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不破一族の多世界征服記~転生者一族の興亡史~  作者: 伊達胆振守(旧:呉王夫差)
3章 対ミュルクヴィズラント王国戦争
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38 武親、秘密を明かす

「ふう、やれやれ。とんでもない目にあったわい」


 心なしか、温泉に入る前よりもボロボロになっている男達。

 仕方ないか。あんな場面に出くわしちゃあ、撃退されるのはお決まりの展開だ。


「おのれ! 蝦夷の女どもめ……。後で叩き斬ってくれるわあ!」


「な、長門殿! それだけは御自愛を!」


「うるさいわあ!」


「ひぃっ!」


 ただ、このオッサンの怒りはなかなか止まらない。目を血走らせながら、その場で暴走し出す。

 気持ちはわかるが、刀振り回さないで……。

 て言うかあの場面、何気に母も応戦していた気も。


「ぐ、ぐおお……」


 無理をして得物を振り回したため、肩が外れる広益のオッサン。

 ほら、言わんこっちゃない。怪我してるの忘れてんじゃん。


「まったくもう……」


 一方のレスノテクも、未だに温泉での出来事について怒っている様子。

 いやいや、そもそもの原因はリシヌンテが原因でしょう? 俺たちに矛先向けられてもなあ……。

 というより、俺たちもある意味被害者だ。

 

 ま、言ってもわからないし、わかろうともしないだろうが。


「なんで皆怒ってるの~?」


 リシヌンテ。純真なアンタにはもっとわからんでしょうな、この状況が。

 てか、なんであそこで魔法ぶちかましたんだよ? おかげでこっちは、傷が余計酷くなったんだぞ? 

 でも彼女の綺麗な瞳を見ていると、反論する気にもなれなくなっちゃうな……。


「す、すみません。驚いてつい……」


 唯一反省したのは、母であった。

 いや、でも目上の人に謝られると、こっちもなんか引けてくるな……。

 さっきの攻撃はある種の反射的防衛手段なのだろうか? だとしたら、嫌な反射だ。


「何はともあれ、もうじき日も暮れる。今宵はここを寝床としよう」


 はぁ……本当に勘弁してほしい。2日連続で野宿か。

 昨日も思ったが、こんな山の中じゃ熊でも出没しそうだ。

 襲われてハイ、おしまいなんてシャレにならんぞ? テントの1つでも欲しいわ~。


 でも、そんな贅沢なこと言ってられんな。

 今日は体が痛くならないよう、寝方を工夫するしかないな。

 


 ◆◆◆◆◆



「眠れぬ……」


「同じく」


 夜空が出てしばらく経った後。

 体はクタクタのハズなのに、皆一様に目が冴えてしまっている。そして俺も例外ではなかった。


「他の蠣崎軍の皆は大丈夫かな……?」


 全員、あの圧倒的兵力と技術を所持する王国軍を前に、遠方でも戦っている仲間を心配していた。

 今なお館に籠って奮戦している将兵のみならず、捕虜になっている人たちの安否も気になる。

 俺自身も、慶広が今どうなっているのか結構気になっていたりする。

 そういえば、徳山館からの伝令は来てないな。途中で王国軍に占領されたりして、連絡路が遮断されたのかな? 

 今となっては、確かめようもない。


「……致し方なし。眠れぬなら、寝つけるまで語らおうではないか」


「語らう? 何をですか?」


「とぼけるでない、五郎よ。中野館で申したあの奇怪な言葉、よもや忘れたわけでは御座らんな?」


 ……ああ。俺をこの世界に転生させた、あの2人の女神の話か。

 そういえば、「戦の後で説明します」とかなんとか言ってたな。

 でも、いざ話すとなるとどこから説明しよう。

 そもそも、こっちの世界にはヨーロッパにあたる地域は存在しないから、ローマ神話とか北欧神話とかいう単語は使えないし……どうしよう。


 ここはやっぱり、俺が実はこの世界に”転生”されてやってきたことを正直に話すよりほかないか。



 こうして俺は、自分が実は『転生者』であることを正直に打ち明けることにした。

 そして転生させた張本人であるミネルヴァやフレイアのこと、2人が登場する神話のこと、この日本自体も別の世界に転送させられていたこと、そして俺が女神たちから使命を与えられていること。それらをかいつまんで説明した。

 説明はしたが、周りの皆の表情は一様にキョトン顔。

 やはり突拍子もない話であることから、驚く以前に皆の頭がついていけていない様子。


 それも仕方ない。そもそも彼らには知り得ない情報ばかりで、捉えようもないのだから。

 現代日本みたいに二次元に精通した「オタク」がいるわけでもなければ、「インターネット」という情報交換システムも存在しないのだから当然だ。


「……ははは。面白い冗談を申すな、五郎は」


「……俺は別に冗談を言ったつもりはありませんが」


 中には、冗談と決めつけて笑い出す者まで現れる始末。

 でも、実際魔法は登場しているし、異種族のヒトも登場している。

 であれば、間違いなく、近いうちに『異世界』の土地を踏まずにはいられない状況になる。

 俺はとりあえず全てを話した。これ以上語ることはない。


「だが、三郎よ。虚言と断ずるには、上手く出来すぎておるような気もするが」

  

「父上は五郎を信じすぎです。年端もいかぬ弟の戯れですよ」


「とても兵部少輔殿の子息とは思えぬ。くだらん」


 次々と俺を嘲り笑う広益のオッサンと光益。

 2人とも名前に「益」という文字が入っているクセに、全然俺に益をもたらさないじゃないか。くそう。

 そしてとうとう俺は2人の発言にウンザリして、そっぽを向いてふて寝してしまった。


 今に見ていろ! 俺の発言は本当だ。もうまもなく証明される。絶対に証明される!

 思い知れ……思い知れ……!


 俺はわけのわからない闘争心を燃やしながら、次第に深い眠りについたのであった。

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