↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不破一族の多世界征服記~転生者一族の興亡史~  作者: 伊達胆振守(旧:呉王夫差)
3章 対ミュルクヴィズラント王国戦争
29/206

28 意地

 俺は突撃した。再びブレンダ目掛けて。

 だがさっきと違い、闇雲な猪突猛進でもなかった。


「行かせん!」


 俺の目の前に、王国軍兵士が再び大量に立ちはだかる。   

 さっきは手こずった相手。が、精神を集中させた俺の敵ではない。


「雑兵は……どけい!」


「ぬおっ……!」


 俺は刀で次々と敵を散らしていった。箒でゴミを払うように。

 獣人部隊が出てきた時は捉えられなかった動き、今は鮮明に見えている。


「うおおお!」


「来るか少年。哀れな」


 だがブレンダはその様子に狼狽えず、再び魔法の詠唱に入った。

 歳の割に結構戦慣れしているのか、冷静な対応だ。


空間障壁(レーレ・シュッツ)


 やはり来たか、魔法で。だがその行動は既に計算済みだ。

 俺は空中に出現した障壁を展開される直前に、一瞬立ち止まった。


「な……!?」


 てっきり一直線に愚鈍に来ると思っていたのか、ブレンダは一瞬戸惑った様子。

 そして完成直前の障壁に送られていた魔力に、僅かに隙が出来たようだ。

 

「スキあり!」


「あ!」


 俺は刀で障壁を叩き斬った。障壁は綺麗な白い破片を舞わせて、地面に消えていった。


「私の障壁を強引に突破するとは……」


「余所見している場合か?」


「な!」


 俺はブレンダの腹に一振りの刀を浴びせた。


「きゃあああ!」


 ブレンダは軽装備な服を斬られて、地面にへたり込んだ。


――――――――――――――――――――――


 名前 ブレンダ・ラーゲルクヴィスト

 HP  11754/14880


――――――――――――――――――――――


「くっ、敵に悲鳴を聞かせるなんて……」


「はっ!」


「うっ!」


 思ったより可愛い声だったな。が、聞き惚れている場合じゃない。まだだ!

 俺は再び刀を持って追撃に入る。

 

――――――――――――――――――――


 名前 ブレンダ・ラーゲルクヴィスト

 HP  9965/14880


――――――――――――――――――――


 だが今度は避けるタイミングを早めにとったのか、刀は掠るように命中。

 俺は正確にダメージをブレンダに当てられず、中途半端な一撃となる。

 

「さすが獣人だな……」


 人間である俺じゃ、獣人の動きの予測がつきにくい。体のしなやかさでも負けている。 

 だが、攻撃力はこっちが上だ!


 そうして俺が次の手を練っている瞬間、ここでブレンダが反撃した。


神速の爪(ラザンツ・ナーゲル)


「ぐほっ!」


 目にも止まらぬスピードで、俺の甲冑が削りとられていった。

 再度、豪快な爪痕が刻まれていく。

 今のは……目で追えなかったぞ?  


――――――――――――――――――


 名前 不破武親

 HP 13853/18420


――――――――――――――――――


「なんて威力だ……」


 俺はその傷に、あろうことか見入ってしまっていた。

 ジンジンと痛みが体に伝わっている筈なのに。

 しかしブレンダは、そんな俺に息つく暇を与えない。

 

疾走する刃ラーゼン・シュナイデン


「ぐわ!」


荒れ狂う大嵐ヴィルト・シュトゥルム


「がはっ!」

 

 やべえ、攻撃魔法のラッシュだ……。しかも風を利用した強力なヤツばかり。

 獣人らしく、速さを生かした技の数々。

 だが、そろそろブレンダのMPも限界のはずだ。こんなに撃って、保つはずが無い。


―――――――――――――――――――


 名前 ブレンダ・ラーゲルクヴィスト

 MP 532/2049


―――――――――――――――――――


 残り約4分の1か。

 もう間もなく、激しいこのラッシュも続かなくなりそうだ。

 今はひたすら防御して、MPが尽きるまで耐え抜くほかないようだな。

 

 しかしブレンダも自分の限界を察したのか、ここで麾下の獣人部隊に命令を下した。


「全員、一斉に掛かれ」


「おう!」


 俺が一瞬で蹴散らしたことで、一時的に観客と化していた周囲の敵兵たち。

 けどブレンダの号令が、もう一度彼らを動かした。

 そして部隊長だけに戦わせられないと、一気に俺に襲いかかる。


「はあ!」


「ごっ!」


 敵の槍がレーザーのように、俺の体を貫かんと刺さる。

 心臓は免れたが、脇腹からさらに激しく出血する。


――――――――――――――


 名前 不破武親

 HP 7011/18420


――――――――――――――


「これ以上は危険か……」


 いや、1対1ならまだやれる範囲だ。だが、ここは既に大量の王国軍兵に包囲されている。

 茂別館も占領されてしまった頃合いだろう。撤退のために血路を開くには、これ以上のダメージは喰らってはいけない。

 

「むふっ……」


 背中も矢が既に沢山刺さっているし、ここはもう逃げるしかねぇ……。命が無くなったら、それでこそ逆転出来ない。

 俺は苦渋の決断を下した。


「何だ……? こっちを向いているぞ……?」


 とうとうブレンダの首を諦め、俺はここでついに転進。

 さっきの計略地点に当たる後ろの森まで、一直線に獣人兵の防御を、最後の力を振り絞って散々に打ち破る。

 俺1人だけで、孤独に。


「――どけどけどけどけどけどけっ……!」


「まだ、こんな力が残っていたとは……」


 いや、今の俺は気力だけで押している。

 相手の将を倒せなくって、それに大事な兵を全員死なせてしまって、悔しさをぶつけているだけさ。

 俺は目に涙を浮かべながら、必死に森を目指した。


 もうすぐでこの死地を脱出できる。

 ブレンダを仕留めることは出来なかったが、王国軍の戦力を減らすことは出来た。

 兵を半ば見殺しにしたのは、残念だったけどな……。


 ふと茂別館のほうを窺うと、王国の軍旗らしきものが屋根から上がっていた。

 どうやら王国軍は、空城の計には引っかからなかったようだ。

 こちらの兵力の低さが、見透かされているのか?

 それとも、単純に圧倒的な戦力に自信を持って、伏兵を警戒しなかっただけなのか?

 

 だがどちらにせよ、今の俺には茂別館を奪還する力は無い。俺は再起のチャンスが来る時を信じて、森の中に潜伏した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。