24話『決戦の日の朝』
何か対抗しなければやられる! だがノドカは出血多量のガタがきて意識が朦朧としていた。
一方エルスも脚に巨大な傷があり立ち上がることがままならない!
かろうじて動けるのは、トシマとガレン!
「また来るか! よしガレン、俺たち二人のタッグ技でいこう! 結構な速度で走ってきてる、もしかしたら俺1人で螺旋ボール投げても避けられるかもしれない、首痛いしそんな沢山投げれない」
「しょうがねェな、いくかァ~」
するとトシマはガレンにまたがり、螺旋ボールを形成する。
恐らく体力的に……最後の螺旋ボールかもしれない、若干ながらに今までのボールより小さい。
「いくぞガレン、GO! GO! 走れ!」
トシマを担いだままガレンが走る走る!
スピードの流れに乗りながら、それでいて、同時にッ! トシマの螺旋ボールが投げ放たれた!
片目が血で潰れてしまっているティミミアに向かい、容赦無くボールが迫る!
速度が相乗効果、これぞトシマとガレンの協力技「ウルフルズ・ヘリックスォ・シュート」だッ!
「速いッ……螺旋ボールに速度を付与するだとォ……!!」
右腕の爪で迎え撃つ、だがそのボールに触れた瞬間。
螺旋ボールは破裂を起こし、さらに回転の力でティミミアの体全体そのものを空中回転させ、ティミミアはなすすべなくまたしても地面に叩きつけられた。
「ガブァッ! 私のドラゴン能力が……敵わない……こんなことが、あるなんて……! 人が、ドラゴンに、勝つだなんて……ガフッ」
ティミミアはそのようなことを小さく呟き……気を失った。
こうして、トシマ一行はようやく、ようやくにして勝利を確信した。
「やったぜ。」
トシマはフラフラになりながらも、ガレンから降り、勝利の余韻に浸る。
ガレンも流石に貧血気味で地面にうなだれる。
「へっ……魔物にはドラゴンなんて幾らでも居るしな……こわかねぇやい」
ノドカも血流操作の効果に限界がきており膝をついていた、エルスも言わずもがな。
トシマはその様子を見て、OPTという組織は放っておけばとんでもないことになる、また刺客が送りこまれれば次は本当に誰か死んでしまうかもしれない。
ノドカはトシマに向かって、口を開く。
「その女から、組織の情報を、洗いざらい吐いてもらった方がいいかもな……これ以上の脅威が俺たちに降りかかるのは、決して阻止しなければならない……」
「ヒャハハ、そのメガネの言うとおりだぜ、脅威となるものは早急に絶たなきゃならねェ、叩き起こして事情聴取するか」
「メガネじゃないノドカだ、叩き起こす前に縛り上げるのを忘れないようにな。また暴れられても困る……力を使わせるようなことはさせないのが第一だ」
少しばかり悪者のような会議をする二名、とトシマ。
そんな彼らのもとに近づく影が、二人……ノドカ、ガレンのすぐ背後に現れたのだッ!
皆が戦闘不能であるこの瞬間、この状態のときにやってくるとは、なんとイジワルな野郎二人であろーか。
「よーっすお前ら何してんの?」
その正体は、ジャントとレイジだった。(あとプロトス)
全く空気を読まないジャントの登場に、気が抜けたのかノドカとガレンは心底項垂れる、肩を落としてしまった、出血による活動限界がきたっぽい。
そんなことはお構いなしに、まだ意識がある方のトシマとエルスに向かいレイジが口を開く。
「どうやらまたしてもOPTの幹部が来ていたらしいな……俺も加勢しておけばよかったが、気を察知する超能力でちょいと遠くにジャントの気配を感じたので、テレポートで連れて来ていた」
どうやらレイジ、遠くの草原に居るジャントを連れ帰って来ていたらしい……ちなみにアリシアは未だ宿屋で寝ている。
ジャントとレイジ、冒険者の中でも期待できる戦力をもつ二名の登場に安心してか、トシマはため息混じりに喋りだした。
「ジャント……とレイジ、でしたよね……あーよかった、ちょっと喧嘩売られてて、みんなで倒したんですよ。あそこにぶっ倒れてる女、OPTっていう組織の幹部なんすよ。これ以上幹部とか送り込まれても困るし、組織のことを洗いざらい吐いてもらおうと思いまして」
「その必要はない、もう組織の情報は得た」
レイジが冷静沈着な口調でトシマに告げる。
一体いつの間に? レイジ達は密かに別の幹部と戦闘でもしていたのか?
「うんにゃ違うぜ、俺の桃色の鬼神色(エスパー的なパワー、物事の心や内訳を理解できる)と、レイジのテレパスの能力の合わせ技でな。遠距離ながらに、あのティミミアの脳内を探ったのさ」
「な、なんと便利な、何が分かったんですか?」
以外な合体技もあったものだ、遠距離に居ながら相手の脳内を探るとは。
知り得た情報を、レイジが喋り出す。
「大雑把な事柄しか分からなかったがな……しかし組織の本部の場所が分かった、そして、ボスの能力。どうやら「時間」に関係する能力、らしい……そしてゼットが言っていたRのオーパーツを持つ者は女幹部で、ボスの側近であるらしいな。あと、これはどうでもいいんだけど……えっと、やっぱいいや」
ちょっとばかり言葉を濁しもごもごし始めたレイジに、エルスが食いかかる。
「え、なになに、なんですか教えて下さいよレイジさん。これから戦うことになる悪の組織の情報、私たちには必要以上に情報の共有が求められるはずですよ!」
「あーうん、なんかこのティミミアという女、その、同性愛者らしくてな。そのRのオーパーツを持つ幹部の女に一目惚れしてドラゴンになる能力を発現したらしい……愛の力、だそうです」
「はい」
無表情で答えるトシマをよそに、いきなりジャントが叫び出す。
プロトスに向かってテンション上げめで叫び出す。
「ほら見ろプロトスゥ! 俺ちょっと前に言ったよな!? 可愛い子の為に、愛の為に! ドラゴンになれる奴が居るはずさぁってなァー! 言ってたぜ! あれはフラグだったんだよ伏線だったんだよォ!」
「ジャントうるっさい! 伏線ってどっちみちジャントはあのドラゴンと戦ってないでしょ!」
レイジは咳払いをしたのち、真面目な口調で口を開いた。
「組織の場所が分かり、そして向こうがこちらにちょっかいを出しまくる以上……俺たち冒険者は黙りふけっているわけにはいかないだろうな。と、いうわけで、そのアレだな、みんなで力を合わせて、そのOPTとやらに、攻め入るというのが、アレだな。ソニアさんにも言われたしな、組織との全面対決というやつをしてみるか」
喋ってる途中で、自分が場を取り仕切るのが得意なキャラではないことに気づき、ややどもるレイジ。
しかし言いたいことはトシマ、ガレン、エルス、ノドカにしっかり伝わった、次に始まるのは遂に「組織OPTとの全面、最終対決」なのである。
……そして日が変わる。
皆がこの街で三日ほどを過ごし、体力の回復を行った!
スカーレットは絶対安静ということで病院からトシマを見送り、冒険者たちと別れた(ちなティミミアも病院で眠りについている、未だ目を覚まさない)
グルンガストという町の入り口、巨大な門そこに、いつつの冒険者が並び立った!
「よっしゃー! 全快だぜ! プロトス行くかぁー!」
「うん、決着をつけよう! オーパーツとやらに!」
鬼神色の能力をもつジャントと変幻自在の体を持つオーパーツ、プロトス。
「さてアリシア、行こうか」
「うん! 無理しないでねレイジ、ぜったい生きてみんなで帰るって信じてる!」
超能力者レイジと炎を扱う能力少女アリシア。
「さァて眠りまくった分、わんさか動いて取り戻しますかねーっ!」
「今度は私もがんばりますからね! シェーヌさん!」
光の能力をもつシェーヌ、防御魔法を扱うエルス。
「レイジさんから貰った師匠からの手紙にはこう書かれていた「OPTっていう組織がなんかあぶないから潰しといて」と……よしがんばるぞ!」
「ヒャハハ」
螺旋の技術をもつトシマと俊足の犬ガレン。
「旅立ちだな……ウツリ、準備はいいか?」
「大丈夫だよノドカ! ノドカが居るだけで心強いよ! がんばるぞーっ」
磁力を操る能力者ノドカ、鉄を生成する能力者ウツリ。
目指すは組織OPTの本部! 冒険者達の最終決戦が始まる!
数々の、そして強力な敵を倒してきた彼らならば、きっとこの組織OPTにも勝つことは夢ではないはずだ。
彼らの冒険は既に始まっていた……そう、既に……!
これから始まる戦いもまた、彼らの「冒険」なのだから。
「俺たちの戦いは……これからだ!」
キ ャ ラ ク タ ー 紹 介
ティミミア・ドグマドランマ
能力名『チェンジドラゴン・ディスクリプション』
使うオーパーツはタイプDでドラゴンを意味する。
右目に装着、その移植手術の際の影響で彼女の右目の視力は殆ど無い。
スカーレット
能力名『ダークジャム』
自分の体積以下の物を亜空間に放り込み、いつでも取り出せる




