48話「ブラッドアーム・バニッシュ その3」
「グハハハハ……俺の血の装甲を少しばかり組み替えたのだ、胸から足そして地面に伝わるように一筋の線を描いた血の装甲にな。血は水分だから電気を通す、が、地面まで電気を伝えるように『アースの役割をするように』血を配置すれば、電気は地面に拡散され、無になるのだ」
「アースだと……脳筋のくせに考えやがって! 鬼神色、黒ッ!」
高笑いをあげるガイルゼに、黒の鬼神色を振るう! だがガイルゼは血の装甲で強化された左腕でそれを防御!
「『ソレ』も無駄だ、お前の破壊能力は『一枚ずつ』の破壊に過ぎない。さっきを腕を斬られたときに理解した、一撃目で『血の装甲』を破壊し二撃目で腕を斬り落としたな」
「黙れもう説明すんな、ガラ空きになった左腕も叩き壊してやるぜ!」
「ならば一撃目で出来た隙を突けば良い!」
ジャントの顔面への蹴り、同時にガイルゼは血の装甲で左腕を補強。二撃も与える隙は与えない。
「ぐあぁ……このやろォ……!」
ガイルゼへの攻撃の糸口に思えたふたつの能力も、彼にとっては初見殺しに過ぎなかった。一度食らえば対策と攻略が出来るというもの。
「そして、貴様らは既に始末している」
「なに!?」
起き上がろうとするジャントの体は、何故か力が入らず起き上がれない、いや、力を込めても体が動かないのだッ!
理由は簡単。既にジャントは……ガイルゼの張り巡らされた血管に縛り上げられていたのだ!
スカーレットも同様! ジャントのように至近距離に居ない彼女さえも、ガイルゼの血管の行き届く範囲として賄えているというのだ!
「この技は仕込みにちと時間がかかるのが難点でなア、だが、もう決まった! お前達に逃げ場は無イイイ!」
「ふざけんじゃあねーぜ! こんな血管ごときで!」
ジャントは縛られながらも器用に剣を振るい、血管を断つ。が、そのとき爆発が起こる!
「バカめが、その血管は全て俺の体と繋がっている、全てが能力範囲だ」
その爆風に乗り、ジャントは飛び上がり距離を取る、爆発ぐらいは予想していた、ともあればこの風を利用し一旦距離を取る!
「へっ、まずはこの血管網から逃げさせてもらうぜ、スカーレットも助け出して体勢を整えなきゃな」
ガイルゼから遥か離れた着地点、そこには。
「なっ……バカな! ここにも血管がッ!! 足が取り込まれるッ!」
人体の血管! 性別、年齢など個体差はあるが直線距離に換算した場合、その長さ約、地球を二周分!
ガイルゼの能力によって、その血管さえも操り、直線距離膨大の血管を、広範囲に広げていた! よって逃げ場は無しッッ!
「この野郎ォ、逃げ場がねぇ、しかも迂闊に距離を取ってしまった、この技を破るにはアイツ本体を叩くしかねぇのに!」
ジャントは焦って墓穴を掘ってしまった、体勢を立て直すはずが、攻撃射程外に飛び出してしまったことでガイルゼへの攻撃が不可能に!
一方スカーレットの方へ目をやると、彼女の様子がおかしかった。
「な、なんだスカーレットのやつ座ったまま動かなくなってるぞ、血管に縛られてるだけだ、首を絞められてる訳でもねえ、ただ巻かれてるだけなのに、何が起こってやがるんだ!」
「例え血管であってもォ、俺の体の一部だということに変わりは無いッ! 簡単な話だ、触れた人間の『血流を鈍く』しているのだッ!」
「なんだとあの野郎、血の流れが鈍くなるってそりゃ……つまり、血を送り出す役割の心臓にも影響してるってことになるんじゃねえか!?」
要はその通りである、血液を鈍くするということは心臓の活動にも異常をきたすということであり、心拍数も呼吸の量にも著しく負担がかかり『気絶状態』となる。こうなってしまえばおしまいであり、後は迅速な衰弱死しか待ち受けていないのだ。
「スカーレットが死んじまうッ! それだけはさせねえッ! てめえー! 技を止めやがれぇッ!」
ジャントは電撃を帯びた剣を振りかぶりガイルゼを攻撃しようと試みる。血管で繋がっているのならば、血管に攻撃すれば伝導体の役割を血管が担いガイルゼにも攻撃は届く!
「ぐッ……」
だが! 同じく血管で繋がっているスカーレットも同じこと、ガイルゼに攻撃する為にスカーレットも道連れになってもらうのか? 体力的に消耗しているスカーレットが先に死んでしまうという可能性は大いにある、ましてやガイルゼがなんらかの方法で血管に『アース』を利用して電撃を逃れたら? スカーレットだけではない、血管に巻かれてるはジャントも同じこと……ジャントの一瞬の躊躇いの刹那。
「うおっ! 足に力が入らねえ……!」
血管で巻かれた足が、極端な低血圧と化し体温が弱まり感覚中枢が麻痺! バランス感覚を失ったジャントは地面に倒れ、全身を即血管に絡みつかれたッ!
「ぐ、あッ……しまった……!」
「ハハアッー! 勝ったァァァ!!」
ガイルゼは腕を高く振り上げ、雄叫びをあげる! 確信的な勝利に気は荒ぶった!
「鬼神色、緑……!」
ジャントは渾身の力を振り絞り、緑の鬼神色で植物を地面から生やした、その植物は一本の力強いツタ! 長く引き伸ばしスカーレットの方へと伸ばし操る!
「届け……届いてくれ、スカーレット、お前の……だけ……!」
「ンン〜! 何をしている小癪な! 悪あがきはさせんぞオ!」
「ま、まずい……!」
ガイルゼはそのツタの進行方向の血管を操りツタの進行を阻害する。ツタはスカーレットに届くことなく、静止した。
「その女だけでも助けようとしたのか、その女を柱としてツタを使い移動しようとしたかは知らんが……無駄だったな」
「てめ、え……!」
ジャントの体力は既に限界だった、血管に取り込まれだんだんと気絶していくのが理解できてしまっていた。10色もある鬼神色を操るジャントであっても、ガイルゼの能力の前には敗れた。
ジャント・レッセパッセ、スカーレット……敗北。
残る幹部……依然、3人ッッッ!
「……ってなワケにいくかよ」
いや! ジャントはまだ敗北してはいなかった! それどころか既に、その足で立ち上がっている!
「そして、俺の勝ちだ」
ジャントの反撃は一瞬だった! 彼が先ほどツタで狙っていたのはスカーレットそのものではなく、スカーレットの持つ銃! それをツタで手繰り寄せ、ガイルゼに撃ったのだ!
「あんまり使わねえ鬼神色、桃色だ……触れたものの事を理解する能力がある、この血管もお前の体の一部と言ったな、ともなればこの血管に触れれば『お前の思考』が分かった。それで探らせて貰ったぜ、血の装甲が行き届いてねえ場所をな! てめーの血は無制限じゃねえ、だから血の装甲にもしわ寄せが来て装甲の脆い部分もあると見た、そしてそれが左足だった」
「ぐっオオッほざけええええこんな傷うううぅ!」
「致命傷にはならねえ部位だが弾丸撃ち込まれりゃ血管の操作も一瞬緩むな!」
ジャントはその一瞬の隙を狙い血管を脱出し、剣片手にガイルゼを見据え走り抜ける!
「鬼神色、黒の破壊食らえぇッ!!」
そのスピードに乗りながらガイルゼの胸部の血の装甲を破壊! そして!
「バカが! 鬼神色の黒なら装甲の破壊と肉体への攻撃で『二度手間』になるとさっき説明しただろうがア! 二撃目の間も無く、お前は俺の攻撃で吹き飛ばすッッ!」
「甘えな! 二撃目は一撃目と同時に行う! 剣を振るう必要は無えからな! 鬼神色・黄色! 電撃を流し込むッ!!」
「うごわあアァア!!」
「とどめだアーー!!」
そのまま渾身の力で剣を押し流し振るい、ガイルゼの肉体を切り裂きながら電撃の火花を散らし、吹き飛ばした!!
「はぁ、はぁ……スカーレットは、生きてはいるみてぇだな、勝ったぜ」
意識は無いが呼吸のするスカーレットを遠目に確認したのち、ジャントは確信たる勝利にひとつ安心を覚えた。
ガイルゼ・ミーク・ミャカレド……敗北
残る幹部は2名。
ガイルゼ・ミーク・ミャカレド
能力名『ブラッドアーム・バニッシュ』
血を操る。血が持つ特性を全て操るため体温の変化、毒素の排出、闘争本能刺激、体力の上昇、血管を操作、などなどを行える。オーパーツはB




