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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
5月
24/308

神様(笑)の日常 被害報告

真照視点です。

前話の前日譚です。



「う〜〜ん!」


自分の部屋の椅子に座り背伸びする。今日も色々な事があったわね。


まさかストーカー、もとい夜神があたしに懐くとは思わなかったわ…。


それにしても彼、ヤバイわね。病み病みストーカーって怖いわ。放っておいたら死にそうだったわ…。


怖さを紛らわす様に万にクレーンゲームで取ってもらった犬のぬいぐるみを抱きしめる。もふもふしていて触り心地が良い。あー、本物の犬が飼いたいわ。ぬいぐるみとは違った可愛さがあるのよね。


結局、あたしはYESともNOとも言えなかった。あたしは夜神の事をよく知らない。夜神もあたしの事を知らないはずなのよ。だから、答えを出すのは早すぎると思った。


それに、あの場でNOと言ったら今度こそ夜神が死にかねない。夜神に死んでほしくないと言う気持ちは本当よ?葬式には出たくないわ。それに死因があたしとか寝覚めが悪い。


と、考えていた所に響くノックの音。あたしの部屋の中には誰1人としてメイドは居ないから、自分でドアを開ける必要がある。


ガチャリ。ぬいぐるみを置いてドアを開ける。そこに居たのはーー


「来ちゃった」

「……」


ガチャン。ドアを閉める。今一瞬夜神がいたような気がするけれど気のせいよそうよ気のせいに違いないわ。見なかった事にする。


夜神が何のアポ無しにやって来るとかあり得ないわ。普通の人間なら、まず玄関から入ってくる。そこでチャイムを鳴らすはずよ。メイド経由であたしに伝わってーー


…あ、そうだ。彼、普通の人間じゃ無いじゃない。神力持ちだわ。


鑑定では『姿形を隠す者』と出ている。そのままの意味で捉えるのなら、透明になれると考えるのが妥当かしら?他にも出来る事や詳しい条件はあるかもしれ無いけれど、あたしの鑑定はそこまで詳しい事は教えてくれない。


それに、神力持ちなら神器も使えるはずね。名前は…八尺瓊勾玉?何よこれ、全然想像がつかないわ…。


それはともかく、神力で姿形を隠して入って来たのならばあたしに連絡が来て居ないのも納得ね。でも家は凄く頑丈な警備のはずなのに何事も無かったかの様に家の中にいるのには納得出来ないわ。至る所に防犯カメラがあるのにこんなに簡単に突破されるなんて…。警備も涙目ね。彼、世紀の大怪盗にでもなれるんじゃないかしら?


「ねぇ、真照ちゃん?開けて…?」


夜神がドアをドンドンと叩いている。声が怖い。さながらホラゲの敵キャラね。開けたらGAME OVERかしら?


「誰ですか!?貴方は!?」

「うぇっ、バレた!?」


ドアの向こうからそんな会話が聞こえて来る。メイドに見つかった様ね。まあ、そんなにドアをドンドンしていたら流石にバレると思うわよ。


「不法進入です!皆さん、この不届き者を捕らえましょう!!」

「「「おぉ!!全ては真照お嬢様の為に!!」」」

「なのですーー!!」


ドアの向こうからドタバタと走る音が聞こえる。ふぅ、どうやらメイドが追っ払ってくれたみたいね。安心して椅子に座り込む。


「お嬢様!お怪我はありませんか!?」

「えぇ、無いわよ。ありがとうね」

「それは良かったです。今、お紅茶お出ししますね」

「分かったわ。ありがとう」


メイドが部屋から出ていく。ああ、これでやっとくつろげる…そう思った途端。


パリパリパリーン!!


ガラスが砕け散った。月の光を反射するガラスの破片。飛び込む黒い影。


「あー、危なかった。やっぱり数は暴力だね」

「!!??」


部屋の中に夜神が入って来ていた。本当に怪盗じみているわね…。盗む獲物は個人情報の怪盗…。なんか嫌ね。


「さあ、真照ちゃん!!ここで僕と愛を語ろふげっ!!??」


いっけなーい☆地獄地獄ー☆

あたし、日神真照(15)!どこにでもいない超絶美少女!今、つい反射的にストーカーを殴っちゃったの☆次回、『損害賠償』(大嘘)!お楽しみにね☆


…はっ!?あまりの衝撃に考えが明後日の方向に飛んじゃったわ!気がついたら夜神はボコボコに。たんこぶに青あざまで出来ている。端正な顔が台無しね。可哀想に、誰がやったのかしら?


「真照様、お紅茶をお持ち致しましたーーえ?」


入って来たメイドが思わず驚く。確かに辺りを見ればボコボコにされて倒れた少年、割れたガラス、呆然としているあたしである。驚くのも無理は無い。


「え、と、その方は?」


メイドがおずおずと聞いて来る。確かに聞き辛い状況ね。


「夜神月宵、と言う名前の同級生兼ストーカー兼我が家への不法進入者ね」

「え、あ、はい?」


そりゃそうよ。あたしだって初耳でこんな変な称号言われても困惑するわ。


「取り敢えず…縛って外に放り出しといてくれるかしら?」

「あ、はい…。分かりました」


今は5月で夜でも暖かい。外に放り出しても大丈夫よね。


こうして夜神の不法進入事件は幕を閉じた。


去り際に「何度でも蘇るさ!」と言われた様な気がした。

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