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39話「バーニング・オブ・ミッドナイトランプ」

組織OPT本部の地下。

ジャントが見事、オーパーツタイプT(time)を使用する敵幹部、淳・ジュニエイトを倒した。残る敵はセイント・ジョルディのみ!


ジャント…戦闘不能により戦線離脱

プロトス…死亡

シェーヌ…喉と左手の負傷はあるが健在

エルス…健在

レイジ…喉の火傷と打撲はあるが健在

アリシア…顔面の負傷はあるが健在

ガレン…腹部に大怪我、なぜか健在

ウツリ…胸部に損傷、やや健在


淳・ジュニエイト…死亡

聖・ジョルディ…健在



その対極図……実質6対1ッ! 圧倒的数字格差ッ! この構図が示す好勢のままジョルディを狙う6人、だが!



「かかってきてみやがれてめえらァ! 俺に近づけるならなァッ!」



走り迫る6人、しかし突然の爆発攻撃! ジョルディは空間に突然爆発を起こす能力を持っているのだ!

当たればただでは済まない! だが刺し違える覚悟で挑まなければ、オーパーツを使う能力者は倒せる事は無い!

全員は縦横無尽に散り走り、確実にジョルディへと近づく。



「無駄だッ! 俺の爆発をよけることはできねーし、予知する方法も無いイイィつまりッ! 俺に辿り着けず終わりだッ!」



「ぐああっ!」



エルス、アリシアが一斉に吹き飛ばされる。

しかしウツリとガレンは最初からジョルディのすぐ近くに居る! こいつを羽交い締めにでもすれば決着は……!



「ヒャハハ降伏しろォ」



しかしガレンの俊足も、ウツリの鉄鎌もジョルディを捕らえることはできない! ジョルディはかなりのスピード、そして攻撃力!

『時間を止める』『かいりき』二つの脅威を持っているのはジュニエイトのみならず……!

ジョルディもまた『見えない攻撃』『スピード』ふたつの脅威を携えているのだ!!



「鉄鎌が追いつかない! あいつのあのスピードでは銃をもってしても標準は合わないし、速さでは勝てない、どうしたらいいんだ、こんなときノドカが居たら!」



「ノドカは居なくともどうにかなるぞ」



そうつぶやいたのはレイジ。すかさず超能力のひとつ『テレポート』を発動!

瞬間移動ならば、早く動いているものの軌道を大方予想して、その先に自分を転送すれば良い。



「ほら追いついた、いや追い抜いた」



「テレポートかッ!」



さらに範囲の広い攻撃を同時に炸裂させれば、速いものも仕留められる!



「そしてくらえッエクストラビーム!!」



「テレポートで先にやってくることぐらい予見していたぜ、レイジ!」



ジョルディは爆発攻撃で組織の壁を破壊! そこに逃げ込む!

流石のレイジも壁に穴を開けて逃げるとは予想できず、壁の向こう側まで焼き尽くすことは不可能だった!



「かわしたか、だが必ずまた攻撃しにやってくるッ」



「ご名答!」



壁の向こうからレイジへ向けて細長い布の様なものが伸びてレイジの首を捉えた!

これはジョルディの装備していたジャミング機能付きマフラー! ジョルディはこのマフラーを操り、ムチのように扱うこともできるということ! まさにジャミング・チェーン・マフラー!



「ぐっ引き摺り込まれる……俺を壁の外へ持って行く気か……!」



「レイジ!」



すかさずシェーヌが光で作り出したナイフでマフラーを切り裂こうと突っ込む。だが突然の爆発攻撃!

シェーヌが手に持つナイフはあっさりと吹き飛ばされ、あろうことかマフラーがもうひとつ伸びてきてシェーヌも拘束されたのだ!



「引き摺り込んでやるぜ、俺の相棒奪った苦しみ、その身にたらふく味わわせてやるぜ、たらふくなぁ!」



ジョルディはそのまま2人を引っ張り、壁の向こうへと落下。

意外にもそこに広がっていたのは地底湖! ジョルディが用意した新たなステージは……水の中だったのだ! 初の水中戦、着水落下すれば間も無く開始するッ!



「落下しながらで悪ィが教えといて絶望させてやるぜ俺の能力! 俺が操るオーパーツはタイプL、その意味は『Lamp(圧縮)』ッ! 遠距離間での空気の圧縮、それが俺の能力だ! 圧縮されすぎて密度の限界を迎えた空気は爆発を生み、離散した微粒子空気諸々は攻撃力を生む。そしてェ! 圧縮した空気には応用編もあるッ!!」



刹那、三名は着水ッ! みるみる沈んで行き、辺りは闇の水中と化してゆく!



「まさか……こいつ」



レイジは着水する直前に声をもらしていた、まさか。と。

空気の圧縮能力の応用編それは……!



「空気カプセルとおーじょォ〜! ガボガボ」



ジョルディの余裕ある不適な表情が闇に光る……こいつはあらかじめ地上で蓄えていた空気の圧縮カプセルで『呼吸ができる』水中でも長時間行動が出来るのだ。

こいつは水中戦もできるのである。一方! シェーヌと、レイジに水中戦はたぶん、初ッ!!

チェーンは着水の衝撃で外れたとはいえ、これはピンチに変わりない!



「レイジィ……お前の超能力は心を詳しく読むことはできねえだろうが、強い思念をお前に向ければお前はそれを感じ取れるはずだよなあ、そしてお前は……」



「お前の思念の中に俺の言葉を送ることができる……念だけで会話ができると言いたいんだなジョルディとやら」



「そうだ、そこの使えない女を差し置いて、なァ」



レイジはハッとして隣にいるシェーヌに視線をうつす、シェーヌがとても慌てている。

呼吸も荒くなってるのか、空気がゴボッと漏れている。



「シェーヌ……まさか能力が使えないのか、そうか! ここが闇だからだ、光の届かない闇ではそもそも具現化する源の光が無い!」



「そういうことだ、丸腰の女を潰すのは、たやすいぜェ〜!」



「とにかく守らなくては、俺の超能力はまだ使えるのだから!」



サイコビームを放ち片手剣を手に突っ込んでくるジョルディを迎撃したいレイジであったがしかし。

あらぬ方向へと飛んでいく光線。



「足場が無いのでコントロールができない、どころか、光線の衝撃で水中の態勢が崩れ、無駄な体力を使ってしまうッ! シェーヌ!」



「ガボッ!」



「一撃ィ〜!」



闇の海にシェーヌの血の赤色が溶けて行くその風景、レイジはすかさず自力で泳ぎ、シェーヌの腕を引っ張る。



「まずい、守らなくては……それでいてあいつを倒さなくては……だが水中で格闘は無理だし俺は丸腰で武器は無い、頼れるのはサイコビームとエクストラビームのみ……確実に当てなくては呼吸の関係でこちらが確実に、死ぬ!」



「味わっているかァ、水の苦しみ、空気からの疎外感! そして闇への恐怖と死の絶望! 俺の相棒ジュニエイトを死に追いやった罪、お前達を成れの果て水死体にして償って貰うぜッ!」



レイジはすかさず『水面』を目指し全力で泳いでいく!

水中では完璧不利! シェーヌへ攻撃し、レイジ達より水中下に行ったジョルディを出し抜き、即水面を目指す!

水中では圧縮に使う空気は無い、つまりジョルディ自身も空気中爆発という攻撃方法をひとつ捨てている状況なのだ。



「水面へ出る気か! だが分かってねえなお前は……酸素カプセルと称して懐に空気のカタマリを携えられる俺の能力の応用が、攻撃にも行き届いているということを!」



水面へ間も無くという所で、手を伸ばしたレイジの腕に突如爆発が起きた!

連鎖するように何発も起こる爆発! 地上で戦っていた時同様の大爆発がレイジを襲ったのだ! この攻撃、ジョルディがリアルタイムで操作していたのではない……空気を圧縮して作っておいた『空気爆弾』を水面に幾つも幾つも浮かべて置いていたのだ。気泡が水面へ向かって進むように、空気爆弾は水面にてずっと獲物を待っていたのだ。触れれば作動する空気水面爆破……空気という命の源を求めた者への非情なる攻撃! ジョルディの怒りそのものがあらわれているッ!



「勝った……とそういう気持ちでいるのか、ジョルディ……俺はお前が水面へ上がらせない為何か工夫しているのは大方予想していたぞ……」



爆発にて木っ端微塵に吹き飛ばされたと思ったレイジだったが、怪我は軽かった。むしろ爆風に乗ってどんどん水中へ水中へと沈み進んで行く! あまりの爆発の凄さゆえ気泡が水中を覆っていたせいで、ジョルディからレイジの視認には時間がかかりすぎた! 気付けばレイジは既にジョルディよりもさらに水の奥深くへと泳いでいたのだ!



「な、なんだこいつ! 爆発が起こる直前に念のビームで爆発攻撃自体を相殺したなッ! そして爆風で今は沈んで行ってやがる、軌道修正する素振りも見せん……何か考えてやがるな!」



すかさず追いかけるジョルディ、剣を片手に今度はレイジを狙う、血を吹き出してぐったりと引っ張られるだけのシェーヌは仕留めたも同然、今この戦いの脅威は完全に超能力者レイジのみ!



「ジョルディ、この湖のはるか深部に明かりが見える……この組織のはるか地下には窓のようなものがあるということだな? 俺のテレポート能力は風景さえ見えていれば飛べるので窓をすり抜ける事は可能だ、そしてあのはるか地下の窓はボスの部屋へも近いはず、一石二鳥だ、お前から逃げおおせてボスをも倒せる!」



「ちいぃ! こしゃくな事するんじゃねーぜ!」



レイジに追いつくのは安易だった、シェーヌを引っ張りながら泳ぐレイジは本領発揮のスピードではない。そして酸素不十分、体力をなるべく使わないように動くのが必須とされていた。

それだけではない。ジョルディのマフラーは水中でも能力があった! 二方に伸びるそのマフラーは水かきの役割を果たし、水の抵抗を減らす流線形的な水流を作り出す!



「こいつはやい!!」



「ボスを倒すとか虚言もいいとこだ、お前はここで死ぬんだからなッ!」



ジョルディはすぐさまレイジに追いつき、レイジの足を掴んで引っ張る!



「ぐっ!?」



そう声を漏らしたのは……ジョルディだった! レイジはにやりと笑い手のひらをジョルディに向けてかざす。



「ウィルトラップだ、俺の足に仕掛けておいた、慌てて追泳するお前は武器ではなくまず素手で俺を止めにかかると見越してな、そして至近距離で喰らえ、サイコビーム!!」



ウィルトラップに引っかかった際の痺れダメージにうろたえたジョルディの一瞬の隙を狙い放たれるサイコビーム!

二度目にしてジョルディに直撃! 後ははるか地下の窓を目指すのみ、レイジはすかさず方向転換しその場を後にする。



「勝ったつもりか……お前は墓穴を掘ったア!」



「な、なに!?」



ジョルディはまだ健在だった! 光線を受ける直前、咄嗟にマフラーを動かし横方向にかわしたのだ! 代わりにマフラーは光線に焼かれ犠牲になったが、ジョルディにはそれ以上の策が生じた。



「てめえの光線は熱で水中そのもので蒸発を起こす! その時に発生する『気泡』は! 俺が操れるってことなんだぜ! その中の空気を圧縮してェ〜……お前にぶつけるッ!!」



レイジの泳ぐスピードはあくまで人並み、ジョルディが発射した空気の爆弾をかわせる余地など……無かった!



「ぐおわあああ!!」



その衝撃はレイジの体全体にダメージを与え、口から空気が大量に漏れる。ゴボゴボと漏れゆくその泡は、レイジ達が追い詰められることそのものを表している!



「肺活量と体力も限界だなァレイジ! てめえを倒したら上に居るジャントと、小物能力者どもまとめて殺すぜ!」



「ぐ、グハッ……息が、息、が」



ジョルディは剣を構えレイジの首を狙う。余裕ある勝利と果たすべき復讐に笑顔を寄せて……振るうッ!



その瞬間。



「うン……? ガハッ……ばかな」



ジョルディの腹部に小さな穴が空いた、いや、順を追って説明すれば……。



「(小物能力者ってのはエルスの事も言ってるのかしら? その口慎むべきね、相棒を馬鹿にすると怒るわよ)」



「ゴボッ、こいつ……やられたフリをして……光を少しずつ蓄えていやがったのか……レイジが光線を放つ、たび! ゴボッ」



光の矢がジョルディの腹部を貫いたッ! シェーヌの光の弓矢は効力を発揮していたッ!

その光は! レイジのサイコビームを発射した際に蓄えた光ッ! シェーヌはずっとチャンスを伺っていたのだ!



「(私の声はあなたに伝える事は出来ないんでしょうけど……相棒のもとへ消えるといいわ、この水に包まれながらね)」



「ガボォッ! ジュニエイ……トォ……!」



シェーヌは、浮きも沈みもせず水中に留まり全く動かなくなったジョルディを見据え、レイジの手を引っ張って深部を目指す。



「(最期に呼んだのが相棒の名前なんてね……あんた達も私達と生き方は違うけど、冒険者だったってことなのね)」



セイント・ジョルディ……死亡。

キャラクター紹介


聖・ジョルディ(せいんと・じょるでぃ)

能力名『バーニング・オブ・ミッドナイトランプ』

空気を操り圧縮させ爆発を起こす能力

オーパーツはタイプL(Lamp)

空気の圧縮を可能とする能力を持つ

・ジャミングマフラー

不協和音を放つ鉱物で練られたマフラー、超越的な聴力を持つ者への対策として装備している

剣『インノケーンス』

刀身が稲妻のようにギザギザしていて斬れ味を大幅に増している


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