復讐の人
4/6一部改訂、加筆しました。
『貴方はどうして、出来ないの?』
うるさい。
『ふっ、姉には遠く及ばぬな、ヌノよ。』
うるさいっ!
『本当に双子なの?実は違うんじゃない?はは!だってこんなにも姉に劣る妹っているの?』
うるさい、うるさい、うるさい、うるさいっ!!!!!
『ヌノ、お姉ちゃんだけは何時でも味方だよ!』
うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!!!お前のせいだよ!お前がいるから、不幸なんだ。お前が、お前さえいなければ!!
『憎いか、人間。お前の姉が』
ああ、憎くて憎くてしょうがない。殺してやりたいほどに。
『私についてこれば、その願い叶えてやる。』
…あいつを、ヘラを…………殺してやる。
「これはひどいな…おい、ヌノ。仕留めてしまったのか?」
私の隣に油でギトギトの髪と体をもつ気色の悪い大臣がよってきた。
そして私の下で倒れるヘラ。
「おいおい、ヘラは確かに殺したいがまだその時じゃあないよ。もっと徹底的に潰してやるんだ。それより、持ってきてるだろうな?」
「相変わらずの口汚い娘め。ほれ、ヘラの儀式用の服だ。全く、本当に姉とは…」
「おい大臣。私とこいつを比べるな。虫唾が走る。ぶっ殺されてえのか?」
そう言って私はまだ、血がべっとりとついている剣を大臣の首元へとやる。
「おお、すまんすまん。ここで殺すのは勘弁してくれ。」
「へっ、それよりこいつをさっさと独房へぶち込んどけ。今から着替えてあのクソ溜りのところへ行って、さっさと勇者を召喚するぞ」
「分かっておるよ。そう焦るな。先に行け後はやっておく。」
「くれぐれもへましてこいつを殺したり見つかるような事はするなよ?」
そう言って私はその場を去った。ついに、ついにこの時が来たのだ。
「徹底的にぶっ潰して殺してやるよ、オネエチャン?ふふふ、ハハハハハハハ!!!」
嗤う、嗤う少女は嗤う。全てを壊すその時まで…
「いやあ、まさかここまでうまくいくとはなあ。カミュよ。」
ヌノと一緒に居た大臣、モーラスが陰に潜んでいたカミュに言う。
「ええ、そうですねモーラス。勇者の召喚は我々の目的には必要不可欠の存在です。ヌノは今何処に?」
「あの娘なら今、勇者を召喚する準備をしていることだろう。」
「そうですか。では、勇者を召喚した時には何か褒美を与えなければなりませんねえ。例えば…死とかどうでしょう?」
ふふふ、と不敵な笑みを浮かべるカミュ。
「まあ、待て。殺すにはまだ惜しい。あれはあれで姉を餌に操っていれば何でもするし、あの方の加護のこともある。むやみに殺すのも我々に不利益を生むだけであろう。」
「はあ、確かにそうですね。でも、一刻も早く消えていただきたいんですがねえ…」
「カミュよ。以前からそうであるが、何上あの娘のことを殺したいとまで思うのだ?」
「何故!?なぜと来ましたかモーラス!!貴方こそ憎くはないのですか!?あの方の愛を慈しみを力を、私ではなくあんな、あんな薄汚い小娘などに!!!!」
そう言ってカミュは傍にあった椅子を蹴り飛ばす。
「まあまあ、落ちつけよカミュ。そうだ、そうだった。お前はあの方をひどく崇拝しておったな。いやあ、悪い。確かにそれならばあの娘を憎むのも道理であったな。悪い悪い。だからもう少し落ち着き給えカミュよ。」
「はあ、はあ、はあ、失敬モーラスよ。少々取り乱してしまった。」
「よいよい、わしのほうこそすまんな…おっと、あの娘の準備が終わったそうじゃ。そろそろ向かおうぞ。」
「そうですか、分かりました。では私は王の元へと向かいますのでモーラス、手筈通りにお願いしますよ?」
「分かっておる、分かっておる。カミュもしっかりとあの愚王の手綱を握っておけよ?」
「お任せを。」
そうして、二人は目的のために動き始めた。
ヘラがいつも儀式をするときにきている服に着替えた私は、私の女神さまに祈りを捧げていた。
「親愛なる我神よ、どうか私の願いを…」
私がしばらく祈りをささげるとそれは姿を現した。真っ黒くてどす黒い色をした瘴気が出てくるとゆっくりと人の形を成していき私の前へと顕現した。
「おお、我神ウル様。ついにこの時がやってまいりました。」
「久しいな、ヌノよ。こうして会うのは初めて会ったときだから4年ぶりくらいかの?それより遂にこの時がきたのかい。」
「ええそうです、ウル様。貴方様にとっても私にとっても待ち望んでいた復讐のときがついにやってきたのです!!」
「そうかそうか、遂にか…では始めるとするか。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
「…よし一人こちらに向かわしている。もうすぐやってくるだろう。この後のことは頼んだぞ?お前の働きがそのまま私の復讐にもなるのだからな。」
「承知しております、ウル様。必ずやこの復讐成してみましょう。」
「期待して待っておるぞヌノよ。」
ウルズ様はそう言い残して、姿を消した。後は私が成すことをすればいい。ウル様に与えられた力もある。失敗するはずがない。
「それにしても勇者というのは一体どんな奴が来るのだろうか。なるべくならこちらに引き込みたいんだけど…」
私はそんなことを考えながら、儀式を進めた。その勇者が今後のヌノの人生に大きく関わるとは露程も知らないヌノであった。
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