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ギャルズメロディー1期   作者: キスよりルミナス
新ユニット結成編(楓、香織編)
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28話 クリスマスの告白(楓)

28話  クリスマスの告白(楓)



 12月ってこんなに寒いっけ?本当にこんなに空気が冷たくなることってあるっけ?物理的に空気が凍りついているんじゃないか?と思うくらい、緊張が走っている。

 さっきまで、周りの目も気にすることなく住川君とキスをしていた香織が、今となっては絶望の表情をしている。

 「ど、どういう……こと……なの?」

 私の中でも、保真麗や住川君の中でも予想は出来ていたことだけれど、いざ目の前にすると心が締め付けられる思いになる。多分、二人もそういう思いで香織を見ているのだろう。私の発した言葉によって、友達が絶望をするのはこちらの心が苦しくなる。止むを得ない状況で子供を捨てなければいけない時の親と同じ感情なのかな?

 本当に話さないといけないことなのか?と言われれば、うーんと唸ってしまいたくなるけれど、なんだろう……。友達として……?になるのかな?必要性を論理的に説明することは難しいけれど、どうしても知って欲しいって思ったのと、これ以上辛い気持ちをする友達を見たくないからかな。

 さて、この沈黙だが。やはり私から破らないといけないようだね。

 「香織、今から今のこと話すからよく理解していて欲しいんだ。香織のために……」

 私の顔を泣きそうなくらい不安な顔で見つめる香織に、私は残酷であると理解していながら全てのことを話し始めた。

 


  ※  ※  ※  ※



 「ごめん、私、今日は1人で帰るよ……」

 全ての事情を話し終わる前に香織は立ち去ろうとした。あんなに沈んだ表情をしている香織なんて見たことなかった。私達が話す近くを通るカップルや家族連れも心配そうな顔をして香織を見るほどでもあった。それくらい香織から出るオーラは相当沈んでいるものだった。

 普段から明るくて時には泣いたりすることもあるけれど、絶望を感じている香織は初めて見た。

 「待てよ、香織。まだ全てを話していない!」

 「ごめんね……武琉。私は全てを受け止めきれないや……」

 立ち去ろうとした香織を住川君が呼び止めようとしたが、香織は振り返ることもなく答えてそのまま歩き続ける。香織は、好きで幼馴染みの住川君から呼び止められても変わることは無かった。

 「香織、待て……」

 「住川君、香織は1人のままにしておいて……」

 私は追いかけようとした住川君を、彼の肩を掴んで行くのを止めた。きっと、いつも通りの私なら止めていただろう。住川君は止まって私の方を少し苛立った表情で私を見る。

 「東田、どうして……?」

 「香織の抱えている重い気持ちは私達には分からない。仮に私達が寄り添ってあげようとしても、香織の気持ちは私達にはわからないから、香織に寄り添うことなんてできない。そんな思いをしたことのない赤の他人が良かれと思ってしても、自分だけ助けた気持ちになる。香織のためなんて結局無理で、それはただの偽善者なだけになんだよ……。それに、もう苦しむ人を増やしたくないんだ……」

 私が言い終わると、住川君はわかってくれたのか香織を追いかけることはなかった。



 私達は元から偽善者だったのかもしれない。本当は気づいていた、こんな結果になることくらい。それでも、私にはこうするしかなかったんだ……。香織は複雑な家庭事情を持ちながら、本人が未だにそのことを知らなかった。そのことに気づかずに、家族と距離を置いている香織に、*香織のお母さんの愛情*を知って欲しかったから。


 

 それに、これ以上、心が苦しんで泣く人を見たくなかった。



香織のことをずっと抱え込んできて自分の心を苦しめていた保真麗を見てから自分に誓った。見るたびに心が締め付けられるような気持ちになる。


 自分の友達のために、自分の他の友達が犠牲になってしまう。こんなのが理不尽だなんて、あってはダメなことだなんて、そんなこと私でもわかっていた。でも、ここまで来てしまったなら仕方ない。香織のことで自分の気持ちとずっと葛藤してきていた保真麗を、私は見過ごすことなんて出来なかった。


 だから、保真麗のために香織を犠牲にすることを決意した。


 他に別のやり方があったんじゃないか……?そう思うけれど、私には何も思いつかない。柚葉や鈴音ならどう考えていたのかな?そして、彼なら今の私をどう評価してくれるんだろう。


 悔しさと不安でいっぱいな私は、雪を降らせる冷たい暗い空を、ただ見上げることしかできなかった。





 ※ ※ ※ ※ ※

 

 



 Cosmicrownの練習が終わってから寮に帰った時のこと。毎日練習が大変で疲れた状態で寮に帰ってくることになる。

 今日は珍しいことに、女子寮のホワイトボードになんかプリントが貼ってあった。

 「ホワイトボードにお知らせ……かな?」      

 香織はそう言うとホワイトボードに近寄ってプリントを見る。プリントが貼ってある=何かのお知らせ的なのかな?と察する。男子寮は、まるで動物園かのように騒がしいらしく(クラスの寮生の男子の話によると)、先生達は寮の規則を厳しくしていっているらしい。一方の女子寮は、みんなが真面目で寮の規則が厳しくなることなんて無く、基本的にホワイトボードにお知らせがくることは無かった。だから、何か新しい寮の規則が追加されるのでは?という好奇心と、寮の規則が厳しくなるのはやっぱり嫌だな……、という不安な気持ちが私の中でゴチャゴチャ混同していた。

 「えーっと……年末年始の帰省についてのお知らせ……か……」

 そのプリントを見てボソッと呟くと香織は暗い表情をした。寮生の中でも家が遠くにあって、年末年始や夏休み以外家に帰るのが大変だという人も数人は居て、「長期休みは帰省できて嬉しいんだ」と喜ぶ寮生は何人か居る。だが、帰省することに対してこのような暗い表情をする人は、この桜咲学園の寮内には香織以外は居ないと思う。

 「そっかぁ、この期間中はみんなと会えないんだね……」

 保真麗が暗い表情のままプリントを見つめている香織の肩にちょこんと顔を乗せる。あれ?保真麗……、少しでも香織を元気出させようとしてくれているのかな?


 

 香織が暗い表情をしている理由はきっとあれだよね。

 「……きっと家族関係だよね?」

 香織に聞こえない程度の小声で、保真麗の耳元で囁く。保真麗も、私と同じ考えらしく私の意見を否定せず、一回小さくうなづいた。

 


 香織の家族関係……。



 以前、保真麗から香織のことで相談された時に香織の過去の事情を知ることになった。初めて聞いた時は保真麗の言ったことを信じることができなかったが、4月頃の香織の様子を思い出すと何となくだが納得できた。

 


 今の香織の名前は『上林 香織』であるが、上林家に引き取られるまではその名前では無く、別の苗字だった。元の苗字はたしか……藤田だっけ……?

 


 香織と上林家の二人は、昔からというより、香織が上林家に引き取られてからすぐの時点で関係は良くなかったんだとか。香織の妹さん(琴音ちゃん)と話した時にもそのようなザッとした話を聞かされたこともあったけれど、その頃はうまく理解ができなかった。だが、保真麗から相談されたことを機にその話の内容も理解することができ、香織の過去についてを知ることとなった。



 複雑な事情を持つ香織だが、中学校生活は良い感じに見える。休み時間にはクラスメイトが集まって香織と話しているし、香織は楽しそうに話している。そのような様子を見てると謎の嫉妬心が私の中に芽生えてしまっている気がする。香織にではなく、周りで楽しそうに話す香織のクラスメイトに、かな?私は常に香織と一緒に居たい、そう思うことが最近多くなっていっている気がする。何でだろうね……。

 香織のことが常に気になってしまう。香織は他の誰よりも可愛くて可愛くて仕方ない。保真麗や鈴音と接する時、香織と接する時。どちらの場合も友達と接するだけなのに香織の時だけは、いつもと別の感情が心の中にある気がするような……。きっと一番の親友だと思っているから、だよね。きっと……。

 それくらい香織は大切な友達だから、そう思って香織のことを助けれる私になれたら、そう心に決めた私だから、香織が辛い思いをしていたら助けてあげたい気持ちに駆られる。



 「香織?どーしたの、暗い顔して……」

 わかっていることだけれど、単刀直入に話題を切り出す勇気なんて今の私には無いから、あえて知らないフリをする。香織の顔を覗き込むと、香織は一瞬ビクッと驚き「何でもないよ!」無理に笑顔を作って答えた。家族関係のことは、香織にだって触れられたくない部分だろう。だからそれ以上私達が、香織のプライバシーに踏み込むことはダメに決まっている。「それならいいけど……」そのように返すことしか私にはできない。

 「私、先に部屋に戻っておくね」

 自分の気持ちに耐えることが出来なくなったのか、香織はその場に私達を置いて立ち去ろうとした。そんな姿を見てると、私にはどうしても香織を止めることなんてできなかった。きっと、今の香織は心の中で葛藤しているはずだから。

 「待ってよ!香織ちゃん!」

 走りかけていた香織を保真麗が呼び止めた。その呼び止めに、香織はその場に立ち止まったが、保真麗の方を振り向いてはくれなかった。

 「いつでも相談しに来て良いんだよ?」

 泣きそうな顔をして香織の後ろ姿を見つめる保真麗は、声を震わせながら香織に告げた。

 「大丈夫だよ、私は」

 私達の方を振り返ることなく、香織は寮の階段の方へと走って行った。

 追いかけるべきか否かを保真麗に聞こうと横を見ると、保真麗が潤んだ瞳から一滴の涙を溢していた。その涙は保真麗の芯にある純粋さを表しているかのように光っていた。


 

 普段の保真麗は少しアホっぽいところも多々あるけれど、成績は私より上だし(保真麗は成績上位者だし)、相手に寄り添って相手の気持ちを考えることのできる心優しい人間にもなった。今の保真麗は、香織の立場に立って香織の気持ちを考えてあげれているんだろうな。

 保真麗は、香織の過去については香織よりも知っている可能性だってある。香織はまだ、全ての事実を誰からも告げられていない。だが、保真麗は、香織の幼馴染みで保真麗の彼氏の住川君、担任の山田先生からも詳しく話を聞いている。


 それだからこそ涙を流したんだろうな。


 香織の状況で親と会わなければならない精神的な辛さをを、香織の立場になって考えているはず。それと、まだ、すべての事実を知らない香織に、事実を告げられてあげられない悔しさ、辛さ、悲しさ……。


 果たして、今の私は香織のために真剣に考えてあげることができていたのか……。

 

 私は目を瞑りそっと胸に手を当てて、私の本当の心に聞いてみる。私は本当にできていたのだろうか……。



 決して理解することのできない香織の感情。香織への愛情による同情や思いやりでなく、結局は自分のために作り上げられた偽りの感情。



 本当に私って何やってんだろう……。


 

 『まずは近くにいる人間からでもいい。相手の感情を推測するんだ。そして、そいつにどんな言葉をかけるのが良いのか、あるいはどんな行動を取ればいいのか。一番の最適解を頭の中で導き出して行動にうつす。お前みたいに、自分を客観視できる人間ならきっとできるさ』



 これは……?笹岡のセリフじゃん……。この前校舎裏で相談に乗ってもらった時、最後にこうやって言われたんだっけ。

 なんでだろう……。自分じゃ無理だと思ってしまうのに、笹岡の言うことなら信用できてしまう。


 近くにいる人間から……か。


 

 保真麗の相談に乗ったこと何回あったっけ……?昔のことをじっくりと頭の中で考えて振り返る。過度な自己愛のこと、香織のこと、住川君とのこと……。


 これだけ保真麗の悩み事を聞いてあげていたんだ、私って。仮にその優しさが自分のための偽の愛情であったとしても、事実は変わらない。

 

 そういえば、私、香織の悩み事聞いたり、アイドル部入りたての鈴音に寄り添って練習していたという事実もあるんだよね。



 まー、どうせそれは偽の愛情なんでしょうね……?

 


 だとしても、偽の愛情だけがその行動全てを決めたわけではないはず……。きっと、本物の愛情だって何処かにはあるよね……?自分のためだけにある、偽の愛情の中に本物の愛情が芽生えることを信じて私は覚悟を決める。


 

 「保真麗、後で私に相談しに来て欲しいんだ、今の保真麗の思っていることを」

 まずは、一番近くの保真麗から。近くに居る友達1人も笑顔に出来ないようじゃ、アイドル失格じゃん……。

 「楓ちゃん……。ありがとう。……私、ずっとずっと我慢していた……。私の気持ちを理解して私に手を差し伸べてくれる人を待っていた……。だけど……、香織ちゃんのこと、誰にも言えなくて。我慢……していた……。ありがとう……楓ちゃん」

 保真麗は私の言葉を聞くと、私の胸元に飛びついた。保真麗は、なかなかに平たすぎてコンプレックスな私の胸に顔を当てて、心の内を打ち明けてくれた。こんな私に感謝をしてくれた優しい保真麗に感謝をしながら、私は、肩を震わせて静かに泣く保真麗の頭を撫でながら慰めた。



 こんなに寒い寮の廊下でも温かく感じるくらい、本物の愛情で保真麗を優しくあげられたらいいな……。



 そう思いながら私達の気持ちが落ち着くまで保真麗を慰めていた。




 それから数日後、たまたま住川君と保真麗と私の予定が空いてる日があった。




 12月25日の初ライブまであと2日となった日曜日。保真麗と住川君に時間を空けてもらい、香織について話すことにした。香織に全ての事実を告げるか否かを今日、白黒つけるためである。年末年始の帰省日、つまり香織が親と会う日までに香織に告げておきたかった。

 男子寮と女子寮の間にある中庭を話し合う場所にした。寮2つが向かい合う形となっているため、二つの建物の間を冬の冷たい風がビュービュー吹き抜けていく。その冷たい風が私のツインテをパタパタなびかせるようにしている。それが地味にイラつくので、私はフードをかぶることにした。さっきまで冷たい空気に晒されていたせいで、耳や顔の感覚が麻痺しているようで、フードをかぶり冷たい風が当たらなくなったとはいえど、温かくなったと感じることはない。

 「風、冷たいね」

 「そーだね。武琉君遅いなー、寒いよー」

 寒い中で住川君待ちなのだけれど正直言って辛い。12月がこんなに寒いとは知らなかった。早く出て来て住川君……。

 そう願いながら少し経つと体操服を着た住川君が男子寮から出てきた。

 「遅いよー、武琉君!私、すっごく寒かったんだからね!」

 その姿を見るなり保真麗は、周りの目を気にすることなく住川君に抱きついた。住川君は保真麗を受け止めると、片手で抱いて頭を優しく撫でていた。住川君が飼い主で保真麗が子犬のようなくらい、住川君は保真麗の扱いに慣れていた。

 「ごめんな、保真麗」

 「もー、今回だけだよ〜、えへへ」

 あー、なんで私は寒い中でアツアツなカップルのイチャイチャを見なきゃいけないのか……。彼氏居るの羨ましいよ、保真麗……。あー、『◯ぜろ、リア充……!』とでも言ってあげようかしら……。

 私から何かを感じたのか住川君はこちらを向いて頭を下げて「遅れてごめんなさい」と改まって私に謝った。そこまでしなくてもいいのにとは思ったが、気にすることなく「いえいえー」と会釈をしておいた。住川君に、保真麗を剥がして引っ張ってこさせるのもなんなので、私から2人の方へと歩んでゆく。

 「ごめんなさい、住川君。忙しいところ」 

 「いや、別に……。それより、香織のことを考えてくれる人が居てくれて嬉しい。事情を知っている人が他に少ないから」

 住川君は優しい笑顔で私に言ってくれる。こんなイケメンなら私も堕ちてしまいそう……、って私は何を!住川君って悪く言えば天然女たらしってとこだろうか……?そんなことはどうでも良いことであって、香織のことを……。

 「私は、香織に全てを伝えなければならないと思うの………」


 それから私達は香織に伝えるか否かを話し合い始めた。


 ざっとした流れはこうかな?この時、別の選択をしていたら違った今があったのかもしれないのにね。



 ※ ※ ※ ※ ※


 クリスマスのイルミネーションで賑わいを見せる警固公園内を1人で歩いている私は、なんて虚しいのだろう。今年は、誰か友達と過ごすクリスマスがあると楽しみにしていたのに、結局ぼっちだ。今年こそは、そう思っていたんだけどな……。

 保真麗は住川君と、鈴音は柚葉と一緒にいるが今から合流するのはなんかなぁ……。綺麗に光り輝くイルミネーション、楽しそうなカップル、親子………全てが輝いていて私の虚しさが余計に目立つ。

 「東田、元気ねーな」

 「ん?……笹岡?どーしたの?」

 たまたま公園内で1人で居る笹岡に会った。笹岡もあんな性格だし、ぼっちになるのは当然とでも言おうか。

 「お前、LINEしたの気づかなかったのか?」

 「え?」

 コートのポケットからスマホを取り出すと、LINEの通知のところに東田の名前があった。内容は『今日、ライブ終わったら連絡しろ』の一文のみ。夕方くらいに来ていたけれど、スマホを見る時間なんてほとんど無かったし仕方ないよ、うん。

 「これってどういう……」

 なんだろう?笹岡になんか悪いことしたっけ?私のことを見下ろす笹岡は無表情である。夜だとなんか怖いな……。

 「聞きたいことがあったんだが、クリスマスだし、いい機会だと思って。俺に対するお前の気持ちをしっかりと言って欲しいんだ」

 あれ、このパターンって一般人ならキュンとなるだろう。だけど、なんだろう。見下ろされてる感じがしてあまりキュンってこないな……。笹岡ってホント恋愛苦手そうだよね。


 私が居なかったらどうするんだろう。


 私は思わずため息をついてしまう。ため息は白く息として私の口から出る。ゴワゴワのコートや手袋やマフラーの重装備をしている私は、外ってそんなに寒いっけ?と感じる。雪もライブを終えた後より強くなっていて、私のコートの上にも白い小さな雪がいくつか溶けずに乗っている。

 「東田………」

 笹岡が少し不安そうな顔で私のことを見ている。そんなにアレを私に言って欲しいのか。今の笹岡をいじってあげたくなった私は、笹岡でも絶対に困るであろう無理難題を押し付けようと決めた。

 「クリスマスプレゼントちょーだい!」

 私は顔に満面の笑みを浮かべて笹岡に言った。笹岡はまるで「呆れた」とでも言うのかと言う感じで、大きな白いため息をついた。そして不敵な笑みを顔に浮かべて私のことを見下ろしながら言った。

 「お前にはあげているだろ。クリスマスプレゼント」

 笹岡は自信に満ちた顔であったが、そんなこと言われても、私は笹岡から何も貰ってない。

 「どういうことよ?貰ってないわ」

 「確実にあげてるだろ。なんだ、そんなにお前の気持ちを言うのが恥ずかしいのか?」

 「は⁉︎恥ずかしくないし、言ってやるし!………あ。」

 私の顔が確実に熱くなるのを感じた。ほっぺたを手袋の上から触っても温かいと感じるほどに熱くなっていた。周りが冷たいから余計にそう感じるのかもしれない。笹岡はやってやったような顔をして私のことを見下ろしている。笹岡の罠にハマった自分のことを恨むとともに、これ以上耐えることは無理だと思った私は決意をした。

 「す、好きなんだよ!笹岡のことが好きなの!好き好き好き!」

 「わ、バカうるせーよ」

 「愛してるよ、笹岡」

 焦る笹岡に、やけになった私は抱きついた。笹岡の、コートの上からでもわかる漢らしい筋肉質な体に抱きつきながら何度も好きだと私の愛を叫んだ。でも、それが少しだけ私にとっては嬉しかったかな。

 


 今年のクリスマスはある意味捨てたようなものになってしまったけれど、こうやって過ごすクリスマスも悪くないな……。

 外はさらに雪が強くなって寒いけれど、心の中と私達は熱くなったクリスマスだった。


内容のおかしなところ、誤字脱字等がありましたら報告よろしくお願いします


Twitterのキスよりルミナスもよろしく

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