第四十一話 一人前のアンティークディーラーになるために
ヨーロッパ中走った。
売っては飛び、飛んでは買い。山のような荷物を抱えて帰って来ては、また売って、また飛んだ。
こうなったら、一人前のアンティークディーラーとやらになってやろうじゃないの。
だけど、まだまだ駆け出しのアンティークディーラーだった。
アンティークがあると聞けばどこにだって行った。聞かなくても、東西南北走り回った。
アンティーク、骨董、そんなものはまだ少しもわかっちゃいなかった。骨董市に出ると、雑多なジャンルの骨董を扱う業者が出店していた。古代物を扱う業者もいる。フィフティーズ、シックスティーズを集めている業者もいる。どの業者も売っているものは骨董だ。それでも、まだまだほんの一握りの骨董業者を見ているに過ぎない。
2000年前、いやいや、4000年前、いやもっと昔のものから、4~50年前のものまで、気の遠くなるような時間の幅があり、それらがみんな骨董とすると、じゃあ、骨董ってこの世の中にある人間がつくりだしたものの99.9999%までが範疇に入ってしまう。神羅万象なんもかんも知らないと、骨董をわかるなんて言えない。でも、そんなのは死ぬまで不可能だ。神様だって見落とすだろう。
たいしたものが買えたわけじゃない。ほとんどがガラクタばかりだ。だけどそのガラクタは、古いものでなければならなかった。
時代のあるもの、といってもたかだか百年位前のものばかりだった。
今はとりあえずそれを買おう。走って、走り続けながら、ゆっくりと大きくなっていこう。
何度、高速道路で美しく広がる朝焼けを見ただろう。
毎日、あけはなたれた朝の空気を吸いながら、アンティークとの格闘に挑んだ。ちっちゃい車が悲鳴を上げるくらい荷物を満載して帰っては、夜は梱包、そして発送、それの繰り返しだった。




