表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬仙の帰還  作者: 夏目葵
14/36

第14話 教主様は天



 


寒かった。


腹も減っていた。


どれくらい歩いただろう。


もう覚えていない。


俺は親を知らない。


気付いた時には路地裏で生きていた。


盗みをして。


殴られて。


奪われて。


それでも生きていた。


だから。


あの日も同じだと思った。


突然現れた黒衣の男達に捕まるまでは。



「こいつはどうだ?身体が大きくなりそうだ。」


「12歳くらいか?少し入信には遅いが、まぁなんとかなるだろう。」



逃げようとした。


だが。


腹に拳が入った。


息が出来ない。


そのまま馬車へ放り込まれた。


中には同じような子供が何人もいた。


皆、怯えている。


泣いている奴もいる。


俺も怖かった。


だが泣かなかった。


泣けば殺されると思った。


馬車は何日も走った。


途中で何人か消えた。

 

逃げたのか。


死んだのか。


誰も教えてくれない。


やがて見えてきた。


巨大な山。


黒い城。


まるで天を突くような建物。


「着いたぞ。」


男達が笑う。


「月影教だ。」


その瞬間。


馬車の中が静まり返った。


知らない者はいない。


武林で最も恐れられている場所。


魔教。


俺達は広場へ並ばされた。


百人近くいたと思う。


だが。


一年後には半分も残らない。


そう言われた。


修行は地獄だった。


朝から夜まで走る。


殴られる。


剣を振る。


崖を登る。


川を渡る。


倒れても許されない。



だが、噂されている魔教と違う所もあった。


修行は厳しいが、理不尽に殺されたり、


血蠱を飲まされる事もない。


ケガをすれば治療を受けられ、食事も充実していた。


ただひたすら、強さを求められる。




「魔教とはなんだ?」


教官がいう。


「日月不侵」


「強者為尊」


「月影教は永遠なり!」

『月影教は永遠なり!』


「教主様万歳!」

『教主様万歳!』


教主様は天。

誰も逆らわない。

誰も逆らえない。



~~~~~~~


過酷な修練をして、一年あまり。

ついに、正式な魔人として認めれ、

配属が決まる日になった。


八大魔頭の誰に配属されるかで、魔人としての今後が大きく左右される一大イベントだ。


幻写閣、幻魂邪手

毒魔閣、毒孤幽魔

仏閣、邪骨尊者

剣閣、混沌心剣

暗者閣、黒白百面

獣閣、百獣天王

血閣、血河魔君

鬼閣、万鬼夜哭


この8つのうち、何処かに配属となる。

周青は、剣閣を希望しているが、決めるのは各魔頭だ。


いつの間にか、親友の石安も脱落し、いなくなった。

ある日、突然姿を見なくなったのだ。

生死もわからない。


本当に、辛い日々だった。

ここからは、魔人として活躍し、教主様を直接守護する、護法になりたい。

それが、周青の夢だ。



配属発表が始まろうかというとき、急に周囲がざわめきはじめた。



「日月不侵」


「強者為尊」


「教主様に拝礼いたします。」


月影教、教主裴玄夜。


周青シュウセイは、始めてその姿を見た。


長い黒髪に、ありえない美貌。


恐ろしく、冷ややかな瞳。


人間ではないみたいだった。


まさしく、神。


集まった教徒全員が、一斉に拝礼する。


教主は、漆黒の王座に腰かけた。


「始めよ」


たった、一言。


それだけで、鳥肌が立った。



~~~~~~~


順調に、配属が発表されていく。


「高韓夜、幻写閣。」


「謹んでお受けいたします。」


「次、周青。薬王閣。」


えっ、そんなんあったか?


「つ、謹んでお受けします。」



その後の配属式は、全くおぼえていない。


混乱したまま、教官につれられ、夜陵城の飯屋にやってきた。


「新魔人諸君!おめでとう!今日は奢りだ、好きなだけ喰って、飲め!」


酒杯を掲げながら、教官が宣言する。


宴会がはじまった。


ある程度、酒が回った頃、同期の一人が言った。


「なぁ、教主様て、前教主の父親を殺したらしいぜ。」


「それ、俺も聞いた。父を殺して教主になったらしい。」


「今日見た教主様、恐ろしかったな。」


「恐ろしくて、綺麗だった。本当に人間なのかな?」


盛り上がる同期達。

そこに、教官がやってきた。


「お前達。教主様のお話しを無闇にするな。不敬にあたるぞ。」


「す、すみません。」


「今日は、聞かなかった事にしてやる。」


俺は、正直教主様の噂よりも、気になる事があった。


立ち去る教官に声をかける。


「教官。」


「周青か、なんだ?」


「私が配属された、薬王閣とは何ですか?」


「ああ、新しく新設されたんだ。教主様直々の命令でな。」


「薬草でも作るのですか?」


「さぁ、分からない。まぁ、頑張れ」


「・・・・」


護法の夢は絶たれた。



~~~~~


配属から、10日後。


ついに、薬王閣の閣主がやってきた。


名前を沈七様というらしい。


何処にでもいる普通の男だ。


この方が、閣主様・・・


いや、だめだ。


実は、物凄い人物なのかも知れない。


俺は、改めて気を引き締めなおした。




名前の読み方は、中国語読みと日本語読み

混じってます。

ただ、私がそう読みたいだけです。

好きな読み方で、読んで下さい。


どこかで、人物名一覧を投稿します。

参考にして下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ