再試ってめんどくさい
「それではテスト、始めっ!!」
教室に響く先生の声。隣で
「おぁあああ……」
と真っ青な顔の真照が呻いていた。
☆☆☆
「…で、赤点か」
「うぅ…そうよ」
今俺達は真照の家の食堂にいる。ここで真照の赤再試対策会をするのだ。
「それで、何が再試なんだ?」
「ええと…数学と国語と社会と理科ね」
「多くないか?」
それは進級が心配になるレベルだぞ。ちなみに英語は再試ギリギリだったらしい。
「それにしても何でこんなにも出来ないんだ?」
「う…あたし、勉強が嫌いで、小さい時から全然勉強してきて無いのよ。それに、オシラサマに殺されると思ってたし…」
だからと言って勉強しないのも良くないと思うが。
「所で真照、どうやって中央高校に合格したんだ」
中央高校はこの街の学校の中では偏差値は高い方のはずである。こんな成績じゃあ普通入ってこれないと思うんだが…。
「運よ」
「そっかぁ」
運か〜。運で入って来たのか〜。この学校運で入れるのか〜。俺の頑張りを返せ。ここに入るために平均位しか取れない俺がどんだけ頑張ったと思ってるんだ。泣いて良いよな、俺。
「それよりも、万の方が凄いじゃない。全部平均だなんて。ここまで来ると呪いなんじゃないかしら?」
「ちょと笑えないなー」
今度こそは平均以上取ると頑張った結果平均点だぜ?それも全部。泣きたい。
「そんなら僕が教えてあげようか!?」
「ヒェッ!?なんて所にいるのよ!?」
見ると夜神があるそ○くのCMの某有名アスリートみたいに壁に張り付いていた。その内目から光線が出せるようになりそう。見るんじゃ無かった。しかもシュタッと綺麗に降りた。ちょとカッコイイと思ったのは内緒だ。
「月宵…アンタはどの位出来たのよ?」
「ええと…学年2位だったよ?」
「「はぁ!!??」」
あれだけストーカーして付きまとっているのに、一体いつ勉強していると言うのだろうか?
「そ、それは…どうやって勉強しているのよ?勉強方が知りたいわ!!」
「僕特に何にもして無いよ?」
「はい?」
「だって勉強なんかしていたら警備が出来ないじゃ無い。習ったその場で覚える方が勉強に時間割かないで済むよ?」
「「……」」
当たり前かの様に言う夜神。それが出来るのはお前の様なごく一部だけだ。
「はぁ…考えていてもしょうがないわ。万、月宵、あたしを手伝ってくれるかしら?」
「おう」
「うん!」
こうして真照の赤再試対策会が始まった。
「この人の言いたい事をまとめなさい」
「?」
「2x≦4のxの値は?」
「??」
「現存する中国最初の皇帝は?」
「???」
「植物の細胞にのみ存在する細胞の名は?」
「????」
目を点にして良くわかって無い様な顔をしている真照。おかしいな、今回の範囲のはずなんだが…。
「アタシ、ヨロズノイウコト、ヨクワカンナイワ」
あまりの情報の量に頭がキャパオーバーしたのか真照の事葉がたどたどしくなっている。戻って来ぉおおおい!!!
「ダメだねえ、幸神くん。僕がお手本を見せてあげよう!」
そう言って夜神は真照に何かを告げる。耳元に言っていたから俺には良く聞こえなかった。次の瞬間、真照はみるみる青ざめて行く。一体何があったんだ!?
「あたし、死ぬ気で頑張るわ…!」
いつになく真照の目が真剣になった。本当に一体何を言われたと言うのか。
この後みるみる内に学力をつけて行った真照は無事赤再試に合格した。
夜神が「僕のおかげだね!」と嬉しそうに笑いながら言っていた。確かに学年2位なだけあって教えるのも上手かった。
後日。真照に夜神に何を言われたのか聞いてみると…。
「ま、『間違えた数だけ夜這いしに来る』って…。なんなのよあのヤンデレ…」
と、震えながら教えてくれた。
確かに…それは嫌だな。勉強のやる気の出し方は人それぞれだなと思った。




