風代華 〜影の約束〜
華ちゃんありがとう♪( ´θ`)ノ
ーーククリア天上国。
そこは下界のズードリア大陸を見下ろし、
エルフたちが住まうマヌエルの里、
世界樹のさらに上層にある雲の上の小国。
太古の大戦で東雲がペガサスを駆り、
戦場を白銀の治癒光で満たした出生の地である。
だが、その神聖なる地で、一つの悲劇が起きた。
東雲の末妹、天真爛漫を絵に描いたような三女・西風が、
あろうことかマヌエルを治める八支族ーー『ロア』の族長と恋に落ち、
命と引き換えにハーフエルフの女児を産み落とした。
「……すまない、西風。私は、この子を里へ連れては行けぬ」
赤ん坊を抱くロアの族長の手は震えていた。
エルフの里には『ハーフエルフを住まわせてはならぬ』というーー
絶対の掟がある。
エルフの血を引くといえど、混血は混血。
神聖を尊ぶ一族にとって、ククリアはまさに神の国。
その子は祝福されるべき奇跡であると同時に、
決して触れてはならぬ禁忌だった。
その時、天からの啓示でも受けたようなーー運命の歯車が噛み合った。
「困っているようね、族長さん。その子、私に預けてみない?」
それは、たまたま薬草の製法を求めてマヌエルを訪れていた、
コリン聖教皇国の冒険者で、まだ『ビショップ』だった時のカノンであった。
のちに『オラクル・メイジ』として名を馳せ、
S級冒険者までになったのにも関わらず、
ある孤児院のシスターとなる女性である。
族長は、藁をも掴む思いで、まだ名もなき赤ん坊をカノンに託した。
ロアの血を引く証である、透き通るような銀色の髪を撫でながら。
ーーそれから数年後。
コリン聖教皇国の辺境にある教会に、一人の少女がいた。
名は「華」。 カノンがつけた名だった。
亡くなった彼女の母親が愛したーー
地上の美しさを忘れないようにと名付けたもの。
「華、また勝手に薬草園に入ったな? シスターに怒られるぞ」
声をかけたのは、十歳の少年、ゴクトーだった。
彼は孤児院の中でも年長者として、いつも妹のように華を気にかけていた。
「だって、ゴクトー様。このお花、少し元気がないんだもん」
華が小さな手を花壇にかざすと、
その手から淡い黄金色の光が漏れ出す。
枯れかけていた花が、
まるで時間を巻き戻したかのように瑞々しく咲き誇った。
ゴクトーは目を丸くして、慌てて周囲を見渡す。
「おい、その『力』は人前で見せちゃダメだって言っただろ。
シスターカノンが言ってた。
華の力は、悪い奴らに見つかると大変なことになるんだって」
「……ゴクトー様が守ってくれるんでしょ?」
華がいたずらっぽく笑うと、
ゴクトーは顔を赤くして「当たり前だッ!」とぶっきらぼうに答えた。
二人は教会の屋根に登り、遠くに見える地平線を眺めるのが日課だった。
「私、大きくなったらゴクトー様のお嫁さんになりたいな。
一緒に世界中を旅してーー幸せな日々をお送りたい」
「俺は……そうだな。
俺も、華が行くところならどこへでもついて行ってやるよ。
でもなぁーー俺、妄想癖を持っててさぁ。
たまに、なんか、違うものが見えたりするんだ」
「そうなんだ。でもそれって。夢を見てるみたいで楽しいじゃん!
私は嫌いじゃないよ。そんなゴクトー様の癖……」
「なぁ、頼むから”様”はやめてくれっ! なら、いつか俺と……」
「ええ、ゴクトー”様”喜んで!」
ゲラゲラと笑い合ったその約束が、運命によって無残に引き裂かれるとは、
幼い二人は知る由もなかった。
華が十歳になった頃、教会に【神の神託】が降りた。
天上の神シロがカノンに告げる。
「その子はいずれ、ズードリア大陸を変える男を支える。
今は力をつける時ーー」
彼は、自らが作り上げた島国『ヤマト』で、
類稀な治癒と蘇生、天変地異を揺るがすほどの力を宿すーー
華を「守護者」として、育てることを決定したのだ。
神託を受けたカノンに衝撃が走った。
しかしーー彼女はこれも「天の神様のお導き……」と祈りを捧げた。
数日後、シスターカノンは涙を堪え、華の背中を押した。
「華、行きなさい。これはあなたがあなたとして生きるための道なの」
見送るゴクトーは教会の門の前で、
異国から来た”黒装束”の使者たちを睨みつけていた。
だが、子供の力ではどうすることもできない。
「ゴクトー様、忘れないで。私は、異国に行く。
そこで一番強くなって、いつか……いつか必ず、あなたを迎えに行くから!」
華は、風代という名を与えられ、海を渡った。
『ヤマト』の風代家は、「巫代家」と並ぶ、
高い格付けを持ちながら、決して表舞台には出ないーー
影の副将軍家でもあった。
ヤマトでの修行は苛烈を極めた。
将軍の神代家に伝わる古の神代魔法を学び、
それに加えーー
風代家特有の「風を操り影を斬る」忍術と武術まで習得していく。
華は、本来ならば慈愛のために使うその力を、
戦うための力へと昇華させていった。
ククリクの血、東雲のような凛とした強さと、
次女・東風から無意識に受け継いだ痛みへの共感。
そして母・西風譲りの自由な魂。
彼女はいつしか、『ヤマト』の暗部を統べる「風代華」として、
その名を影の世界に轟かせるようになる。
年月が流れ、華は美しく、そして誰よりも鋭い刃を持つ女性へと成長した。
鏡に映る自分の姿を見るたび、彼女は幼い頃の教会の匂いと、
自分を必死に守ろうとしてくれた少年の背中を思い出す。
「ゴクトー様……あなたは今、どこで何をしていますか?」
『ヤマト』の桜が舞い散る中、華は愛刀を鞘に収める。
彼女は知っている。
今やゴクトーが『妄想図鑑』を武器に、
ズードリアの地で新たな騒動を巻き起こしていることを。
女神東雲が、面白がって彼を見守っていることを。
「女神様……いえ、東雲伯母様。
彼に手を出さないでくださいね。彼を救うのは、私の役目ですから」
風代華は、不敵に微笑む。
いつか再会するその時、自分は守られるだけの少女ではない。
女神の血を引く最強の「影」として、彼の隣に立つ。
その日の風は、かつてククリアで西風が吹かせたものと同じ、
優しくも激しい匂いがした。
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名称:風代 華
種族:ククリク・ハイエルフ(ククリク種・ハイエルフ種の混血)
性別:女
年齢:26歳
分類:精霊亜人系(【ロア】の血統)・天使翼人系(【西風】の娘)
性格:お転婆だが献身的。 気性は優しいがどこか冷めている。
【血統・系譜】
ククリア天上国の元皇女、(現在は天界の人柱)女神東雲の姪。
マヌエルの森を治めるハイエルフ八支族ーー
【ロア】の娘だが父に捨てられる。
冒険者ランクは無し。
二つ名は『天上に咲く桃の華』
風代家に養子になり、女でありながら家督を継ぐ。
巫代家のアカリとジュリの外戚でもある。
風代家に代々伝わるーー
七星の武器【桜刀・黄金桜大文字】を譲り受け佩く。
神代魔法と忍術の合わせ技ーー【氷破炎斬】や、
天変地異を起こすほどの奥義【紅蓮天衝】を使う。
さらに魔族の呪詛を囲う秘技、神代封殺――
【黎明一閃】まで使いこなす。
ハゴネの山間でアリーの従姉妹、S級冒険者の虎人のティグルと出会い、
【霊獣換装】の神代魔法を駆使、
巨大な虎の姿へと変えた。
このティグルは、ゴクトーと旅を共にするーー
アリー・ココロ・オブニビアの従姉妹でもある。
ティグルの気性を気に入り、
自身のパートナーとして、魔族を狩る旅に同行させる。
魔族が動きを見せる中、ゴクトーのために魔族退治に奔走。
幼い頃の口約束だが、ゴクトーの許嫁でもある。
常に日陰の身となり、ゴクトーを”影”で支えるーー暗部の棟梁となる。
たまに天界に呼び出されーー
転移の神代魔法【八重雲の橋】を唱え、
碧の残滓となりながらも転移する。
お読みいただき、ありがとうございます。
このエピソードは仲良くしていただいております、
特別友情出演してくださった『桃源 華』様をモデルにした『風代 華』ーーの設定です。
Xアカウント @hana_tougen @Tougen87
華ちゃんはカクヨム、アルファポリスサイトで人気のファンタジーも掲載してます。
https://kakuyomu.jp/users/tougen_hana
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/817268736
引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )




