虫嫌いな人は注意
「なんか向こうの世界のシンガポールの大学で、ゴ〇ブリをサイボーグ化して災害現場の偵察などに使う技術が確立されてるそうなんですよね」
「うん。君いま自分がどこにいるか分かってるかな?」
フィッツガルド帝国の帝都のとある喫茶店にて。
くつろぎティータイムの最中にいつも通りどこからか現れたミィナさんに、突然Gの話をされめっちゃ嫌そうな顔をするローマンさん。
「何でそんな話を私に言うかなあ」
「だってヴィルヘルミナさんに言ったらヴィルヘルミナさんが嫌な気分になるじゃないですか」
「君相変わらずヴィルヘルミナ大好きだな」
空気の読めない男ども(目の前の男含む)に囲まれてたのを助けてくれた恩人だからね。仕方ないね。
「で、実際こっちの魔術とかで似たようなことできるんじゃないかなあと。魔界のグラウゼさんの猫使った情報網とか侮れませんし」
「あー使い魔で同じようなことができないかと。できなくはないだろうけれど、効率は悪いだろうね」
「えー、まあ気軽にできるならとっくにグラウゼさん以外もやってるだろうとは思ってましたけど」
ローマンさんの言葉に不満げながらも納得するミィナさん。
グラウゼさんただの猫ブリーダーじゃなくて世界でもトップクラスの魔術師だからね。
「使い魔というのは元の動物の知能に引っ張られるらしくてね。だから虫を使い魔にしてもろくな知能は期待できないし、だからといって術者側から細かい命令を実行させる術式を組むならそっちに魔力を割かれて効率が悪い。元から知能が高い動物を使い魔にするなら、その魔力要求量自体が高い」
「あーやっぱりそういう。魔術に汎用性持たせようとすると、大抵コストが高いのが問題になりますよね」
じゃあグラウゼさんはどうして大量の猫を使い魔にできているのかというと、恵まれた魔力量によるごり押しです。
せっかくの高い魔力で何やってんだあのおっさん。
「そもそも使い魔契約を魔術師以外の人間に代行する術が今のところないからね。結局魔術師頼りになるから実用化に君が噛んでもあまり美味しくないんじゃないかな」
「加賀さんなら何とかできませんかね」
「君はカガトを何だと思っているんだ」
そう言ってみたものの、実際カガトくんなら何か思いつきそうだなあと思うローマンさん。
今日も異世界は平和です。
・
・
・
一方高天原。
「何故よりによってG!?」
「虫の中でも頑丈でサイボーグ化してもそう簡単には死なないからですね」
「なるほど!」
文句を言ってみたらツクヨミ様からもっともな理由を聞かされて納得するアマテラス様。
Gの無駄な生命力が人類の役に立つ日が来るなんて……。
「他にも人間が立ち入れない場所にも容易に侵入でき、危険地帯に向かわせやすいなどの利点があるそうですね。そのため災害現場の確認や、要救助者の捜索などにも期待されているようです」
「有用性は分かるんだけど、嫌だなあ身動きとれないところにGがやってくるの」
「命かかってるんだから気にしていられないでしょう」
ちなみにこのサイボーグGは、今年の3月にミャンマーで起きた地震の際に実戦投入されたそうです。
「じゃあもう実用化まで目前じゃん。災害起きたらGが助けに来る未来が近いじゃん」
「時間が経てばむしろGに親しみが出てくるかもしれませんよ」
そうかな……そうかも……。
今日も高天原は平和です。




