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ギャルズメロディー1期   作者: キスよりルミナス
新ユニット結成編(楓、香織編)
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24話 新ユニット結成、後編(楓)

24話   新ユニット結成、後編(楓)



 帰りのホームルームが終わるとすぐに学校を出て、香織、保真麗、鈴音の三人を連れて隣の市にある里見学園へと向かった。

 明日までに五人で直接話し合って決めないといけないことが多くある。別に、LINEのグループで話し合ってもいいけれど、大事な事を話し合うのだから直接話し合った方が良いという結論に至る。

 私達が里見学園に着くと、里見学園の生徒達もバラバラと帰っている時間帯であった。

 里見学園は桜咲学園と違い、部活に入っていなくても何の問題も無く快適な中学校生活を送れるんだとか。入学前から部活に入らなければならないと聞いていたので、事前に桜咲学園の部活情報を手に入れていた。そんな私は、当時ダンススクールに通っていたこともあり『桜咲学園アイドル部』に入ることにした。

 「ごめん、待たせちゃった?」

 学校帰りの生徒達の中から制服姿の柚葉がひょこっと現れた。これから近くの公園で話し合うため、話終わったら直接家に帰るために柚葉は学生鞄を持っている。

 「いや、待ってないよ。今来たとこだから」

 柚葉に気を遣わせないように注意しながら言った。自分で言うのはあれだが、柚葉から見たら私達に来てもらっている側になるので、待たせてしまっては申し訳ない気持ちになるため、気を遣っているのだろう。

 私の反応に柚葉は「良かった」と、ホッとため息をついた。

 「それじゃ行こうか、あんまり時間も無いし」

 香織はそう言うと、今から話し合うと思われる公園の方へと歩き出した。私、保真麗、鈴音はそれがどこにあるか分からないので、香織、柚葉についていく。

 


 二人について行き着いた場所は、小学生達がガヤガヤと楽しそうに遊ぶ公園だった。以前、香織が柚葉と組んだ時に練習の為にここの公園を使っていたと言っていたような気がする。ダンスの練習などの運動をするにはここの公園は最適そうだが、今日はユニットについて話し合う為に集まったから別にここで無くても良さそうな気がする。

 「そういえば、なんでここの公園なの?話し合うのなら私の家に来てもよかったのに」

 鈴音は私と同じことを考えていたのだろう。鈴音は不思議そうな顔をして柚葉に聞いた。その鈴音の顔を見て、柚葉は「ま、話し合うのはどこでも良かったんだけどね……」と言って、両手を広げて「周りを見て」と私達に言う。

 私は周りを見渡してみるが、私にはここを選んだ理由がわからない。香織と鈴音は周りを見回して「そうか……」と納得していたが、保真麗も私と同様に解らなさそうな様子である。

 「柚葉ちゃん、私にはわかんない……」

 保真麗は少し難しい顔をして、遊んでいる小学生達を見ながら柚葉に言う。柚葉は保真麗の横に並んで、小学生達のことを眺めながら話し始める。

 「ここって色んな環境に恵まれてるじゃん。ほら、仲良く遊んでいる小学生達、周りの草木、それに住む動物や虫達、公園近くの歩道を歩く人達、色んな物があって飽きないんだよね。私、ここに居ると色んなアイディアが頭の中に浮かんで来るんだ。それで今日は皆にわざわざ此処に来てもらったの」

 柚葉は顔に笑顔を浮かべて楽しそうに話している。柚葉の話を聞くと何故ここの公園で話し合うことにしたのか納得がいく。

 「良いアイディアが浮かびやすそうだね」

 保真麗も此処ですることに納得がいったらしく、微笑んで柚葉の顔を見る。柚葉はその言葉を聞いて笑顔で「うん!」と首を縦にふって頷いた。

 「今回決めるのは……リーダーとユニット名かな?それまでの必要事項は香織とLINE通話しながら書いたから大丈夫だと思う」

 柚葉が自分の鞄の中をあさりながら言う。「あった。」と言ってアニメのイラスト付きのクリアファイルからプリントを取り出す。柚葉がそういう系のアニメが好きなのが意外だったけれどそれに関しては個人の自由もあるし触れないでおこう……。

 「まずはリーダー決めかぁ……。誰がいいかなー」

 保真麗は私達四人それぞれの顔をジーッと見る。この前、笹岡から言われた事を言うか言わまいか考えた。しかし、それだとリーダー決めが公平にいかないと思う。また、別に私はユニットのリーダーになりたいとは思わないので、言わないことにしておいた。

 「この前の合宿の時、楓がチームリーダーしていたよね?」

 香織が私と保真麗と柚葉に聞いた。夏の里見学園との合同合宿をした時は、一年生チームリーダーをやった(というよりやらされた?)けれど、その時の話と今回の話は別であると思う。あの時のリーダー役は負っても良いと思えたけれど、今回の新ユニットのリーダー役は易々とは負いづらい役である。

 私に実績があるかと言えば、香織、保真麗、柚葉より無いし、この役はメンタルが弱くては務まらなさそうため、三人の方が私より適正であると思う。

 そう考えた私は今回のリーダー役は背負いたく無いなと思った。

 「そ、そうだけど……。やっぱりさ、こういう大事なリーダーってアイドルとしての経験が多くある人の方が良いじゃん?香織とかさどう……?」

 私の消極的な態度がみんなに伝わらない程度に提案した。私は例として香織の名前を挙げたつもり(香織にリーダーになって欲しい気持ちもあったけれど)だったが、香織以外の三人は、香織がリーダーになることに対して賛成している様子を表した。それを見て焦ったのか香織は「わ、わっ、私以外でいいんじゃない⁉︎たっ、た、多数決で決めようよ……」と噛みながら言った。

 「じゃ、私は香織を薦めたいな!」

 柚葉はピースサインを作って香織に向ける。私は香織がなることに賛成だったのと、私がならなくて良くなったことに対してホッとした。また、保真麗も鈴音も香織に一番にリーダーになって欲しかったのか「香織ちゃん、よろしくね!」、「よろしくねリーダー」と、多数決をする前から香織がリーダーになったかのように香織に言い出した。

 私達の様子を見て焦っていた香織だったけれど、「私で良ければ!」と笑顔で答えてリーダー役を負ってくれた。香織がリーダー役を負うこと嫌がっていないし、私達四人が一番に望んでいた結果だと思うからこれで良いと思えた。

 「リーダーになってくれてありがとね、香織!」

 「えへへ、ありがと。それじゃ、残りは……ユニット名になるけれど……」

 香織は柚葉の持っている紙を見ながら私達に告げる。この調子で行けばすぐに終わる、と一瞬だけ思ったが、改めて考えるとユニット名を決めるのはそう簡単にはうまくいかない事がわかった。

 

 ユニット名……。


 センスが試される上に、ユニットの方向性まで決まってしまうため、ユニットを作るうえでは一番大切なことである。だから、ユニット全員でこれからの事を考えて真剣に向き合わなければいけない。

 リーダー決めも同じではあるかもしれないが、リーダー決めにおいては「この人が良いな」くらいの気持ちがあるから、全員の意見が揃えばすぐに決まる。

 ただ、ユニット名となると全員の意見が揃う確率なんて相当低いはずだ。


 「私達に合うユニット名ね……」

 私は言葉に出してみるが、頭に何も良い案が降ってこない。他の四人に助けを求めようとするが、四人とも黙り込んでしまっている。

 「ユニット名って難しいのね……私、良い案が思いつかないな……」

 柚葉は困っている時の笑顔をして呟いた。柚葉までがこの様子となると、頼れるのはリーダーとなった香織であるが、香織もこれに関しては難しい顔をして閉口してしまっている。

 

 「おーい、柚姉ー!」


 黙り込んでいた私達の方に二人の少女が走って来た。二人とも私達より二個下の歳くらいに見える。二人は私達のところに着くと柚葉に二人で抱きつく。

 「久しぶり柚姉!」

 「あそぼ、あそぼ」

 抱きつかれた柚葉は二人の頭を撫でた。二人とも嬉しそうにして純粋な笑顔を見せている。二人とも可愛らしくてこちらまで笑顔になりそうなくらいである。

 それにしても、この二人は柚葉の知り合いなのだろうか……。

 柚葉は歳下から人気であるという話を香織から聞いたことがあるけれど本当のようだ。柚葉の姉御肌な面は夏の合宿の時にしっかりと味わっているので、香織の話にも納得がいく。

 「もう……。二人とも寂しがり屋だなー。ちょっと会わなかっただけで」

 「だって、柚姉は忙しいじゃん。いっつも部活してる」

 「柚姉といると楽しいもん」

 二人は、二人より背の高い柚葉を、抱きついたまま見上げて応える。柚葉は少しだけ困った時の笑顔を見せて、「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど……」と言い辛そうに二人に話し始める。

 「ごめんね、今は大事な話し合いをしていて遊んであげられないんだ」

 「そうなの?」

 「ごめんね柚姉」

 柚葉の言葉を聞いた二人は残念そうな顔をしながらそっと柚葉から離れる。柚葉も少し寂しそうな顔をしていて、見ているこっちまで寂しいような気持ちになってしまう。

 二人は恨めしそうに私達のことを見ていたが、突然「あっ!」と言って私の方を指差した。

 「《HOT beetle》のお姉ちゃんだー」

 「本当だー、初めて生で見た!嬉しい!」

 二人とも驚いた顔をして私のことを見ている。このような純粋な反応を見てしまうと、二人が実際より幼く見えてしまう。

 二人に指差された時は「この人柚姉に……」などと文句を言われるかと思い、一瞬緊張したけれど二人からの反応は真逆だった。私のことを、二人が良い意味で認識してくれて嬉しいのもあるけれど、『《HOT beetle》のお姉ちゃん』と呼ばれたことも嬉しかった。自分が小学生にも有名になっていたことで、今までの努力による成果を改めて感じることが出来たことへの喜びの気持ちも湧き上がってくる。

 「私のこと知っているの?」

 「はい、もちろんです!楓さんですよね?」

 私と同じようなツインテールをしている子の方が、目を輝かせて答えてくれる。こんなに目を輝かせて見られることなんて経験したこと無かったため、どうしても照れてしまう。

 香織達の方から何かを感じたので香織達の方を見ると、香織、保真麗の二人が私を羨むような目で見ている。保真麗にいたっては、「ずるいずるい」と呟きながら私の方を見てくるので、申し訳ないような気持ちになってしまう。

 「優奈、百音。今から私達、大事なこと話し合うからまた今度でいいかな?」

 私にぺったりとくっつく二人に柚葉が優しく話しかける。嬉しすぎて忘れかけていたが、今日は新ユニット結成に向けて話し合う予定だった。

 柚葉に言われた二人は少し残念そうな顔をして互いを見て「帰ろっか」と言い、場を去ろうとした。

 きっと二人は久しぶりに姿を現した柚葉と一緒に居たくて来たのだろう。だからこそ、あと少しだけでも一緒に居たかっただろうに、こちらの用事で追いやられてしまう……。

 柚葉は、二人が邪魔になってしまうと思い二人に帰ってもらうことにしたのだろうけれど、私としてはまだ残っていて欲しかった。

 「二人とも待って!」

 二人の気持ちを考えると、あと少しだけでも柚葉と一緒に居る時間を作ってあげたい。そう思った私は二人を引き留めた。

 私が突然声をかけて二人は驚いた顔をして振り向いた。また、柚葉は不意を打たれた時の顔をして私の方を口をポカンと開けて見ている。

 「私達の話し合いに一緒に乗って欲しの。一緒にしよう」

 「で、でも……楓……」

 「良いじゃん。多く集まれば良い意見が沢山出るじゃん。それに、あの二人は柚葉と一緒に居たい様子だったもん」

 拒む柚葉に対して私は二人が残ることを了承して欲しかった。理由は後者の方だけだと柚葉に了承してもらえないと思った私は、ユニット名を考えることも一つの理由として挙げた。実際、人数が多い方が良い意見が出やすいだろうし、三人寄れば……の知恵。あれ?なんだっけ、もんじゃだっけ……?

 「そうね……。優奈、百音。私の……私達のお手伝いして欲しいんだ。二人に一緒に考えて欲しいんだ」

 柚葉は私の言いたかったことの意図を汲んでくれたのか、優しく微笑んで了承してくれた。柚葉に残って欲しいと言われた二人は、無垢な笑顔で「柚姉、手伝う!」と言って喜んでくれた。





 「よし、やっとできた!」

 あれからどれくらいの時間考えたのだろう。日が沈みかけていて辺りは橙色で染まっている。空が橙色に染まるのは見たことがあるけれど、夕陽によって周りの景色までも橙色に染まったのは見たことが無かったので、神秘的に思えた。

 「日が落ちかけているね……。優奈ちゃん、百音ちゃん。今日はありがとうね」

 私は二人の頭を撫でながらお礼を言う。二人とも話し合いの時に名案を多く出してくれて本当に助かった。考えてる時は楽しそうだったし、柚葉といる時間が増えて嬉しそうだったので引き留めておいて良かったなと感じる。

 「うん、楓お姉ちゃん、またね」

 「楓姉、じゃーね」

 もう少し、百音ちゃんと優奈ちゃんと話をしていたかったけれど、二人は小学生であるため、もう帰らないといけない時間である。二人は素敵な笑顔のまま帰っていった。

 「優奈ちゃんも百音ちゃんも良い子だったわね」

 鈴音は目を細めてふたりの後ろ姿を眺めながら言った。鈴音には下に妹、弟が居るから歳下の子の扱いが大変上手かった。二人とも最初は柚葉にだけくっついていたが、気がつけば鈴音の膝に乗ったりするほど鈴音に懐いた。

 「明日、社長と優亜先輩達に認められると良いね」

 「そうだね」

 私は完成したことへの安心でホッとして空を見上げる。空はさらに暗くなっていて、東の方は橙色から群青色に変わり始めている。

 

 視線を落として香織を見る。その後皆の清々しい顔を見る。まだ、芸能界新入りだけど、みんなの様子から私達で作るユニットなら上手くいけそうな気がした。


 

 宇宙のように大きな芸能界の中でも光り輝く美しい王冠のようになれる気がした。

投稿遅れてすみません


誤字脱字などありましたらご報告よろしくお願いします


Twitterのキスよりルミナスもよろしく

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