」
スマホで遊園地を検索して調べる。
「えっと⋯うん!確かにそうだね」
「なら最後にあそこに行きたいわ」




