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付録設定集 『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜  作者: 楓 隆寿


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黒龍クロニクの軌跡 〜偽りの槍と、ハゴネの邂逅〜


 黒龍クロニクーーΣ('◉⌓◉’)

 



挿絵(By みてみん)

(ズードリア大陸MAP)







 ここはズードリア大陸南東に位置するーー巨人が治める国『カイド』。


 吹き荒れる嵐の中、ひとりの青年、否。

 とある若者が身の丈の数倍はある鉄槍を振るっていた。

 

 ーー若者の名はまだ無い。

 彼は、カイドの地に君臨する黒龍の長・ギャニスの息子である。


「倅や、カイド式槍術の神髄は『剛』のみにあらず。

 龍の筋力をもってーー空間そのものを穿つことにある」


 厳格な父ギャニスの指導は苛烈を極めたが、若者はそれに耐え抜いた。


 一方で、母シェリーからは優しく、

 しかし厳かに人の姿を取る技術――『人化』の術を授かる。


「人間を知りなさい。

 その小さな姿には、私たち龍の巨体すら凌駕するーー

 可能性が隠れているのよ」



挿絵(By みてみん)


 

 20歳を迎えた日、父・ギャニスは若者にひとつの使命を言い渡した。

 それは、ズードリア大陸に散らばる七星の武器が一角――

 【趙槍ギャラクシースピア】を捜索すること。


「あの槍は、我が一族の宿命の武器。

 だが、龍の姿で世界を巡れば余計な摩擦を生むーー


 冒険者ギルドーー荒くれ者どもを束ねる組織だ。そこに属せ。

 そこにはズードリア大陸のあらゆる情報が集まる。合理的だと思わんか?」


 父の言葉に従い、人化の術で若者へと、

 姿を変えた青年は、街へと降り立った。


 冒険者ギルドでの登録は、すんなりと進んでいく。


 「……ケッ、人種や亜人の冒険者なんか、

 ーーこの黒龍様に比べたら虫ケラみてぇだな」


 そうつぶやく彼は圧倒的な実力を見せる。

 瞬く間に彼はズードリア大陸を股に掛け、

 常人では数日かかる依頼を数時間で、それも単独で片付けていった。


 時として人里離れた山の奥地に身を隠し、

 夜闇に紛れて本来の『黒龍』の姿へと戻ってはーー

 凶悪な魔物を文字通り”喰らう”ことで、その血肉を貪欲に強化していく。


 戦場に狂い咲く、紅蓮の炎ーー

 黒き衝撃と圧倒的な力。

 いつしか冒険者たちは、畏怖を込めて彼をこう呼んだ。


 ――S級冒険者、『紅蓮の黒龍』。


 実力、名声、地位。

 すべてを手に入れた青年だったが、

 肝心のギャラクシースピアの情報だけは掴めずにいた。


 そんな彼の前に、禿げ上がった頭に眼帯。

 見るからに怪しげな一人の男が現れる。

 同じ龍族でありながら狡猾さで知られるーー『緑龍』の化身。


「お前が探している趙槍のありかを知っている。

 アドリア公国の北方、ハゴネ山中の洞窟だ。

 間違いねえ、星の輝きを放つ槍が眠っている」


 それは、あまりにも精巧で、あまりにも悪意に満ちたガセ情報だった。


 教えられたハゴネ山中の洞窟へ足を踏み入れた、

 素直な青年を待っていたのは、

 ギャラクシースピアではなくーー

 空間を歪める古代の転移と略奪の結界だった。


 緑龍の狙いは、S級冒険者である彼の資産。


 結界の罠に嵌まり、彼は強力な魔力によって、

 一時的に身動きを封じられーー

 これまで貯め込んだ金貨、予備の衣服、

 そのすべてを奪い去られてしまった。


「……くっ、あのトカゲ野郎、謀ったな……!」


 命からがら結界を破ったもののーー

 手元に残ったのは身に纏うローブのみ。


 無一文となった彼は、

 すぐに緑龍へ報復に向かいたいところーー。

 だが、ハゴネの地に身を寄せることを余儀なくされる。


 彼は結界の網に背鰭を2枚引っ掛けて、大怪我を負っていた。

 ポーションも奪われ、自然治癒に頼るしか、他に手立てがなかったのである。


 しかし、怪我の功名かーー

 ハゴネの山々は彼にとって最悪の地ではなかった。

 そこは、獰猛なワイバーンたちの巨大な群生地だったからだ。


 人々にとっては災害そのもののハゴネ山頂。


 本来の姿を取り戻し、黒龍化した彼にとっては、

 そこは極上の狩場でもあり、単に一介の〝食堂〟に過ぎなかった。


「ふん……当面の『食』には困らんな」

 

 大空を支配するワイバーンたちを、

 圧倒的な暴力で叩き落としては喰らい尽くす。

 金はなくとも、腹が減ることはない。

 彼はハゴネの洞窟を仮の根城とし、牙を研ぎ澄ましながらーー

 次の行動への活力を蓄えていた。


 

 ーーある日。

 ワイバーンの肉を喰らい終え、

 一息ついていた黒龍の鼻腔を、妙な匂いがくすぐった。

 ワイバーンの血の匂いではない。

 人種(ヒューマン)や亜人の、それもただ者ではない強者の気配。


 ハゴネの崖から、足音もわずかながらに、鋭い聴覚を持つ彼の耳に届く。


 「こりゃぁ……様子を見にいかねえとな……」


 漆黒の大翼を羽ばたかせ、空気を切り裂き飛翔する。

 空高く舞い上がった黒龍化した彼は目を見張った。


 「コイツら……なんてことしやがる……オイラの縄張りを荒らすとは…」


 眼下には横たわるワイバーンの群れと、一団の戦士たち。

 その中心にいたのは、鋭い眼光を持つ男だった。


 彼の心の中は悔しさと焦りーーそして怒りが込み上げてくる。

 

 「ゴギャラオォォォンッ!!」


 黒龍は咆哮を上げ、目標に向かって急降下。


 咆哮が戦士たちの鼓膜を支配する中、黒龍が崖に降り立った。

 巨大な翼を広げたその姿は、まさに災厄そのもの。



(笑わせるぜ……人間ごときが、オイラに立ち向かうとはな……)


 黒龍は胸中の怒りをぶつけた叫び声を上げる。


 空間を震わせるほどの咆哮を轟かせ、

 琥珀の瞳で戦士たちを睨み据えた。

 


 緑龍に騙され、すべてを失った『紅蓮の黒龍』。

 しかし、ハゴネの地で戦士たち、いや、ゴクトーたちと出会ったことで、

 彼の止まっていた運命の歯車が、再び激しく回り始める。


 趙槍ギャラクシースピアを巡る真の旅路は、

 ここから始まるのだったーー。









───────────────



  名称:クロニク

  種族:黒龍(ブラック・ドラゴン/上級龍種)

  性別:男

  年齢:24歳

  分類:古代龍系(エンシェント・ドラゴンの血統)

  性格:短気だが、優しい。実直なのが、たまに傷。

     ゴクトーを茶化す場面もしばしば。

 

 

  【血統・系譜】

  古代龍ガザグ龍王の孫。 

  ゴクトーの従魔ピクシー・ドラゴンのコガラの叔父にあたる。

  龍皇一族ブラック・ドラゴンの長『龍皇ギャニス』の長男で皇子。

  【龍皇覇気】を宿す特異個体でもある。



挿絵(By みてみん)



  パーティ『リリゴパノア』の対空戦の切り札。(黒龍化時)

       『カイド流槍術』の使い手(人化時)


   冒険者ランクはS+級

   二つ名は『紅蓮の黒龍』  


  人化した姿でもーー紅蓮の炎が使える。

  絶対零度の氷の息吹は、魔力消費が激しいため、使用に制限がある。

  


  ハゴネの山中でゴクトーに敗北。

  彼に再生治癒魔法をかけてもらい身体は完治。

  その時、ワイバーンの『料理』ーー

  初めて調理したものを食し、感動する。



  ゴクトーに緋色金(ヒイロカネ)製の希少な武器、

  ハルバードを譲ってもらった。

  気を良くした黒龍は、ゴクトーと運命を共にすることを決意。

  名前もつけてもらいゴクトーの隠れ『従魔』となる。

  だがゴクトー、いや彼自身もそれに気づいていなかった。



  一人称はオイラ。ゴクトーを『兄貴』と呼ぶ。

  仲間たちからは『クロニク皇子』と呼ばれ、実は頼りにされている。

  

  人化した姿は筋肉隆々で眉目秀麗、黒髪に金角を二本光らせる。

  胸元には古代文字ーー龍の紋様が浮かび上がっている。



  同パーティのロカベル姉妹ーー

  末妹のミーア・ロカベルに実は一目惚れしていた。



 挿絵(By みてみん)





 


 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
世界観が素敵です……! 黒龍クロニクの「短気だが、優しい」性格も推せますね☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 楓さんの付録設定集は何度も読みたくなります!!! いつもありがとうございます!
クロニクさんの育ちや、 ゴクトーさんとの出会いが描かれて、とても良かったです^ ^ この付録設定集は、楽しみにしている作品のひとつです(^。^)
クロニク皇子の過去編、とても面白かったです♪(о´∀`о) 最初は圧倒的な力を持つ黒龍らしい傲慢さがありましたが、父ギャニス様の教えや、母シェリー様の「人間を知りなさい」という言葉が入ることで、ただ…
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