テント内でストーブが不完全燃焼を起こし死にかけた
「リィンベル。台風に備えてわしの車を魔術で保護してくれんか?」
「台風去るまで結界でも維持させ続けるつもりかおぬし」
安達家のリビングにて。
何か真剣な顔で言ってるグライオスさんと呆れた顔で返すリィンベルさん。
もー専門じゃない人は気軽に無茶言うんだからー(怒)。
「いやいや。万が一洪水が起きたときに車が浸水しないように守ってほしいだけであってな」
「わしにそんなことさせようと考えてる暇あったらどこかの高台にでも避難させておけ」
「そこから車なしで戻ってくるのが面倒ではないか」
「堂々とわしに面倒事を押し付けるな」
自分が面倒だからと人に面倒なことさせようとしてる何様俺様元皇帝様につっこむリィンベルさん。
でも後悔するよりはマシなので、災害が予測できるときはなるべく被害を予防しましょう。
窓にテープ張るのは割れた時の飛散防止であって強度はそんな上がるわけではありません。
「あー何処かの外国では洪水に備えて大きなビニール袋で車を包んでおったじゃろ。アレを真似すればいいのではないか」
「それだ!」
リィンベルさんの提案を聞いて「何それ面白そう」と即座に実行に移るグライオスさん。
流石は隠居してるのに全然大人しくならない好奇心の塊です。
「……車が入るほどの大きさのビニール袋など何処で手に入るのだ?」
「わしが知るか」
しかし意気揚々と行動に移ったものの初手で躓くグライオスさん。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「九月に入った瞬間涼しくなるとか、令和ちゃんの気候管理はデジタル管理だった?」
「違いますよ」
真顔で何か言ってるアマテラス様につっこむツクヨミ様。
「あと何で思い出したように台風連発してくるの。スサノオがテンション上がってるの?」
「スサノオのテンションが無駄に高いのはいつものことでしょう」
兄姉二人と違って何司ってんだかイマイチよく分からんスサノオ様ですが、高天原での暴れっぷりから嵐を象徴するともされます。
そんな神様なのに雷に驚いてキュウリ棚に頭から突っ込み片目を失明したという話もありますが、よく分からんところで大ダメージ受けるのが神様なので深く考えてはいけません。
「しかしまあ涼しいのはいいではありませんか。姉上がだれてる時間も減りますし」
「せっかく買ったエアコンの活躍が短かった!」
「なんでそこが不満なんですか」
手に入れたものは使い倒したい妙なところで貧乏性なアマテラス様。
使い倒すのはいいですが掃除などの管理もきちんとしましょう。エアコンにカビが生えたら不衛生ですし病気の元にもなります。
「それに冬になったらまたエアコンのお世話になるでしょう」
「え? 冬はストーブ使うよ。お餅焼けないじゃん」
「冬の間ずっと餅を焼き続けるつもりですか」
でも実際高齢者の中にはエアコンが苦手なのでストーブを使う人も多いという事実。
上に水入れたやかん置いとけば加湿までできちまうんだ!
「鍋にお湯張って缶コーヒーとかココア入れて温めるのもいいよね」
「一昔前の給食の牛乳温める小学生ですか」
学校のストーブで牛乳温めるのを一昔前とか言われちゃう衝撃。
エアコンも完全完備される時代だからね。仕方ないね。
今日も高天原は平和です。