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ギャルズメロディー1期   作者: キスよりルミナス
合宿編(香織編)
11/29

11話 新たな出会い(香織)

11話  新たな出会い


 夏休みに入って寮生でも家に帰省する人がいて、寮内にはあまり人がいない。夏休みに入ったけれどアイドルには「休み」という概念自体無いらしく、アイドルの世界では「オフ」という(楓情報)らしい。確かに私と保真麗はCDデビューしてから、ラジオに出演したり地元の番組に呼ばれたりで、学校に行く時間すらあまりなかった。おかげさまで期末試験を公欠として休めたから嬉しかったけれど、スケジュールが詰まって無いわけでも無いため身体の疲れは溜まっていたからあまり嬉しくない一面もあった。ここ最近は授業中に気がついたら寝落ちしていた、なんてことはよくある話だ。

 また、仕事現場ではアイドルとして(芸能人として?)成長しないといけないことを感じさせられるため、仕事のない日や仕事が終わって部活に行ける時は、保真麗と積極的に部活に行った。

 「うーん、少し疲れ取れてないかも…」

 「そーだね、毎日がやっとだよね…」

 部活後の更衣室。私は保真麗と制服に着替えていた。保真麗も私と同様らしく授業中に気がついたら寝てしまう、とのこと。

 「ここ最近さ、二人とも頑張ってるね」

 「ありがとうございます、松崎先輩」

 あの日(最初のオーディション)以来、松崎先輩は徐々に元気になって来ていて、頑張った甲斐があったなと嬉しくなる。

 「そーだ、この前お仕事で二人は休んでいて伝えることが出来てなかったね。今度の日曜日にあの里見学園と合宿することが決まったんだよー!」

 「合宿?」

 「さ、里見学園……⁉︎」

 私は合宿をすることに驚きを覚えたのだが、保真麗はその里見学園というところに驚いたらしい。保真麗は普段驚かない落ち着いた性格であるため、「里見学園」とは余程凄いところなのだろうとは見当がついた。

 「そーだよ、あの里見学園!今回は貴重な合宿になりそうだから是非是非楽しんでね!」

 「はい、わかりました」

 松崎先輩が楽しそうに話していたから、きっと、その里見学園と桜咲学園は仲が良いのだろう。多分合宿は強制参加だろうし、私のアイドルの練習時間の確保は貴重だから私はすぐに参加することを心に決めた。が、一方の保真麗はなんだか顔が少しだけ硬っている。

 後で保真麗の部屋に行って理由を聞けば良いし、今はそんなことしている時間があまりない。外はまだ明るいが時間はそこそこ押しているはずだから、早めに寮に帰らないといけない。私は脱いだ体操着などを畳まずにボサボサと無造作にバッグの中に突っ込んだ。


 


 保真麗と二人で寮食の夕飯を食べながら、私は保真麗に里見学園のことについて聞いた。

 「里見学園ってどんなところなの?」

 すると、保真麗は目を見開いて私を見て、口の中に入っていた食べ物をお茶で一気に流し込んで答えた。

 「全国スクールアイドル・トーナメントで日本一になった学校だよ!ほら、あの二人。ユアユイ知らない?あの二人、里見学園なんだよ!」

 「わ、わからないなぁ……」

 全国スクールアイドル・トーナメントか……。全国陸上競技大会とか言われたら容易にイメージがつくけれどそんな派手な大会、私は初めて聞いたし、里見学園自体も初めて聞いた。ユアユイってのも私にはわからない。いくらCDデビューしたとはいえど、芸能界なんてまだ私からしたら対岸のような事だし聞いてもいまいちピンと来ない。

 「わからないのかー……。でもさ、そんな凄い人達と練習できるって考えると、私は楽しみだなー」

 凄い人達だとはわかったけれども、レベルの高い人達と練習する事を楽しみに出来るなんて私にはあまり理解が出来ない。レベルの差を見せつけられてしまうだけになりそうだから私はあまり楽しみではない。取り敢えず風呂まで入り終わったら楓にも意見を聞いてみようと思った。

 


 


 風呂場に行くと、あまり人はいなくて先輩も合わせて四人くらいしかいなかった。時間がギリギリなせいかほとんど風呂場にはいなかった。適当に空いてるところに座ってシャンプーをしている時のこと、横に誰かが来た音がした。

 「香織、隣いい?」

 シャンプーをしていて目を開けることは出来なかったけれど、声だけ聞けば誰だかわかったから「いいよ」と一言答えた。

 「香織、合宿の話さ,松崎先輩から聞いた?」

 「保真麗と一緒に聞いたよ、里見学園とするんだとか」

 「そーなんだよ、里見学園だよ?里見学園!こんな奇跡ある?私のところに神様きてるー!」

 なんでこんなにテンションが高いのかわからない。やはり、保真麗と考えが同じ……というより私だけ感覚がズレているのかな?

 「楓もやっぱ楽しみなんだね?」

 「楽しみだよー、もう天才アイドルに囲まれて囲まれての三日間!楽しみ以外何もない」

 お湯を出してシャンプーを洗い流して楓の方を見る。今は楓の方がシャンプーをしていて目を合わせることはできない。でも、確実に私には楓の気持ちが分かった。

 「楽しみなんだね、私はそうでもないけどね……」

 しばらく楓は応えずに、シャンプーを洗い流してから私の方を見て応えてくれた。

 「きっとさ、新たな出会いがあるんじゃないかな」


 

 

 バスに揺られて船も使って三時間程度、合宿をするところはこの島の里見学園の私有している体育館らしい。泊まるところは、里見学園が私有している旅館。島には整備された港と道路はあるものの、それ以外は森林しか見えない。

 街中みたいにコンクリートに囲まれている、ということは無く街中よりは断然涼しくて良かった。しかし真夏の太陽は眩しくて、つい目を細めてしまう。日焼け止めとか持ってくれば良かったと思いつつ船から降りると、港には里見学園の生徒達がいた。

 「きゃっ、ユアユイの二人だ!ほら、あの二人、髪型は真反対だけれど顔の似てる二人!」

 保真麗と楓が私に囁く。あの人達がかの有名なユアユイの二人なんだ。二人とも可愛くて、本当の双子っぽい。(事実,双子なんだとか)

 桜咲学園のアイドル部で合宿に来たのは、保真麗、楓、私、松崎先輩、桜田先輩の五人だけだ。ほとんどのアイドル部のみんなは帰省していて、残っていた私達だけが来ることになった。一方の里見学園の方も計七人しかおらず、少人数と少人数での合宿となる。

 「それじゃ、一年は一年で自分の荷物持って集まってね」

 里見学園の先輩がそう言うと、私達のところに里見学園の三人の同級生が集まってきた。里見学園の三人は落ち着いている感じで緊張はしてなさそうだった。

 「一年生、今日のノルマは日暮れまでに島で里見学園の私有している宿を見つける事だよ、頑張ってね!」

 先輩方はズンズンと森の中を突き進んでいった。サァ、ここの六人で日暮れまでに宿を見つけろと……?

 


 


 「じゃ、とりま自己紹介から行こ!」

 里見学園の元気そうな子がそう言って、簡潔な自己紹介が始まった。元気そうな子は杉山 和泉さん、大人の色気を放つ美人な子は菅原 柚葉さん、小さくてか弱い子が五十嵐 莉音さん、だと。緊張や遠慮なんてせず下の名前で呼んでほしいとのこと。(私達もそれは同じだったので利害が一致して良かったと心底思っている。)全員の自己紹介が終わって私達は、まずは旅館を目指そうとしたけれど場所も知らない、地図も無いで初手で詰んでしまった。

 「三人とも、ここ初めてなの?」

 「ここの島に有る里見学園の私有地は、アイドル部の合宿に使われるからね。普段の部活では全く来ないから初めてなんだ、私達でも」

 和泉は能天気ににこやかに話していたけれど、柚葉と莉音は焦っていることがわかる。楓も保真麗も焦っていて、焦ってないのは私と和泉だけだ。どちらかというと私は焦るよりも,絶望感を感じていた。

 「いずれは着くよ、結構この島はとーっても広いって聞いたことあるけどさ」

 和泉の言葉に全員が落胆の表情を浮かべている。着かなければ風呂にも入れない、夜に寝るのも寝れないし、本来なら今すぐにでも探すべきなんだろうけれど絶望が目の前に広がればやる気もなくなってしまう。

 「わからないのは、あなたたちも一緒なんだね」

 「そーだよ」

 「広いなら、私達が六人集まっていても仕方がない。二人一組でバラけて探すしか方法が無い」

 流石は楓、一旦冷静になって直ぐに適格な判断を下すことが出来る。ただし、ここで保真麗か楓となれたら嬉しいけれど、里見学園の三人と行くのは緊張するなぁ……。頼みます、保真麗か楓……!



 


 「よろしく、香織!」

 「よろしくね、柚葉!」

 結果から言うとまぁ無理だった。私以外は違う学校の人と周りたいという意見で、気がつけば保真麗と楓と私で組分けをすることになっていた。

 柚葉は髪を黒いリボンで後ろに二つに纏めていて、身長はほぼ同じ。美人のオーラが漂っている和風美人。そんな彼女の笑顔に私も笑顔で返さないといけない気になってしまう。

 楓と和泉、保真麗と莉音、私と柚葉のペアに決まった。私達は港から別々の方向へと向かって旅館を探すことにした。一応この島にも,人は住んでいるらしけれど港の方には人が住んでいないらしく、旅館の位置なんて聞く相手がいないらしい。(松崎先輩の体験談)

 私と柚葉は港から島のど真ん中へ向かうように決まった。他の二ペアは海岸線に沿って探すとのこと。面積的に明らかに私達が大変なのだけれど、我慢するしかない。

 歩き始めて少しした頃に、柚葉から尋ねられた。

 「香織ってこの前さ、保真麗と二人でCDデビューしていたでしょ?」

 里見学園の生徒でも私達がCDデビューしたことを知ってるとは、だいぶ私達の名が世の中に知れ渡ってしまったということかな?

 「うん。本当、奇跡みたいな話なんだけどね」

 思い返すと本当に奇跡のような日々だった。オーディションで合格して、オファーが来て、仕事が増えて……。今でもあまり信じられない。

 「凄い、私なんかまだオーディションの一つすら合格できていないけれどさ……。いつか、私もデビューしてみたいけれどね……」

 柚葉はなんか寂しそうな目をしていた。彼女の口調から夢ではあるけれど辿り着けない所にあると感じているのでは無いか?と予想ができた。ここでどうやって私は励ませばいいかわからないし、自慢しているように聞こえないようにしなければいけない。

 「きっとさ、いつかは届くと思うんだ。夢って遠くにあるようで意外と近くにあったりするもんだよ?」

 私はこの中学に入ってわかった。夢のようで全く届きそうになかった現実も、すぐ近くにあったりする。友達なんか出来るわけないそう思っていたけれど、保真麗、楓、伶良、などの素晴らしい友達を持つ事ができた。

 私の言葉を聞いて柚葉は私の方を向いて、「おーっ」と小さく呟いた。予想外の反応だったのか、いまいち微妙な反応だった。

 「ちょっと伝わりづらかったかな?」

 「そんな事ない。今、すっごく新鮮な気分になれた。ポジティブな人に出会う事があまりなかったからさ」

 柚葉は微笑んでいた。本当に素敵な笑顔だ。楓や保真麗の笑顔は可愛いけれど、柚葉は可愛いだけじゃなくなんだか気持ちがホッとするような笑顔だ。同性でもつい見惚れてしまうくらい柚葉のその笑顔は素敵だった。暫く見惚れてしまっていると、柚葉は不思議そうな顔をして私に聞いてきた。

 「私の顔に何か付いていた?」

 「素敵な笑顔……」

 もうちょっと誤魔化そうとしたけれど本音が口から出てしまう。私の直したい癖の一つではあるけれど、どうしても直すことが出来ない癖の一つでもある。私の言葉を聞いた柚葉は顔を赤くして「ふぇっ⁉︎は、恥ずかし……」と呟いて俯いた。なんだか気まづい雰囲気にして申し訳ないなぁ、と思った私はどうにか空気を変えることが出来るか考えて咄嗟に思いついたことを言った。

 「そうだ、柚葉!今からトレっちゃお!」

 トレる。それは桜咲学園のアイドル部でトレーニングをすることを指す。歌を歌う練習したり、ダンスの振り付けを練習したりする時によく使う。せっかくの交流なんだし、桜咲独自の文化を伝える良い機会にもなると思った。

 「トレる?トレーニングのこと?」

 柚葉は私の顔をキョトンとした顔で見つめてくる。

 「そ,歌いながら歩こ?歩きながらだとリズムを取りやすくなるの。私の体験談なんだけれどね…」

 森の中にできた自然道をひたすらに歩いていてもつまらないし、これくらいなら探すことへの支障も出てこないので提案した。最初の方は、ぽけーっと聞いていた柚葉だったけれど笑顔になって「やってみたい!」と答えてくれた。

 「どんな曲が知ってる?《try⭐︎again》とかの有名所はどう?」

 「あー!あの曲、サビのとこ好きなんだよね、私!《もう一度笑顔で走り抜け》って部分が好き!」

 「おー、私もだよ!歌っていたら一番楽しい部分!」

 私は森の緑に気持ちが弾み、新鮮な空気を目一杯吸っていろんな曲を柚葉と一緒に歌いながら森の中を進んで行った。旅館を探さないといけないことなどすっかり忘れてしまっていた。

 歌いながら森の中を歩いていくと、ある住宅街に着いた。すぐ右側にある大きな公園では、子供達がサッカーをして遊んでいる。

 「一旦、ここで休憩しよ」

 正直言って歩き疲れたのと、あとは単純にトイレに行きたくなったのだ。運良くそこの公園には綺麗そうなトイレがあったので、柚葉に一旦待ってもらってトイレに行くことにした。

 中も綺麗なものの、見た目より遠かったので危なかった。海岸線の方を歩いていたら詰んでいたなと思いつつ用を足した。

 


 



 トイレから出て、柚葉の元へ向かうと何やら柚葉が踊っていた。小学生が周りを取り囲んで見ている中、柚葉は華麗に踊っていた。私が行くとダンスをやめてしまいそうなので、こっそり近くの木の陰に隠れて柚葉を見ていた。キレのあるダンスで彼女の表情は自信に満ちていた。

 柚葉が踊り終わると小学生達が「お姉ちゃんカッコいい!」とか「カッコ良かった、凄いー!」などと、言って柚葉のことを尊敬の眼差しで見ていた。自分が今まで他人から直接自分のパフォーマンスについて褒められたこととか無かったのでとっても羨ましかった。

 ある程度小学生が離れていったタイミングを見計らって、木の陰からゆっくりと柚葉の元へ近づいていった。

 「ごめんね、遅くなってしまって。」

 「いやいや,いいよ!お腹痛かったの?」

 遅れた私のことを心配してくれる柚葉に嘘をつく事が申し訳なく思えて、実は陰で見ていたことを話した。

 「え?見てたの?恥ずかしいなぁ……私、結構自信あり気にやってしまっていたからなぁ……」

 柚葉は事実を聞くと下を向いて頭を掻いて言った。柚葉が自信に満ちていたのは確かだったけれど、あんなに素晴らしいダンスを私は初めて見た。

 「ダンスが上手くてつい……。でも、羨ましかったよ、柚葉のダンスのうまいこと」

 「そ、そうなの?褒めてもらうとなんかムズムズとするなぁ」

 柚葉は少しだけ顔を紅くして照れていた。柚葉って正直なんだなぁって思った。私にとって気が合いそうな人だなと感じた。私が正直になれる人が好きだからそう思ったのかもしれない。

 「今度は一緒にダンスしたい、歌いながら!いいかな?」

 今度は柚葉の方からの提案だった。私は大賛成だったし、さっきは私の提案にも付き合ってくれたから是非したかった。トイレで体操着に着替えて夏の炎天下の中、二人でダンスを始めた。

 さすがに公園では、森の木々達が日光から守ってくれることは無いし、さっきよりも時間が経ったので余計に暑くなる。ただ立ってるだけでさえ暑い中で、ダンスをしつつ歌うからさらに暑くなるし汗もかく。それでも二人で並んでトレるのは楽しかった。お互いにアドバイスを出し合いながら完璧を目指していった。

 すると、近くにきて見てくれる人達が増えてきた。地元の小学生以外にも、子連れの親子、お爺ちゃん、お婆ちゃん、などたくさん周りに集まって、私たちの練習を見始めた。あまり人が増えると抜けづらいし、気がつけばもう空は少し赤くなりかけていたので次でラストとして、ゲリラで二人でステージをすることにした。

 「じゃ、皆さん。よろしくお願いします!」

 声を合わせて集まった三十人くらいの方々に頭を下げて音源なしのゲリラのステージを始めた。

 私達がゲリラのステージを終えると、一斉に拍手が起こった。気がつけば私達のことを観に来てくれている方の数はざっと五十人くらいにまで増えていた。

 「お姉ちゃん達、カッコいい」

 「最高やった」

 「素晴らしいなぁ……」

 みてくれている方はみんな笑顔だった。つまり私達はここにいる全員に笑顔を届けることができたのかもしれない。隣を見ると、柚葉も私の方を向いて目があった。柚葉は笑顔だったし、私も絶対に笑顔のはずだ。それに、お褒めの言葉まで頂くことができて嬉しかった。私はそれが本当に嬉しかった。私はこのステージが本当に楽しかった。やって良かったと心から思えるステージだった。

 「ありがとうございました!すみません、今から行くところがあるので失礼します!」

 私も柚葉は荷物を纏めて、体操服のままさっさと輪の中から抜けていった。抜ける時まで拍手をもらえて心底嬉しかった。

 空を見上げると、夕陽で完全に紅く染まっていた。時間は大体夕方6時くらいかな?そこで私はふと思い出した。そういえば今日は合宿でここに来ているのだと。

 「旅館……忘れていた………」

 「私も忘れていた、どーしよ!」

 柚葉もどうやら旅館を探すことを忘れていたらしい。あの人達に聞けば間にあうかもとは思ったけれど、里見学園私有の旅館がどこにあるかはわからないかもしれない。

 取り敢えず、スマホを開いて楓か保真麗のどちらかから連絡が来ていないかを確認する。柚葉もスマホを開いて連絡が来てないか確認している模様。私がLINEを開くと、楓と保真麗のところから、たくさんのメッセージが届いていた。

 

 楓『着いた?』14:40

 楓『もう着いたんだけど、場所の地図貼っとくね』16:38

 保真麗『遅いよー!』17:01

 楓『不在着信』17:11

 保真麗『不在着信』17:20

 ………などなど。


 「やらかしてるね、私達」

 「そーみたいね、でも楽しかったよね」

 柚葉の方にも和泉と莉音からメッセージが来ているのだろう。でも、柚葉は焦っていなくてこんな状況でも屈託のない笑顔をしていた。きっと、もしかしたら私も同じように笑顔なのかもしれない。

 「そうだね、もう合宿みたいな感じだよね」

 「今日は本当に楽しかったよ、香織!」

 「私もだよ、柚葉!」

 昼間の方は外れてしまったなと思っていたけれど、柚葉とトレってステージして、充実した一日だった。そんな風に今日のことを振り返っていると突然に左手を柚葉から握られた。

 「今から、一緒に旅館探そ?」

 「そーだね」

 テンションが上がっていたのか私は柚葉の指の間に私の指を入れて恋人繋ぎをしてしまっていた。気づいた時には遅くて、柚葉が顔を紅らめて私の方を見て、「え?」と呟く。私も柚葉の方を見つめる。二人でしばらくそのまま見つめあっていた時のこと。

 「なーに、イチャついてんの?私達そこそこ待ったんだけど?」

 楓の声が後ろからした。そこには保真麗、和泉、莉音、そして先輩達もいた。みんな怒っているかと思ったけれど全員笑顔だった。

 「やるじゃん、二人とも。地元の人達の心をゲットするなんて、私達の良き良きライバルになりそうだねー」

 ユアユイのうちの一人が褒めてくれた。

 「ごめんなさい、迷惑かけてしまって!」

 「いいのよ、別に。あなた達、何か良いことでも見つけたって顔してるもん!」

 桜田先輩はどうやらわかっているのかもしれない。私達に今日いいことがあったことを。

 「さ、帰りましょ。そろそろ夕飯ができる時間だし!」

 松崎先輩がそう言って道路の方へと歩き出した。私達、計十二人はそれぞれの今日あったことを話しながら旅館へと向かった。辺りはすっかり暗くなってしまっていたけれど私と柚葉の心は誰よりも明るいんじゃないかな、と思う。



 



 夜、消灯後。私達は一年生用の六人部屋で寝ることになった。寮生活で友達同士で寝ることくらいは慣れているけれど、別の学校の人達と寝ることはあまり慣れていないので気持ちが高ぶる。

 「今日はお疲れー!」

 そう言って和泉が楓に枕を投げた。そこから六人でのバトルロワイアルの枕投げ大会が始まってだいぶ盛り上がった。

 疲れて私達は布団に入って色んなことを話した。楓と和泉の旅館を探していた時に起こったことや、保真麗と莉音が海岸線を歩いて見つけた珍しい物などそれぞれの旅路の話で盛り上がった。けれど、やっぱり私達の旅路を話す時間が一番長かった気がする。そこで改めて振り返ると最高の旅路だったと思う。

 「今日はありがとね、柚葉」

 「こちらこそ、香織」

 そこからも学校のことについて話したり、好きな男子のタイプについて話したり(アイドルは原則恋愛禁止です!)していると徐々にみんな眠りだした。最後には私と柚葉が残ったけれど私達は半分寝かかっていた為、まともに何も考えることが出来ずに二人で同じ布団に入ってしまった。

 「明日からも楽しみだね、おやすみ」

 「おやす………み……」

 徐々に私に睡魔が襲ってきて柚葉とほぼゼロ距離のまま寝落ちした。

新キャラ一気に登場ですね、そろそろ時期的にそうかと

このストーリー構成頑張ったつもりやけどねw


Twitterのキスよりルミナスもよろしく

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