49話「オーパーツ・タイプO その1」
同時に繰り広げられる6つの戦い。組織OPTの最後の切り札となる彼ら6人を倒せば、いよいよ残るはチロシンキナーゼという大ボスただ1人となる!
5つ目の戦い、ノドカとウツリと対峙するのはロレンバオという名の華奢な女。2対1という状況でありながら焦りなど見せず腕を組んで、笑みさえ見せている!
「フフン、ウチの出番が来たな」
ノドカはロレンバオを見つめ、とりあえず声をかけてみた。
「ずいぶん余裕があるな」
「あたりまえだ、ウチは超強い……頭脳派オーパーツだ、ゆえにこの頭にオーパーツは付いている!」
そう言うとロレンバオの頭部にある帽子のようなソレは、突如動き出し鳴き声のようなものを金切りあげながら、数本の足を伸ばす!
「ウチのオーパーツはタイプO! その意味は『Octopus』頭に飼ってるこの化け物こそが私が操る、能力ッ!」
Octopus! 直接的な意味合いとしては、古典ギリシア語の「八本足」! その単語とロレンバオのイメージと能力が融合したオーパーツ能力こそが……!
「おぉぉ!? ノドカっすごい! タコだ、あいつの頭でかくて黒いタコが張り付いてるんだ、すごい!」
「アレは魔物か、だが普通のタコにはありえない突起や爪、粗末なことに翼まで生えている……キメラ、とでも呼ぶのが正解か?」
頭に巣食う魔物のようなおぞましい生き物、それこそがロレンバオの能力の実態! シンプルで脇道も見ないほどの直接的な戦闘系能力!(どこが頭脳派だ、というツッコミもあるが)
だが!
「オーパーツタイプK、ロックオン」
ノドカにもオーパーツはあった、敵の能力を遠距離から封印するオーパーツ、タイプK。ロレンバオは無能力者となった。
「なにをするきさまーーーー!!?」
「封印したよ。まだやる気と言うのなら俺の磁力の能力で受けて立とう」
「ひ、卑怯な! 封印とか、普通するか!? 空気感ってのが突飛しておかしいと指摘されたことは無いかきさま! ウチはそう思うぞ! 戦いもしないで能力を封じて終わりとか、正しいかもしれんが間違いだーー!!」
「攻撃は一点に集中せよ、無駄な事はするな。とも言うからな」
結構な外道のような気もするノドカだが、確かに勝ちに変わりはない。タコだけにすんなりと(オクト)パスしたというわけだ。チャンチャン。
「……ノドカ、妙だぞ、あのタコまだ動いている」
タコのような形のオーパーツOは確かに封印したはず、だのにまだ動いて活動しているというのだ。
「ふ、ふはは! どおやら私のオーパーツは能力封印が無効みたいだな! 反撃開始だー!」
「くっ能力封印に頼ればどうにかなるほど甘くはない、か!」
ノドカは砂鉄を地面から集め、鉄球を作り出し応戦体勢を整える。走ってくるロレンバオ本体を狙えばこのタコは活動をやめるはず……!
「ノドカ! なんだか様子がおかしいぞあの敵!」
「なっ……!」
ノドカとウツリが困惑した原因それは、ロレンバオが頭部のオーパーツに絡みつかれ、取り込まれつつあることを目撃したことにある!
「なっ、なんだア〜! ウチは餌じゃあない! 言うことを聞かないゾォ、喰われるっ持ち主のウチが、た、たっけてェ〜!」
その瞬間、タコはロレンバオを完全に飲み込み、わずかに巨大化そして、完全なる単体へと成った! 持ち主の居ない生物型オーパーツ、それがこのタコの実態!
「ロロロロロロロロ……ウチ、ロレンバオ、ロロロ」
タコの頭部に脳のようなものが浮き出て、突如言語を放つ、そして小さな目でノドカとウツリを見据える。
「なるほど……こいつはプロトスと同じ、生命のあるオーパーツ……こいつの命そのものは『能力』ではない、だから俺の封印の影響を受けたのはロレンバオの『オーパーツOを自在に操る能力』だけだったいうことか、気の毒な事をしたかな」
「ノドカ、協力してあのタコを倒そう!」
「ロロ、フッカツノトキロロロ……」
「復活? 何か分からんがロレンバオを取り込んだことにより脳が生まれたのか? 覚えたての言語をとりあえず放っているのか? こいつは取り込んだもののエネルギーを我がものとし成長するオーパーツということか」
ロレンバオと名乗るからには、このタコの名は以後ロレンバオとする。ロレンバオは7本の足で地面を大きく踏み込み、ノドカへと突進!
「ヌ、早い!」
残る一本の足は前方に真っ直ぐ突き立て、自分がカジキだとでも言うかの如くノドカを串刺しにするつもり満載!
この伸びた一本はロレンバオの体を流線形にして空気抵抗を減らし加速する役割も担う!
「……これならどうだ!」
ノドカは砂鉄で生成した鉄球を蹴り飛ばしロレンバオへぶつける! その衝撃で軌道が逸れてロレンバオはあらぬ方向へと飛んで行った。その後岩に突き刺さりひとまず停止する。
「うわああっ! 岩を突き破り貫通しているっあれを食らったらひとたまりもない!」
「この異常なるパワー、やはりオーパーツは侮れん、ウツリ! さっさとけりをつけるぞ!」
ノドカは跳躍で岩に食い込み身動きの取れないロレンバオのところへと向かう。
「吹き飛べ!」
渾身の「反発蹴り」をお見舞いしロレンバオを岩ごと空中に蹴り飛ばす!!
「ロングカーマー! 刺身にしてやるぞっ!」
変幻自在の刃でロレンバオを狙う!
「いや! こいつ空中で脳を移動させて脳だけは攻撃を受けないよう避けたぞ! ウツリ気をつけろ、切断できたのは8本の脚だけだ!」
「ウォーロロロロ!!!」
「こしゃくなっ! こっちに落ちてくる!」
ウツリは鎌を再び構え、応戦を試みる……しかし切断した脚がウツリに飛びつきへばりつく!
「なっ……タコの吸盤が張り付いて……取れな、てか重っ!! 鎌が振れな、い!」
ロレンバオは大口を開きウツリの頭部をまるごと飲み込んだ!
「わぶっ!」
みるみるうちに切断したはずの脚も生えてきて、復活しつつある! このまま脚に絡まれとりつかれればロレンバオのようにロレンバオに取り込まれ一体化されてしまう!!
「させるか! 離れろウツリから!!」
磁力を流し込む! ウツリとロレンバオの両方に触れながら。その磁力は……!
「両方ともN極ッ! N(軟体生物)とN(ノドカの相棒)で離れるんだな!」
「ロッロロロレッ!!」
ロレンバオは反発の力に耐え切れずウツリの体からみるみる離れていき、その瞬間に蹴りをお見舞いされおおきく吹き飛んでいった。
「人食いオーパーツと言ったところか……! 栄養の為だけではなく、恐らく食べた生物の特性や能力も我が物とできるというところ、か。ロレンバオという人間を食べて、人間の『知能』の核である脳が肥大化し発達した、か」
「ッゼェ! はぁ! 消化されるとこだった! 溶けてないセーフ! ノドカごめんありがとう!」
「うん、ロレンバオを取り込む時間がざっくり言って10数秒、その間誰にも助けられなかったら完全にアウトというわけだな、しかし良かったタコで、イカのように『噛み砕く歯』があればコンマで終わりだからな」
ロレンバオはむくりと立ち上がり、完全復活した8本の脚を振るって威嚇してきた。
「ンバババ!! ロロロロ!!」
「脚の復活も、20秒足らずか」
ノドカは背中が汗で冷える感覚を覚えた。ウツリも。
ふとロレンバオは二本の脚をブンブンと揺らし、奇妙な動きをさせのたうちまわった。なにやら変な動きだが、いらついているのか、蹴られたショックで脳が頭痛か……。
「そうか、確かあいつは脳が出来上がったばかりだったな、知能が蓄えられるのは脳が出来た後だ、あいつは今『本能』以外の『知能』が出てきて混乱しているのかもしれん!」
ノドカは試しとばかりに足元の石を蹴り飛ばしロレンバオの脳に直撃させる!
「マッギャアァァ!!!」
すると数本の脚で脳を必死に覆い隠し、守ったのだ、こいつは今覚えたのだ、脳を攻撃されるとまずい、と。知能の代価に『死ねる原因』がひとつ増えてしまったというわけだ!
「なるほど、なら知能が付く前に仕留めれば!」
ウツリのロングカーマーもロレンバオを狙い、切り刻む! 脳を守るのに手一杯で、斬撃をもろに受けた!
「ギニャアァァァ!!」
するとウツリの刃をがっちりと掴み、ウツリを引っ張り寄せようと力を込めたのだ!
「ウツリ、刃を切り離せ!」
「うむ!」
危うく引きずり込まれロレンバオに急接近してしまうところだったが、トカゲの尻尾のごとく刃を切り離し事なきを得る……だがロレンバオは尚も鉄の刃を引きずり込み取り込んでいる。
「鉄を、取り込んでいる……?」
そして……なんと! 奴の8本の脚から鉄が生えて変形した!
「なんてことだ……こいつは、生物だけじゃない……! 取り込めるのだ鉱物もこいつは!」
「ロロロ……」




