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不破一族の多世界征服記~転生者一族の興亡史~  作者: 伊達胆振守(旧:呉王夫差)
3章 対ミュルクヴィズラント王国戦争
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21 久々の女神たち

 ある夜。俺の夢の中に、例の2人の女神が登場した。




「……また……この夢か……」


「――この夢か……じゃないでしょ、武親くんさ」


 ミネルヴァが、寝ている俺を見下ろすように立っていた。

 て、これまた不機嫌そうな顔してるな。


「この前の戦、あれ何なの? 無様な姿晒してさ、もっとしっかりしなさいよ!」


「は、あれ見てたの? て言うか、再会して早速説教かよ!?」


 こちとら、実戦経験なんて皆無だったんだぞ? むしろ自分でも、よく敵の首を捕るところまでやったってのに。


「あたしたちが与えた能力をまともに生かさないから、ああなるんでしょうが。しゃんとしなさい、まったく……」


「でも、懸命に戦っている時の武親さん、結構格好良かったですよ……?」


 うんうん、さすがフレイアは良いこといってくれるね。それでこそ士気が維持されるってもんだ。


「それにあなたは軍神。それは戦い慣れているはずでしょう。しかし……」


「ああもう! それ以上喋らなくていいから。武親、今度はきっちりね。いいわね?」


「ラジャー」


 ま、神様からしたら、俺なんて戦闘力が高いだけの人間。そりゃあ、戦がだらしなく見えるかもしれないけどさ。

 初陣の戦国武将に、期待し過ぎだ。




「――ところで、こうしてわざわざ夢に出てきたってことは、ただの中間報告。ってわけでも無さそうだな」


 下らない痴話喧嘩で忘れそうになってたけど、仮にも向こうは神。

 暇つぶしに、俺みたいな奴の所にホイホイやってくるほど、お気楽な身分でも無いはずだろう。


「変に鋭いわね。でも、当たりよ」


「実は近々、蝦夷地に『ミズガルズ』の民が迫ってくるようなのです」


「……マジ?」


 10年以上ぶりに出てきたな、『ミズガルズ』。

 アイヌの武装蜂起の鎮圧に夢中になってて、少し忘却状態にあったけど。

 けど、今さらながら『ミズガルズ』の民たちって、どんな人たちなんだ?


「なあ、『ミズガルズ』ってことはさあ、やっぱり俺たちと同じ人間が住んでいるのか?」


「違います」


「え?」


 いやいや、『ミズガルズ』は北欧神話じゃ人間が住む世界の筈だろ?

 それを、その当事者の1人であるフレイアが否定するって、どういうことなんだ?


「確かに人間族(ヒューマ)が中心の世界ではあります。しかし……」


「実は世界樹(ユグドラシル)の異常で最初に繋がったのって、『ミズガルズ』と異種族の国『アールヴヘイム』なんだよね」


「げ。ということは、この戦国の日本は『ミズガルズ』とだけでは無く、『アールヴヘイム』とも融合しているのかよ?」


「は、はい。そうです」


 アールヴヘイム。

 アールヴとは、ファンタジーでお馴染みのエルフのこと。

 つまりファンタジーな種族が沢山存在している世界のこと。さらにフレイアの話し方から、『ミズガルズ』と『アールヴヘイム』が合体したことで、多種多様な種族が暮らすようになった、てことか。


「……上手く利用出来ないかな、その人たち」


「さ、さあ?」

 

 敵には出来るだけ回したくないな、正直。




「ところで、1つ質問がある」


「何?」


「この、戦国時代の東アジアと『ミズガルズ』が融合したのって、西暦で言うと何年なんだ?」


 俺がこの話を聞かされてから、しばらく心に引っかかっていること。

 それは、“融合の年代”である。


 俺が生まれた1548年前後、この時期は戦国の中でも重要な時期と言える。

 1542(もしくは1543)年は、鉄砲が伝来した年。

 そして1549年。フランシスコ・ザビエルがキリスト教を布教し始めた年にあたる。

 つまり、思想と戦闘手段を中心に、大きな転換が起こった年代なのだ。

 

「そうですね……西暦にして1540年。といったところでしょうか」


「1540……年」


「そうだけど、それがどうしたの?」


 この話が本当だとすれば、転換のきっかけすら無い状態か。古来の戦法が、以前幅を利かせている感じだ。

 これは、こちらが優位に立てるチャンスだな。


 何故なのか。

 鉄砲には、火薬が必要になる。しかしその火薬の原料である硝石は、日本では採れない。

 だから、海外から輸入する必要が出てくるのだが、ここで問題がある。


 それは、安定して供給できる最東端の貿易港が、蝦夷地から遠い町、大坂近くの堺だからだ。

 

 だが『ミズガルズ』との融合が起こったことにより、鉄砲が製造されることは多く場合無くなった。

 多くの場合なので、もし転生者が大名なり重臣なりをやっているところだったら、その限りではないが。

 だが取りあえず、鉄砲が活用出来る出来ないでの有利不利は無い。天下統一のチャンスは、ある。


「……とにかく、さしあたっては『ミズガルズ』に注意だな」

 

「頑張るんだよ!」


「ウス!」


 さて、鬼が出るか蛇が出るか。今後の展開に注目だ。

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