第85話 道化師
武林盟大会の3日目。
寒舟は、主催者の一人として、演武台の整備や
薬の補充を指示していた。
とても、忙しい。
玄夜が、たまに姿を隠して見ているのは、気づいていたが、それどころではなかった。
ここ、数日は玄夜とも、話をしていない。
やがて、最終日の戦いが始まる。
六つあった演武台も、使われるのは中央の二つのみ。
この試合が終われば、残るは決勝のみとなる。
右側の戦いでは、慕容四季が戦っていた。
なんと、準決勝まで残っている。
寒舟は、先日治療した患者でもある四季を注目して見ていた。
身体は、すっかり良くなっている。
剣捌きも素晴らしい。
年長者の目で、若者の活躍を微笑ましく見ていると、視界の端で盟主が、部下に報告を受けていた。
空気がざわめく。
何か、あったのだろうか?
盟主と、目が合う。
軽く、会釈した。
その後も、大会は滞りなく進み、遂に優勝者が決まった。
名前は、陸承風。
惜しくも、四季は優勝を逃した。
しかし、大会3位になり、その実力を示したといえるだろう。
大会の優勝者が決まり、盟主直々に、剣を授ける。
名剣と名高い、一振だ。
拍手、歓声が上がる。
このまま、大規模な宴に移行するため、
会場は未だ多くの人々の熱気が残る。
そんな、華やかな大会終幕の裏では、一人の男が静かに捕らえられていた。
蘇順は、抵抗もせず大人しく盟の牢に囚われた。
尊主様が、助けてくれる。
蘇順は、そう思っていた。
長らく尊主様に仕え、いつか換魂の機会を下さると言っていた。
換魂………
時折、自分でも自分がわからなくなる時がある。
顔は、ひきつり醜い。
昔は、美しく才能豊かだと持て囃されていた。
何時からだろうか。
間違えた、そう思った時には遅かった。
もう、天才と言われていた時に戻る事は出来なかった。
だから、新しい身体でやり直したい。
あの日の輝かしい自分を取り戻したい。
そう切に願った。
それから、蘇順は、尊主様の為に働いた。
気が触れる日も多かった。
だが、正気の時は必死に命令にしたがった。
だから、考えもしなかった。
こんな結末は……………
ズルッ、ズルッ
何かを引きずるような音で、蘇順は目を覚ました。
血の匂いが濃くなる。
「蘇順様。」
闇の中から、男の声がした。
「鬼医か。」
僅かな松明の光りに照らされた鬼医は、全身血だらけだった。
足を引きずり、腹からは血が滲み、衣を赤く染めている。
「その怪我はどうした?」
「蘇順様、お伝えしたい事がございます。」
「なんだ?」
「尊主様は、貴方をお捨てになりました。」
「………はっ?」
「貴方は、明日盟主により処刑されるでしょう。」
「な、なにを言っている?」
ズルッ、ズルッ
鬼医は、それ以上何も言わずに去っていく。
「ま、まて!尊主様が、私をみかぎるはずがない!」
暗い牢に、蘇順の叫びが響き渡った。
投降、間あいてしまいました。
正直、大会が書きにくく。
戦いの描写が苦手です。
でも、出したかった。
完結後に少し描写を増やす事にして、さらっと書くに、逃げました。
でも、予定では、この後、避けて通れない戦いが続くんですよね。
なんとか、かっこよく書けるよう頑張ります。




