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第87話 残影

玄夜は、寒舟の背中を追いかけた。


「師兄。」


「寒舟師兄。」


寒舟は、振り返らない。


玄夜は、人波に阻まれて、なかなか進めない。


いつしか、三人、五人と寒舟との間に人々が入り込む。


徐々に、距離が開いてきた。


玄夜は、焦った。



「沈七!!!」



少し遠くにいた寒舟が、驚いたように振り返った。


歩みが止まる。


玄夜は急いで、近づいた。


やっと、追い付いた。


沈七の手首を強く掴んだ。


「いたっ。」


「どうして、先に行く。」


「私は、帰ろうとしただけだ。手を離してくれ。」


玄夜は、うつ向いた。


人々は、二人を避けて通りすぎていく。


「ここは、邪魔になる。このままでは、歩きにくい。」


「………心配した。」


「あれほど、私を殺そうとしていたお前がか?」


「………………」


寒舟は、玄夜の手を引いて、道の端によった。


「少し、頼まれ事があった。なので、出掛けた。それだけだ。」


「なぜ、何も言わないで行った。」


「お前に、言う必要があるか?それに、急な用事だった。」


玄夜は、寒舟を見下ろした。


顔色が悪い。


それに、立ち姿に違和感がある。


何処かを庇っているような。


「……っ」


一瞬、寒舟の顔が強張った。


「……どうした?怪我でもしているのか?」


近づくまで気付かなかったが、血の臭いがする。



「玄夜。私の事は、気にするな。」


「沈七!」


寒舟は、玄夜を振り払って歩き出した。


玄夜は、寒舟の横に並んだ。


速度を合わせて、決して追い抜かないように。


置いていかれないように。



「玄夜、そろそろ魔教に帰った方がいい。」


寒舟は、唐突に言った。


「俺は、まだやる事がある」


「………それでもだ。」


「貴方の言うことを聞く筋合いは、ない。」


寒舟は、それを聞いて目を伏せた。


そして、少しだけ、寂しそうにつぶやいた。


「お前の、すきにすればいい………」


あれだけ、晴れていた空に、いつの間にか重い雲がかかっている。


白い雪が、はらはらと舞い落ちる。


玄夜の頬に、冷たい一粒が落ちた。
















更新速度落ちてます。

毎日目指してたんですけど、終盤に向けて書くのが

難しい。

まだ、もう少し続きますが……

だんだん、二部の終わりに近づいてる感じで。

早く、山場書きたい!!


しかし、着実に進めるよう頑張ります。

しばらく苦戦しそうなので、ゆっくり更新していきます。戦いの場面も増える予定です。

中華ドラマのワイヤーアクションのような戦闘場面、どう書いたらいいのか…かっこよくしたい。頑張りますので、よろしくお願いします。



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