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異世界転移をした彼女は異世界の常識を変えようと試みるが、勇者がくそ過ぎて困りました  作者: 折原さゆみ
第二章 異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
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37生徒会役員と出会いました

 ソフィアは生徒会室の前までやってきた。後ろにはエイトが不安そうにソフィアを見上げている。


「ここが生徒会室ですか。どこの異世界でも、生徒会室は立派なものですね」


「どこの異世界って、確かに僕もその意見には同意です」


 生徒会室と書かれたプレートが扉の上に設置されていたが、他の部屋と比べてとても豪華なつくりとなっていた。重厚な扉を前に二人は感想を言い合う。



「それで、エイト君。先ほど、校内放送が入る前に言おうとしていたことは何ですか?」


 ソフィアは、カナデとエイトが慌てて自分の部屋に入ってきたことを思い出し、エイトに何を言おうとしていたのか質問する。


「僕とカナデさんは、ソフィアさんに部屋に戻るように言われた後、おとなしく指示に従おうと廊下を歩いていました。そうしたら」



 エイトは、ソフィアの質問に答えようとしたが、一から話すと長くなりそうだと判断し、要点だけ伝えることにした。


「学園にやばい奴がいることが判明しました。そのやばい奴というのが……」


 告げられた生徒の名前に、ソフィアは目の前の生徒会室を見上げて納得する。


「ここにそのやばい奴がいるというわけですか」


「そう言うことです」


 しばらくソフィアはその場で考え込んでいた。そんなやばい奴にどう対処しようかと思い、一つのアイデアを思いつく。



「そうだ。エイト君は魔力量が多いんですよね。どんな魔法が使えますか?」


 唐突な質問に戸惑いながらも、エイトは隠すことでもないと思い、答えていく。



「どんな魔法と言われても、僕は、魔力は多いらしいんですけど、まだこの身体に完全になじんでいるわけではないので、使える魔法は限られています。僕が今使えるのはせいぜい……」


「それが使えるのなら、今回の事件、簡単に解決できますね。エイト君、これから私が言うことをやってもらえますか?」


 ソフィアはエイトのそばに近寄ると、こっそりと耳元でエイトにやって欲しいことを伝える。


「いいですけど、一人で大丈夫ですか。相手はソフィアさんみたいなきれいな女性を」


「だからこそ、でしょ。エイト君が私と居たら話がややこしくなるから」


 ソフィアの要望をしぶしぶと言った様子で聞き入れたエイトは、その場からいなくなった。




エイトがいなくなり、一人でいざ、生徒会に入ろうと、扉をノックしようとしたとき、後ろから声をかけられた。


「おや、ソフィア先生、こんなところに用事ですか?すいません、今は会議中でして、関係者以外は立ち入りが禁止されていまして、用事があるのなら、また今度にしていただけますか?」


 声の主を確認するために振り返ると、高等部の制服を着た男性が立っていた。男のことをソフィアは知っていた。学園でその名を知らない者はいないだろうという有名人だった。


「ソフィア・アナスタシアを生徒会室に呼びつけたのはあなたですか。生徒会長のウィリアム・ロジャーズ」


「生徒の名前を呼び捨てとは、先生としてどうかと思いますよ」


 生徒会長であるウィリアムはニコニコとほほ笑んでいたが、瞳の中は笑っておらず、苛立ちを隠しきれていなかった。校内放送でマリアを呼びつけたのはおそらく彼だろうとソフィアは思っていた。


「私の質問に答えなさい。マリア・アナスタシアを生徒会室に呼びつけたのは」



「うるさいですね。ここは生徒会室の前ですよ」


 ソフィアの質問を遮ったのは、ウィリアムと同じ高等部の制服に身を包んだ男子生徒だった。彼はソフィアの姿を見かけると、わざとらしく挨拶する。


「これはこれは、ソフィア先生ではありませんか。先生がこんな時間に生徒会室に何の用事ですか?」



「ああ、ちょうどいいところに。ジェームズ、マリアがどこにいるか知らないか?」


 ウィリアムがジェームズに声をかける。


「マリア?先ほどウィリアムが放送で呼びつけていましたよね。まだ来ないのですか?」


「いや、ソフィア先生がマリアについて聞いてきたんだ」


「そうですか……」


 ジェームズは何か考え込んでいた。ソフィアはその様子にしびれを切らしていら立ちをあらわにした。


「早く質問に答えなさい!」



「では、実際に生徒会室に来ていただきましょう。ソフィア先生にはその資格があります」


「えっ!」


「お前はそれでいいのか?ソフィア先生でも」


「マリアがこないのなら仕方ありません。ソフィア先生でも構わないでしょう」


「そうだな」



 不穏な会話をする二人にソフィアは警戒を強める。彼らはいったい何を話しているのだろうか。生徒会室で何が行われているのか。ソフィアの警戒した様子に、二人はニコニコと張り付けたような笑顔を浮かべて、生徒会室にソフィアを誘う。


「では、ソフィア先生には特別に、生徒会室で行われていることをお教えしましょう。本来なら生徒たちだけ、それも生徒会と一部の選ばれし生徒のみが知る秘密ですが、ソフィアさんの容姿に免じて許可しましょう」


 二人の男子生徒の誘いに、ソフィアは覚悟を決めた。生徒会室で何が起きているのだろうか。マリアのあのおびえた様子から、ただことでないことが起きているのは間違いない。幸い、ソフィアにも魔力があり、彼らに襲い掛かられても対処できる自信があった。


「ワカリマシタ。マリアさんは体調不良ですので、私が代わりに生徒会での仕事を全うしましょう」


 生徒会室に一歩踏み入れようとした直前、ソフィアたちに声をかける者がいた。




「ま、待ってください!ソフィア先生。私のことなら、もう大丈夫です。先生に話を聞いてもらえて、だいぶ良くなりました!」


「ソフィアさん、一人で突入なんて、らしくないですよ。私とソフィアさんの仲でしょ。どうして何も言わずに出て行ってしまったのですか?カナデは悲しいですー」


 生徒会室に入ろうとしたソフィアを止める声が廊下から聞こえた。ソフィアと男子生徒二人があたりを見渡すと、いつからいたのだろうか。廊下に二人の女性が立っていた。一人は高等学部の制服を着た金髪碧眼の美少女。もう一人は、用務員だろうか。男性用の作業服を着ていた。


「マリア!どうして俺たちの呼び出しにすぐに答えない!おかげでソフィア先生に仕事をしてもらう羽目になるところだった!」


「ごめんなさい。本当に体調が悪くて、もし、風邪とかだったら、うつすとまずいかと思って……」


「お前が風邪をひくわけがないだろう?まあいい、お前が来たならさっさと済ませるぞ。ソフィア先生、申し訳ありません。マリアが来たので、先生に用事はありません」


 ウィリアムとジェームズは、マリアが来たとわかると、とたんにソフィアは用済みとばかりに生徒会室から追い出そうとする。



「それって、私も手伝えないかしら?」


 そばで話を聞いていた、作業服を着た女性が控えめに申し立てる。しかし、その申し立ては即座に拒否された。男子生徒二人は不審者を見るような目つきで冷たくあしらう。


「お前は誰だ。お前みたいな奴が、神聖な生徒会の仕事に参加させられるわけないだろう?」


「そうだぞ。会長の言う通りだ。お前みたいな奴、オレたちの視界に入るだけでも迷惑だ。さっさと失せろ」



「あの、そこまでにしておいた方が……」


 ソフィアは生徒会の二人からマリアと呼ばれている女性と、作業服を着た女性に心当たりがあった。もし、予想が当たっているのなら。


「カナデさん、その辺にしておきなさい。あなたが生徒会の仕事を手伝えるわけないでしょう?そんな簡単なこと、いつものあなたならわかっているはず。それから、その話し方も気持ちが悪いからやめなさい。カナデはそんな媚を売るような話し方はしないはずですよ」


「えええ、ソフィアさんひどいですー。私、本当に生徒たちのことを第一に考えて行動しているのにー。だからこそ、大変そうな生徒会の仕事を手伝ってあげようかとおもったんですー。マリアさんだって、私と一緒に生徒会の手伝いをした方がいいと思ってますよ!」


「そ、そうよ。マリア、カナデさんがついてこないのなら、生徒会室には入らない!」



 ソフィアに、普段のカナデとの矛盾点を突きつけられた作業服の女性は、めげる様子なく、今度はマリアに決断をゆだねる。マリアと呼ばれた女性は、先ほどまでの凛とした姿はなく、カナデに同意していた。


「ま、マリア、どうしたんだ!」


「えっとお、マリア、実はちょっと記憶喪失になっちゃって。一人では仕事をこなせないかも、なんて思ったの。だから、カナデさんと一緒にやればいいかなって」


 突然廊下に現れた二人の女性は、ソフィアが知っている女性二人によく似ていた。しかし、先ほどから話し方がおかしい。




「はああああああああ」


 とんだ茶番だと、ソフィアは大きなため息を吐くと、ことの真相をばらすことにした。


「あなたたち、ブラックとホワイトでしょう。本物の彼女たちは私の部屋にちゃんといるのでしょうね」


「はて、何を言っているのかしら?ソフィアさん。私はあなたのパートナーのカナデよ」


「ソフィア先生も私と同じで疲れているのですね。私が癒して差し上げてもいいですけど。それはまた今度にしますね」


 あくまで自分たちが本物のマリアとカナデだと主張する二人に、あきれてものが言えなくなるソフィアだが、二人はソフィアの味方はしてくれるようだ。



「まあ、私はカナデであるのだけど、少しは役に立てると思うわよ」


「そこの二人を従順にするだけなら、私にだってできるわ」



「さっきから何をぶつぶつと。お前、本当にマリアなのか?」


「さてどうかしら?私の正体なんて今はどうでもいいでしょう。さっさと生徒会室に案内して頂戴。私だって、予定というものがあるの。入れてくれないというのなら、無理やり入ってもいいのだけど」


 マリアの様子がおかしいことに気付いたウィリアムが恐る恐る声をかける。しかし、マリアはそんな彼の様子を面白そうに見つめ、生徒会室への入室を求めた。さらには、もし、入室の許可を得られないのなら、勝手に入るとまで言い出した。


「だ、ダメだ。今日のお前はどこか様子がおかしい。明日にでも出直してこい」


「あらあら、そんなこと言って、放課後至急、生徒会室に来いと言ったのは、生徒会長でしょう?」


「面倒だから、さっさと中を拝見したいのだが、いいだろうか」



 マリアらしき女性が話している間に、作業服を着た女性が生徒会室のドアに手をかけていた。瞬間移動でもしたのか、その場にいた人間は気づくことができなかった。


「では、開けるぞ」


「ま、まて」


 ギイイイ。戸を開けてしまった女性は、生徒会室の中の惨状を見て、にやりとほほ笑んだ。



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