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26つのオーパーツと異能戦争  作者: 真鍋棒
冒険者集結
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23/63

23話『螺旋』


「うあっ、う、ハードネス!」



エルスはとっさに、ガレンにハードネスの硬化魔法をかける!

少しでも防御力があがれば、ガレンは助かるかも……だが。



「俺が頑丈になっても、術をかけてるお前はどうなるんだァ、死ぬぞ!」



「でもこうするしか手はないんです!」



「ルアァ! 仕方ねー俺が盾にッ!」



ガレンは空中でエルスに掴みかかり、ティミミアの爪攻撃からエルスを守る姿勢になった!

そこに容赦無く巨大な爪が押し寄せる!



「あうッうあぁ!?」



「うぐぁァー!」



なんという強固な一撃! エルスとガレンはまとめてふきとばされ、そして地面にうちつけられる。



「ガッハァ……ウソだろ、ハードネスをかけられた俺の背中と、そして腕と足の一部がエグられた……!」



ガレンは「打撃や斬撃や衝撃、いわゆる物理攻撃からの攻撃を大きく防御する魔法、ハードネス」をかけられていたのに関わらず(ちなみに電気や熱、冷気、念力など、属性的な特殊的な攻撃には弱い)

その体は負傷していたのだ、骨まで達していない背中と両前足の傷だが、血が止まらない。



「うウ、ハアハア……うっぐ……!」



エルスも同様、ガレンが庇いきれなかった両腕に傷、こちらはたいしたことないのだが。

足……両足の太ももの部分、そこを大きく斬りエグられた、筋肉が断裂し、骨まで達する傷、なんたる重症、なんたる容赦のなさ!



「待たせたな、みんな!」



その瞬間、オーパーツを装備したトシマが駆けつけた!

すかさず螺旋ボールをふたつ生成し、ひとつをティミミアにぶん投げる!



「来たかトシマァ~、私にとって脅威なのはお前の螺旋ボールのみ! それさえ封じ込めば、私のドラゴン的大勝利だ、そして残りの死に損ないをゆっくりすり潰し殺す! そしてお前のそのハナクソみたいなボールは、圧倒的にスピードが足りない!」



ティミミアの言う通り、トシマの螺旋ボールはたやすく見切れるほどのスピードなのである。

ひとたび当たればその威力は凄まじいのだが、初見殺しのようなもの、一度実態を知られてしまえば、螺旋見てから回避余裕でした、みたいな感じだ。

トシマはすかさず二個目の螺旋ボールを投げる! ただ投げるのでは無く、二個目はオーパーツの力を利用して投げた!



「どうにでもなれ、俺に力をちょっとでも貸してくれオーパーツ!」



トシマの声に呼応してか、首にかけたオーパーツが妖しく光り輝く、そしてトシマの手から螺旋ボールが投げ放たれた!



「それがどうしたトシマァ、大きさはおろか、スピードも全く変わっちゃいないじゃないか、失敗したな!」



「グッ、ぐっあッ!?」



そのティミミアの嘲笑(何度目か分からないが)にあざ笑われるがごとく、トシマは肩をガクンと落とし、膝を落とした。

どうやらオーパーツを使った際、身体にダメージを受けたらしい。



「が、は、だめだ、このオーパーツというやつ、素人が使えるようなものじゃ、ない、首が……」



オーパーツの反動は凄まじく、装備している首に激痛が走った。

無防備なトシマに、ティミミアが全力で狙いをつける。

ノドカ、エルスがすかさず動く、トシマがやられれば本当になす術は無くなるのだ!



「アクアトップコート!」



「反発蹴りで石を飛ばす!」



エルスはアクアトップコートを地面にかけ、ティミミアの足元を滑らせようと試みるが、ダメだ、空を飛んでいる!

ノドカの蹴り飛ばした石もティミミアに当たるが……全く効いていない!

トシマを守るもの一切ナシで絶望的な状況……しかし、そんな中スカーレットは笑みを浮かべていた。



「トシマ、私には分かる、オーパーツはしっかりと使えていたわ、ティミミアは知らないのでしょうけど。オーパーツタイプZの意味する言葉は、ジグザグ(Zig Zag)その能力は……!」



瞬間、トシマのボールがものすごい勢いで、稲妻を描くようなめちゃくちゃな軌道で動いたのである。

その急な起動変化についていけず、ジグザグの軌道の螺旋ボールはティミミアの腹部に命中した!



「ゴアァ……! き、軌道変化の能力をもつオーパーツだった……だと、オォ? あのガラクタ女の能力から察するに、消失を意味する、ゼロ(Zero)だとばかり思っていたア、こんな、こんなダサい名前のオーパーツだとわァア!」



命中したティミミアは後ろに吹き飛び、運悪くトシマが投げた一投目の螺旋ボールにも命中したのだ!

ティミミアは空中で回転し、地面に激突した。

トシマはオーパーツタイプZを取り外し、肩で息をしながら勝利を確信した。




「やったか……?」



「ヒャハハ、フラグ建てんな」



ガレンのツッコミ。


一方ティミミアは呻き声をあげながら、そのドラゴンの外郭のまま、よろよろと立ち上がる。

だが前の戦いにて、スカーレットの能力で消されたほんの一部分、その穴から血がボタボタと垂れていたのである。

……最初のダメージで頭部、ジグザグ能力の螺旋ボールのダメージで腹部、最後に食らった螺旋ボールで背中を負傷しているはずだ。

もはや戦える傷ではない、それでもなお立ち上がり、トシマを狙い歩みを進める。



「諦めるんだな、一生動けない体になるぞ」



そんな彼女のドラゴンの腹部に手を触れながら、ノドカが発言する。



「触れるな、ァ……下劣な、オト、コ、がぁ、ガル!」



ティミミアは尻尾を振るいノドカを突き飛ばそうとする、が、ノドカはこれを見切り反発を利用したジャンプで避ける!

攻撃の速度もまた、落ちているのだ。ノドカはそのままエルス、トシマ、ガレンの居る場所に着地し……。



「ならばトドメを刺す、スカーレットを殺そうとしたお前は、その因果応報を受けるんだな」



ノドカはトシマに目配せをする、次の攻撃で決めろということだろう。ノドカはさり気なくガレンの身体に触れ、磁力を流した。



「お? なんだ磁力マッサージか?」



「ああ、お前に磁力を流させてもらった……トシマ、きついとは思うがティミミアに攻撃できるのはお前しかいない、頼んだぞ」



トシマはよたつきながらも立ち上がり、静かに頷く。



「分かりました、派遣の冒険者ノドカさん」



そしてガレンを持ち上げる。



「あ、おいトシマ、なんだ俺をボールにしようってかア? チッしゃーねー、これが最後の技だからな仕方ねーか」



「よしガレン、いくぞ!」



トシマは両手で、丸まったガレンに気を送り込み、螺旋の力を利用してガレンをぶん投げる!

すかさずエルスはガレンにハードネスを発動し、より強固なボールとなったガレン、しかしそのスピードは本来のトシマのボールと変わりはしない。



「犬をボールにしたか……だが無駄、傷を負った私の体であっても……その程度の速度を避けることなど……たやすい!」



「なぜ今! ガレンをボールにしたか考えるんだな! ノドカさんが下準備をしてくれた磁力を利用してるって、意味だがぁー!? 俺たちみんなの合体技、クアドラブル・ヘリックスォ……シュートだアァ!」



トシマの叫び、その言葉にハッとした瞬間にはすでに時遅し、ティミミアの体の磁力を辿り、ガレンの身体が引き寄せられる!

その速度は一気に上がり、ティミミアの動体視力を超えたッ!

トシマ、ガレン、エルス、ノドカ四人の合わせ技、四位一体の「クアドラブル・ヘリックスォ・シュート」だ!

再び、再びながらティミミアの腹部に螺旋のパワーが、今回はガレンが激突する!



「うごああアアアアッ!! ガッ、ガハァ、うぐげえっ!」



ティミミアの身体についに限界がきたか、ドラゴンの装甲がバラバラに砕け散る。

ドラゴンの装甲を形成するのもまた能力……本体であるティミミアが戦闘不能とあらば、その外殻が崩れ落ちるのも必然である。

そうして、血だらけのティミミア本体が力無く地面に落ちた。



「うっしゃぁー! ただいま」



ガレンはぶつかった反動で再びトシマの元へと帰ってきた。

地に倒れ伏せるティミミア……それを見てエルスは歓喜の声をあげる。



「やった! やりましたねみなさん! よかった、誰も死ななくてよかった! ぐっはぁー脚が痛い! そうだ私脚が重症でした」



「ヒャハハ勝ったな、感謝しな」



「お前ただのボールだろガレン、俺の螺旋の方が大いに貢献してたよ」



「黙れ糞がトシマ」



そんな和気あいあいとする四名を尻目に、ティミミアはねっとりと立ち上がっていた。

右目から血がボタボタと垂れている、トシマと同じくオーパーツ使用のダメージのフィードバックがあるのだろう。

強大なドラゴンの力、其れ相応の負担があっても不思議ではない。



「私が負けるなど、ありえない……このゴミの集まりが……! 私はOPTの幹部……お前らを始末しなくては、それが、融通の利かない人間である私の、使命ッ」



もはや彼女が戦うことのできない体だというのは言うまでも無い……にも関わらず、まだほんの少しだけ体力があったのか。

ドラゴンに変身はできないものの、右腕、そう右腕のみに外殻を装備し、右腕のみがドラゴンの腕と爪になった!

そうして、何かに取り憑かれたかのように全力で走り出し、トシマ達を狙う!

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