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第69話 長老の嘘

寒舟は、厨房の裏にある井戸に向かった。


桶を使い、水を一杯汲み上げる。


色は、澄んでいて、濁りもない。


香りもしない。


一口舐めてみる。


味もしない、舌にも痺れはない。


「井戸では、なさそうだが………」


そのまま、厨房に向かう。


夕食の準備をしている、料理人に聞いてみる。


「食事の水は、全部裏の井戸から?」


「はい、そうですよ。」


「昨日は、長老様方も、弟子達と同じ物を食べていましたか?」


「そうですね………同じ物を召し上がりました。」


厨房の食材や、昨日のメニューも確認するが、

異常はない。


なにより、若手の弟子達には、症状がないのだ。


水でも、食事でもない。


あとは、誰かが意図的に毒を入れたか………


もしくは、他に、薬やお菓子など全員が共通して口にした物があるか………


一度、長老様の部屋を調べてみるか。



寒舟は、再び楚安慈の部屋に戻る事にした。



楚安慈の部屋では、楚雲修が甲斐甲斐しく看病していた。


トントン


「柳寒舟です。入ってもよろしいでしょうか?」


「おはいり下さい。」


「失礼します。安慈様。申し訳ないのですが、部屋を少し調べてもいいでしょうか?」


安慈は、戸惑ったように答えた。


「部屋をですか?」


「はい。原因を解明する為に、調べたいのです。」


「………わかりました。雲修は、退室しなさい。」


「お婆様。かしこまりました。」


雲修が、退室すると寒舟は部屋を調べ始めた。


始めに、茶器に入っている茶葉を確認する。


匂いを嗅いで、少し口に入れてみるが、問題なさそうだ。


続いて、安慈が育てている植物。


当然、口にした痕跡はない、花粉等に毒がある植物でもない。


寝台の脇の収納戸棚が、目に入った。


「開けさせて、頂きます。」


「………」


中に入っていたのは、お菓子。


一目みただけで、有名な菓子店の包みだと分かった。


菓子の包みを一つ、一つ出していく。


すると、一番奥に小さな壺があった。


白い磁器で出来ており、蓋の上に赤い紙で封をされている。


高級そうだ。


酒だろうか?


「安慈様、これは?」


「…………蜜だ……」


「はい?」


「天然の百花蜂蜜だ!!」


「………蜂蜜ですか。開けてみても?」


安慈は、罰が悪そうに、こくりと頷いた。


蓋を開けると芳しい蜂蜜の香り。


匂いの中に、少し苦みがあるような……


気のせいかと思うほど僅かな違和感。


寒舟は、少量を匙に取り、少し舐めてみた。


とても、美味しい。


だが、この味は…………






謎解きもどき話(笑)

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