side 夜目
閑話扱いなので、短文になりますヽ(´o`;
学園生活2日目の前に、あと2話ほど挟む予定です。
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「ねぇねぇねぇ、夜光? 今日学園で何かあったのかしら?」
夜陰には到底似つかわしくない幼子のような響き。
その問い掛けを前にして、夜光こと風狸青年は閉口していた。
自身で整理が付いていないことを問われれば誰だってそうなる。
ましてや、当人から話すことを許されていないのだから尚更だった。
あの兄を、進んで怒らせたいとは思わない。
しかし、その意思に序盤から暗雲が漂い始めている。
夜目一族の本邸『宵宮邸』。
帰宅するや、早々に彼が遭遇することになった人物が人物だった。
よりにもよって彼女を引き当てた彼は、おそらく呉葉少女に次いで運が悪いといえる。
「……白鈴様。私の口からは何とも言えません」
「んー? それはつまり何かあったということで良いのね。夜光。あとね、様はいらないのよー。個人的には鈴ちゃん、がお薦め」
「無茶ぶりは止めてください」
「もぅ。照れ屋なんだから。まぁ、いいわ。で、何があったのかな?」
「お姉さんチックに聞いても駄目です」
「………冷たいわ。やっぱり夜光は私のことが嫌いなのね……」
「………鈴ちゃん?」
「!? ……デレたわ。空耳かしら。疲れているのね、夜光?」
「分かっているなら、どうかもう暫く時間をください」
「んー。そうね、分かったわ。暫くは様子を見てあげる。でもね、夜光? ……あのひとを誤魔化し続けるのにも限界があるのは分かって頂戴ね」
「それは……承知してます」
俯きがちに呟いた彼の頭を撫でて、ぱたぱたと駆け去っていった彼女。
その背を見送った後に、静寂が戻る。
残された青年は詰めていた息を長々と吐き出した。
「兄さん……一体どうするつもりなんだろうね、この先……」
風狸こと楓 夜光の名を持つ彼。
その彼の呟きは誰にも聞き届けられることはなく、黒檀の廊に響くばかりだった。




