穴の中あったかいなりぃ…(掩体構築中
「ハッハッハ! 秋と言えば山登りであるな!」
「初めて聞いたのだが」
運動も兼ねて山登りに来たグライオスさんと、付き合いで来ているマカミさん。
以前はこういうグライオスさんの突然の行動にはヤヨイさんが付き合うかグラウゼさんが巻き込まれていたのですが、二人が異世界に帰ってしまってからはマカミさんが巻き込まれることが増えています。
ちなみに秋の登山は紅葉などが見頃ではありますが、同時に気温が下がってくる時期でもあるので寒さ対策を怠らないようにして登山計画書もちゃんと出すようにしましょう。
素人が山なめたら冗談抜きで死にます。
あとたまに昔修験者が修行してたような山が一般開放されてたりしますが、大抵は迂回路があるので無理しないようにしましょう。
正規路が崖じゃねえかいい加減にしろ。
「それに弁当を作ってもらえなかっただろう」
「何。出先で弁当を買うというのも乙なものだ。足りなければサンドイッチとおにぎりもあるぞ!」
山頂に着いたところで、背負っていたでかいリュックから食料を次々取り出すグライオスさん。
折り畳み椅子まで用意している流石の周到っぷりです。
「カツサンドはあるか?」
「弁当を先に食わんか」
そしてまず何よりも肉を確保しようとする肉食系男子(物理)なマカミさん。
犬のお巡りさんだからね。仕方ないね。
「俺は犬ではなく狼だ」
「誰に言っておるのだ。しかし日本は色んなものをパンに挟むものだなあ。フルーツサンドもあるぞ」
「それはデザートだろう」
サンドイッチと言えば手ごろに食べられるパン食の代表とも言えますが、フルーツサンドについては日本が発祥らしく、その存在に驚く外国人も多いそうです。
あとたまに異世界にサンドイッチがあると「サンドイッチ伯爵が名前の由来なのにサンドイッチという名前なのはおかしい」と言い出す人が居ますが、サンドイッチ伯爵はあらゆる世界に遍在するので問題ありません。
「……なあ。カツサンド一つでいいからよこさんか?」
「断る」
強引に押し切られて登山に付いてきちゃいましたが、肉に関しては譲らないマカミさん。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「サンドイッチと言えばシーチキンだよね」
「いえハムでしょう」
トヨウケヒメ様から昼食はサンドイッチだと言われて具材について議論するアマテラス様とツクヨミ様。
なおトヨウケヒメ様は既に材料を準備して調理に入っているので、二柱が議論しても意見が採用されることはありません。
「外国人にはたまごが人気だそうですが」
「たまごが? というか外国の方がサンドイッチ本場じゃないの?」
「本格的なそれはともかく、コンビニなどで手軽に買えるものはそれほどレパートリーがないそうですよ。なので日本のコンビニのサンドイッチの種類の多さに驚くとか」
「へー。でもやっぱり何でたまご?」
日本のコンビニには海外と比べてサンドイッチの種類が多いと聞き感心するものの、やはり何故たまごが人気なのかと首を傾げるアマテラス様。
私にも分からん。
「カツサンドは例外だよね。別格というか優勝確定というか」
「カツの存在感が大きすぎますからね」
そして何故かカツサンドに関しては好みとかそういうレベルじゃねえと意見が一致する姉弟。
今日も高天原は平和です。