↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/178

自分たちで選ぶ未来

 ヴァロリア王国の王都に、穏やかな朝が訪れていた。


 王立セイレーン学院の中庭では、朝露をまとった花々が陽光を受けて輝き、噴水の水音が静かに響いている。


 リヴィア・アーデントは、いつものベンチに腰を下ろし、一冊のノートを開いていた。


 そのページには、次の休日に向けて自分が書き留めた予定がある。


 ヴァロリア王都の北側に残る、古い水路。


 ルシアン・ヴァルクレストが、次の外出先として選んでくれた場所だった。


 かつて街へ水を運んでいた水路や、今も残る古い橋。そこを歩きながら、昔の人々の暮らしや、街がどのように形作られてきたのかを知ることができるらしい。


 リヴィアは、ノートの端に描いた簡単な地図を見つめた。


「……どんな場所なのかしら」


 思わず呟き、すぐに頬を緩める。


 先日の職人街では、自分が選んだ場所をルシアンに案内した。


 彼と一緒に工房を見学し、銀細工の職人から話を聞き、不格好ながらも自分の手で小さな花飾りを作った。


 あの日のことを思い出すと、今でも自然と笑みが浮かぶ。


 そして、次は彼が選んだ場所へ行く番だ。


 自分が知らない景色を見せてもらうこと。


 彼がどんなところに興味を持ち、何を大切にしているのかを知ること。


 それを楽しみにしている自分がいる。


「……少し前までは、こんなふうに考えることもなかったわね」


 リヴィアは、そっとノートを閉じた。


 かつての彼女は、未来を考えるたびに、失敗しない方法ばかりを探していた。


 悪い結末を避けるためには、どうすればいいのか。


 誰かを傷つけないためには、どんな選択をすればいいのか。


 そのことばかりに気を取られ、自分自身が何を望んでいるのかを、いつも後回しにしていた。


 けれど、今は違う。


 次の休日が楽しみだと思える。


 誰かと一緒に過ごしたいと、自分から願える。


 そして、まだ答えが出ていないことがあっても、そのことだけを理由に立ち止まる必要はないのだと、少しずつ理解できるようになっていた。


「リヴィア?」


 聞き慣れた声に顔を上げると、エヴリン・ローゼンが立っていた。


 明るい茶色の髪が肩の上で揺れ、緑色の瞳には好奇心が浮かんでいる。


「おはよう、エヴリン」


「おはよう。何を見ていたの?」


「次の休日に行く場所のことよ。ルシアン殿下が、王都の古い水路を案内してくださることになったの」


「ああ、前に話していた場所ね!」


 エヴリンは嬉しそうに頷いた。


「職人街の次は、古い水路かあ。今度は殿下が案内してくれるのよね?」


「ええ。私が興味を持ちそうな場所を考えてくださったみたいなの」


「素敵ね」


 エヴリンは、からかうような笑みを浮かべた。


「リヴィア、ずいぶん楽しみにしているんじゃない?」


「……楽しみなのは事実だけれど、そんなに顔に出ているかしら?」


「うん。とっても」


「もう……」


 リヴィアは頬を染めて視線を逸らした。


 けれど、否定するつもりはなかった。


 ルシアンと過ごす時間が好きだ。


 彼の考えを知ることも、一緒に新しい景色を見ることも楽しい。


 そうした気持ちを、以前のように無理に否定する必要はないのだ。


「でもね、エヴリン」


 リヴィアは、改めて友人の顔を見た。


「楽しみにしているからといって、何か特別な答えが出たわけではないのよ」


「うん。分かっているわ」


 エヴリンは、優しく頷いた。


「今は、一緒に過ごす時間を楽しめばいいんじゃないかしら。これから先のことは、その時間の中で少しずつ考えていけばいいのよ」


「……そうね」


「それに、リヴィアが自分の気持ちを大切にできるようになったことが、私は嬉しいの」


 その言葉に、リヴィアの胸が温かくなった。


「ありがとう、エヴリン」


「どういたしまして!」


 エヴリンは明るく笑い、二人は並んで学院の校舎へ向かった。



 ◇



 昼休みになると、リヴィアは中庭の休憩スペースへ向かった。


 そこでは、セレネとフィリア、ノエルたちがテーブルを囲んでいた。


「リヴィア、こちらです!」


 フィリアが手を振る。


 テーブルの上には、紅茶のポットと焼き菓子が並んでいた。


「今日は何のお菓子なの?」


「果実を使った焼き菓子です。ヴァロリアの職人街で売られているものを参考にしてみました」


「職人街で?」


「はい。あの日に見たお菓子がとてもおいしそうだったので、作り方を調べたのです」


 フィリアは誇らしげに胸を張った。


「やはり、おいしいものを知るには、自分で試してみることが大切ですね!」


「……その熱意を、ほかのことにも向けてくれたらいいのに」


 ノエルが呆れたように呟く。


「ノエル、それは聞き捨てなりません。食文化を知ることも、立派な勉強です」


「分かった、分かった」


 ノエルは苦笑した。


 その様子に、リヴィアは思わず笑った。


 セレネも、紅茶をカップに注ぎながら口を開いた。


「そういえば、次の休日は殿下とお出かけになるのですよね?」


「ええ。今度は、ルシアン殿下が案内してくださるの」


「どのような場所へ?」


「王都の北側にある、古い水路よ。昔の街の様子が分かる場所なのだそうよ」


「興味深いですね」


 セレネは淡い金色の瞳を輝かせた。


「今の街並みだけを見ていても、そこに至るまでの歴史は分かりません。過去にどのような暮らしがあり、それが現在にどうつながっているのかを知るのは、大切なことだと思います」


「ええ。私も、そう思うわ」


 リヴィアは紅茶を一口飲んだ。


「職人街へ行ったときも、ただ作品を見るだけでは分からないことがたくさんあったの。作り手の考えを聞いたり、実際に手を動かしたりしたことで、初めて気づいたこともあったわ」


「知識として知ることと、経験することは違いますからね」


 セレネは穏やかに頷いた。


「それに、人と一緒に経験すると、自分一人では気づかなかったことにも気づけます」


 リヴィアは、そっと微笑んだ。


 ルシアンと出かけるたびに、自分の知らなかったものが少しずつ見えてくる。


 それは、街の歴史や工芸の技術だけではない。


 彼が何を大切にしているのか。


 何を見て、どのようなことを考えるのか。


 そうした彼自身についても、少しずつ知ることができる。


「……私、これからも、いろいろな場所へ行ってみたいわ」


 自然と口から言葉がこぼれた。


「もちろん、殿下と一緒に出かけることも楽しみだけれど、それだけではなくて。自分が知らないものを見て、考えて、自分の世界を広げていきたいの」


 エヴリンが、隣から嬉しそうに笑った。


「うん。きっと、リヴィアならできるわ」


「私一人では、気づけないこともあると思うけれど」


「だから、私たちがいるんでしょう?」


 エヴリンは当然のように答えた。


「一緒に考えたり、意見を出し合ったりすればいいのよ。リヴィアだって、いつも私たちを助けてくれるじゃない」


 リヴィアは、少しだけ目を見開いた。


 自分は、誰かに頼ることが苦手だった。


 迷惑をかけないように。

 自分で解決できるように。

 弱いところを見せないように。


 そうして、一人で抱え込もうとしていた。


 けれど、友人たちはいつも自然に手を差し伸べてくれる。


 頼ることは、弱さではない。


 互いに助け合いながら、それぞれが自分の道を歩いていくこともできるのだ。


「……そうね。ありがとう、みんな」


 リヴィアが微笑むと、フィリアが勢いよく手を挙げた。


「では、これからも一緒においしいものを食べましょう!」


「フィリア、話が少し違う気がするわ」


「違いません。楽しい時間を共有することは、とても大切ですから!」


「それは、確かにそうね」


 セレネが真面目に頷いたため、今度は全員が笑い出した。


 リヴィアも笑いながら、テーブルを囲む友人たちを見渡した。


 こうした何気ない時間も、自分が望む未来の一部なのだ。


 特別な出来事がなくてもいい。


 みんなで話し、笑い、ときには意見をぶつけ合いながら、日々を重ねていく。


 そんな未来を、これからも守っていきたいと思った。



 ◇



 放課後。


 リヴィアは、交流祭の記録が保管されている学院の図書室を訪れた。


 静かな書架の間を進み、目的の本を取り出す。


 表紙には、両国の学生たちが作り上げた『交流祭・未来記録』という文字が記されていた。


 窓際の机に腰を下ろし、ページをめくる。


 そこには、交流祭で交わされた意見や、生徒たちが考えた提案が丁寧に記録されていた。


 文化の違いに戸惑ったこと。


 伝統を守ることと、新しいものを生み出すことについて話し合ったこと。


 相手の国について、初めて知ったこと。


 そして、これから先も交流を続けていくために、それぞれが考えたこと。


 リヴィアは、一つ一つの文章を読み返した。


 交流祭が始まる前、生徒たちは何度も話し合いを重ねた。


 国の違いを越えて、互いを理解するにはどうすればいいのか。


 大きな行事が終わったあとも、関係を続けるためには何が必要なのか。


 簡単には答えが出ない問題もあった。


 けれど、彼らは話し合いをやめなかった。


 誰かの意見を否定するだけではなく、どうすれば一緒にできるのかを考えた。


 その結果、交流祭は無事に終わり、今では日常の中でも交流を続けるための計画が進められている。


 最初から、すべてが決まっていたわけではない。


 話し合いながら、少しずつ形を作ってきたのだ。


 最後のページには、今も空白が残されている。


『ここから先は、あなたたちの未来です』


 リヴィアは、その言葉をじっと見つめた。


 以前、この空白を見たときには、未来があまりにも広く、どこから手をつければいいのか分からないような気持ちになった。


 今は違う。


 未来が広いことは変わらない。


 分からないことも、まだたくさんある。


 それでも、何も決まっていないことを恐ろしいとは思わなくなっていた。


 自分で選べる余地がある。


 誰かと話し合いながら、新しい道を作っていくこともできる。


 その自由を、今は少しだけ嬉しく感じていた。


「……私も、自分の未来を選んでいくわ」


 リヴィアは小さく呟いた。


 自分の未来も、友人たちの未来も、そしてルシアンと歩むかもしれない未来も。


 まだ完成していない。


 けれど、完成していないからこそ、これから自分たちの意思を重ねていける。


 リヴィアは、自分のノートを取り出した。


 交流祭の記録に、新しい文章を書き加えることはしなかった。


 この空白は、これから先の生徒たちが、自分たちの言葉を残すためのものだからだ。


 代わりに、自分のノートの最後のページを開いた。


 そして、ゆっくりとペンを動かした。


『私は、これからも自分で考え、自分で選んでいきたい。


 迷ったときには、誰かの言葉に耳を傾ける。

 誰かが迷っているときには、その人が自分で選べるように支える。


 そして、大切な人と同じ未来を望むのなら、ただ願うだけではなく、互いの気持ちを伝え合いながら、一緒に歩いていきたい』


 書き終えたリヴィアは、ペンを置いた。


 以前の自分なら、これを未来への誓いと呼んだかもしれない。


 けれど、今は違う。


 これは、すべてを決めた人間の宣言ではない。


 これからも迷い、考え、選び続けていく自分のための言葉だった。


 そのことが、今は何よりも大切に思えた。



 ◇



 夕方、学院の中庭には柔らかな橙色の光が広がっていた。


 リヴィアは噴水のそばで、ルシアンを待っていた。


 朝から何度か思い浮かべていた、次の休日のこと。


 彼が選んだ古い水路を一緒に歩き、街の歴史を知る。


 その日が来るのが、今はとても楽しみだった。


「待たせたかな?」


 声に振り返ると、ルシアンが歩いてくるところだった。


「いいえ。私も今来たところよ」


「それならよかった。今日は、次の休日について、もう少し話しておこうと思ってね」


「古い水路のこと?」


「うん。調べてみたら、近くに昔の水門を管理していた建物が残っているらしい。今は小さな展示室になっているそうだよ」


「まあ。それはぜひ見てみたいわ」


 リヴィアは目を輝かせた。


「昔の水路だけでなく、実際に管理していた人たちの暮らしも分かるかもしれないわね」


「僕もそう思ったんだ。君なら、きっと興味を持つだろうと思って」


「……ありがとう、ルシアン」


 リヴィアは、心からそう告げた。


 自分が興味を持ったことを、彼は覚えていてくれる。


 そして、自分が知らない景色を見せようとしてくれる。


 それが、嬉しかった。


「当日は、たくさん質問してしまうかもしれないわ」


「構わないよ。僕も、君に聞きたいことがたくさんあるからね」


「……それなら、お互いに覚悟が必要ね」


「そうだね。話が終わらなくなってしまうかもしれない」


 二人は顔を見合わせ、笑った。


 その笑い声が、夕暮れの中庭に柔らかく響いた。


 しばらくして、リヴィアは少しだけ真剣な表情になった。


「……ルシアン」


「うん?」


「私、最近、自分の未来について考えることが、以前ほど怖くなくなったの」


 ルシアンは、静かに彼女を見つめた。


「以前は、何かを選ぶことが怖かった。間違えたらどうしよう、誰かを傷つけてしまったらどうしようって、いつも考えていたの」


「うん」


「でも、今は少し違うわ。選んだ結果が思いどおりにならなかったとしても、そこで終わりではないのよね。考え直すこともできるし、誰かと話し合うこともできる」


 リヴィアは、ゆっくりと息を吸った。


「だから、これからは、自分が何を望んでいるのかを、もっと大切にしていきたいの」


「それは、とてもいいことだと思うよ」


「……そして、あなたと過ごす時間も、これからも大切にしたいと思っているわ」


 言葉にした途端、頬が熱くなった。


 それでも、リヴィアは目を逸らさなかった。


「あなたと話すことが好き。あなたの考えを知るのも楽しいし、一緒に新しい景色を見ることも楽しみなの。だから、これからも、たくさんのことを話していきたいわ」


 ルシアンは、しばらく黙って彼女の言葉を聞いていた。


 やがて、その表情に穏やかな喜びが浮かんだ。


「ありがとう、リヴィア。君がそう思ってくれていることを、僕は大切にしたい」


「でも……結婚についての答えは、まだ出せないわ」


「分かっているよ」


「それでも、あなたとの未来を考えることを、やめたいとは思わないの」


 リヴィアは、自分の気持ちを確かめるように続けた。


「いつか答えを出すときには、ただ不安だから決められないという理由だけではなく、自分が本当に望んでいることを考えたうえで、あなたに伝えたいの」


 彼女は、両手をそっと握りしめた。


「だから、もう少しだけ、時間をください」


 ルシアンは迷いなく頷いた。


「もちろん。僕は、君の答えを急がせるつもりはないよ」


 彼は少しだけ身をかがめ、彼女の顔を覗き込んだ。


「ただ、一つだけお願いしてもいいかな?」


「……何かしら?」


「これからも、僕を君の未来の話し合いに参加させてほしい」


 リヴィアは、思わず目を瞬かせた。


 そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。


「……もちろんよ」


「よかった。君が一人で考え込んでしまうと、僕には何も手伝えないからね」


「以前のことを言っているの?」


「さて、どうだろう」


「もう……」


 リヴィアは頬を膨らませたが、すぐに笑った。


 ルシアンも、楽しそうに笑い返す。


 答えが出ていないことを、二人とも知っている。


 それでも、互いの気持ちを話し合うことができる。


 そのことが、今のリヴィアには嬉しかった。


「……ルシアン」


「うん?」


「これからも、一緒に歩いてくれる?」


 尋ねると、彼は少しだけ目を見開いた。


 やがて、穏やかに微笑んだ。


「もちろん。君が望んでくれる限り、僕は何度でも隣を歩くよ」


 リヴィアは、そっと手を差し出した。


 ルシアンがその手を取る。


 二人は、夕暮れの中庭をゆっくりと歩き始めた。


 急ぐ必要はない。


 今すぐ、すべてを決める必要もない。


 ただ、今日の自分が望む一歩を選び、その先でまた考えていけばいい。


 リヴィアは、隣を歩くルシアンを見上げた。


 彼の向こうには、夕焼けに染まった学院の建物が見える。


 ここで過ごした日々も、友人たちと交わした言葉も、すべてが今の自分につながっている。


 そして、この先にも、まだ知らない景色が待っている。


 次の休日には、ルシアンが選んだ古い水路を歩く。


 その先にも、二人で訪れたい場所が見つかるかもしれない。


 そこでまた、新しい話をするだろう。


 意見が違うこともあるかもしれない。


 すぐには答えが出ないこともあるだろう。


 それでも、話し合いながら一緒に歩いていくことはできる。


 リヴィアは、そう信じられるようになっていた。


 やがて、二人は中庭の出口にたどり着いた。


 夕暮れの光が、石畳の道を長く照らしている。


「また明日ね、ルシアン」


 リヴィアが告げると、彼は微笑んだ。


「ああ。また明日、リヴィア」


 二人は手を離した。


 けれど、それは別れではない。


 明日も、また話すことができる。

 次の休日には、また新しい景色を見ることができる。

 そして、その先の未来についても、何度でも話し合うことができる。


 リヴィアは、歩き出す前に一度だけ振り返った。


 ルシアンが、穏やかな笑顔でこちらを見ていた。


 彼女もまた、笑顔を返す。


 それから、前を向いた。


 自分の足で歩くために。


 自分の意思で未来を選ぶために。


 そして、いつか心から望む答えにたどり着くために。


 リヴィア・アーデントの物語は、まだ終わらない。


 けれど、彼女はもう、未来を恐れて立ち止まるだけの少女ではなかった。


 迷いながらでも、歩いていける。


 誰かと話し合いながら、選び直すこともできる。


 自分が望む未来を、自分の手で作っていくことができる。


 それを知った今、彼女の前には、以前よりもずっと広い世界が広がっていた。


 その世界の中で、誰と歩くのか。


 何を大切にするのか。


 どんな未来を選ぶのか。


 その答えを決めるのは、誰かが作った物語でも、過去に定められた運命でもない。


 自分自身だ。


 そして、隣を歩く人と同じ未来を望むのなら、互いの意思を確かめながら、その未来を一緒に作っていけばいい。


 リヴィアは、夕焼けの空を見上げた。


「……私たちで、選んでいきましょう」


 その呟きは、誰に聞かせるためのものでもなかった。


 それでも、彼女の胸の中には、確かな決意があった。


 第三章――自分たちで選ぶ未来。


 ここで、その物語は一つの区切りを迎える。


 そして、次の休日に訪れる古い水路が、新しい物語の最初の景色となる。


 まだ知らない場所へ。

 まだ知らない気持ちへ。

 そして、自分たちで選んでいく未来へ。


 二人の歩みは、これからも続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。